沖縄の日本復帰直後である1972年の夏に集落で生きる人々の姿を映し出す本作。西表島・古見の豊年祭には、アカマタをはじめ仮面仮装の来訪神が登場する。秘儀の撮影を拒まれたスタッフは、その拒絶のエネルギーの根源を探るため集落の17軒1つひとつを訪ね歩き、オーラルヒストリーを記録した。なお本上映は、北村が監督を務めた「チロンヌプカムイ イオマンテ」のロングランを記念して行われる。
北村は「このドキュメンタリーは、赤裸々な告白を含むため、長い間上映を封印してきたが、一つの島の時代の記録としての意味を考え、あえて公開することにした」とコメントしている。
※「チロンヌプカムイ イオマンテ」の「プ」は小文字が正式表記
北村皆雄 コメント
50年前、沖縄の日本復帰直後1972年の夏、無謀にもこの祭祀の撮影に訪れた。しかしスタッフは「アカマタを撮ったら殺(くる)す」と激しく拒まれた。たった17軒しかない村で、カメラをこれほど激しく拒否する秘儀とは何なのか? 村を離れ、石垣島の街や那覇、大阪、東京といった都市に移住していった人々が、このアカマタの祭りには必ず帰ってくる求心力は何なのだろうか? 島=共同体の核を探ってみたい。別にアカマタの祭りのシーンなど撮らなくてもいい、祭りの映画ではなく、島人の家族のドキュメント、それぞれのヒストリーを記録したいとの考えで作った映画である。
撮影を嫌う古見の一軒一軒に「家族の記念写真を撮らせて下さい」と訪ねた。「記念写真」という言い方は、わりあいすんなりと受け入れられた。これは、ムービーの前に立つ17軒の島の家族と、島から町(都市)へ「島の心=アカマタ精神」をかかえて去っていった人々とで構成する記念写真映画である。
島を離れた者は、アカマタへの思いを一層強く胸に抱えて、高度成長を歩む都会で生きていた。残った17軒の古見部落には、伝統的なアカマタを信仰する土着の人々と新興の宗教を信ずる移住者たちとの複雑な人間模様、葛藤があった。このドキュメンタリーは、赤裸々な告白を含むため、長い間上映を封印してきたが、一つの島の時代の記録としての意味を考え、あえて公開することにした。
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北村皆雄監督作「アカマタの歌」が1週間限定で上映、秘儀の撮影を拒む集落を記録 #SmartNews https://t.co/UnWQN0bivK