映画界の加害行為に反対する意見広告、キネマ旬報5月号に掲出

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本日4月19日に発売される「キネマ旬報」2024年5月号に、映画界における加害行為に反対する意見広告が掲出される。

映画界における加害行為に反対する意見広告。

映画界における加害行為に反対する意見広告。

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キネマ旬報 2024年5月号 No.1942

キネマ旬報 2024年5月号 No.1942
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これは、映画ジャーナリストの金原由佳、映画評論家・編集者の佐野亨、映画評論家・編集者の関口裕子、ライター・編集者の月永理絵による連名で、映画界で勃発しているさまざまな加害行為への反対の意思を示すべく掲出されるもの。

広告では「近年、映画界におけるさまざまな加害行為(性加害、暴力、ハラスメント等)の問題が次々に提起されています。その背景には、映画界が長きにわたって加害的な体質を擁し、それに対する問題意識を欠いたまま、改善への取り組みを怠ってきたことがあります」と説明され、「映画作品を論評すること、映画人の声を伝えることが映画ジャーナリズムの役割であるならば映画界で起きている加害行為に向き合い、構造的・本質的な問題を検証し、改善に向けた働きかけをおこなっていくことも、私たちが責任をもって取り組むべきことではないでしょうか」とつづられている。

また文末には「映画ジャーナリズムに携わる書き手全体に対して、問題意識を共有し、共に対話や議論の場をつくっていくことを呼びかけます。そして、映画雑誌やウェブマガジン等のメディアがこうした問題についての記事を企画・掲載することを望みます」と記載された。広告の全文は下記の通り。

意見広告 全文

私たちは、映画ジャーナリズムの一員として、映画界における加害行為に反対します。

近年、映画界におけるさまざまな加害行為(性加害、暴力、ハラスメント等)の問題が次々に提起されています。
その背景には、映画界が長きにわたって加害的な体質を擁し、それに対する問題意識を欠いたまま、改善への取り組みを怠ってきたことがあります。
映画ジャーナリズムは、本来、こうした問題をいち早く認識して周知を図り、議論を主導していく責任を負っているはずです。
しかしながら、現在の日本の映画ジャーナリズムは十分にその機能を果たしていません。映画評や作り手のインタビュー記事を書くことを生業とする私たちもまた、その一員として十分に行動できているとは言い難い状況です。一方で、被害当事者が非常な精神的負担を抱えながら行動せざるをえない理不尽な状況が続いています。
映画作品を論評すること、映画人の声を伝えることが映画ジャーナリズムの役割であるならば、映画界で起きている加害行為に向き合い、構造的・本質的な問題を検証し、改善に向けた働きかけをおこなっていくことも、私たちが責任をもって取り組むべきことではないでしょうか。
私たちはいずれも個々に活動しているフリーランスの書き手であり、それぞれの考え方やスタンスには当然違いもあります。しかし、実際に起きている加害行為に対処していくためには、個々の意思を尊重したうえで、結びつきを強化していくことが必要不可欠であると考え、このような意見広告を掲出するに至りました。
被害当事者を孤立させることなく、また一部の支援者にのみ負担を強いるのではなく、映画界における加害行為に対して、私たちはどのように向き合っていけばよいか、具体的な改善策をどう見つけていくべきか──さらに議論を重ねていく必要があると考えています。そのためにも、映画ジャーナリズムに携わる書き手全体に対して、問題意識を共有し、共に対話や議論の場をつくっていくことを呼びかけます。そして、映画雑誌やウェブマガジン等のメディアがこうした問題についての記事を企画・掲載することを望みます。

2024年4月20日 金原由佳、佐野亨、関口裕子、月永理絵

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読者の反応

Yuki Matsuzaki 松崎悠希📽️ @Yuki_Mats

日本の映画界の性加害の告発が始まってから2年間で、一度たりとも、このような声明が映画ジャーナリストから出ることは無かったという事実。そしてようやく出た声明に載っている名前は、たったの4名。これが今の日本の「映画ジャーナリズム」の現状。ジャニーズ問題を報じれなかったテレビと同じ。 https://t.co/uxi7SM23go

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