卵子提供者を題材とした「Eggs」三木孝浩や大九明子から推薦コメント到着

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Eggs 選ばれたい私たち」を鑑賞した三木孝浩大九明子ら著名人18名からコメントが到着。あわせて新たなビジュアルが公開された。

「Eggs 選ばれたい私たち」新ビジュアル

「Eggs 選ばれたい私たち」新ビジュアル

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子供のいない夫婦に卵子を提供するエッグドナー(卵子提供者)に志願した、独身主義者の純子と女性を愛する葵の奇妙な共同生活を描く本作。年齢制限の30歳を目前にしながらもドナー登録をした純子を「真夏の夢」の寺坂光恵、恋人に追い出され純子の家に転がり込んだ葵を「いたくても いたくても」の川合空が演じ、川崎僚が監督を務めた。

三木は本作の感想を「劇中何度も挿入される暗闇はきっと日常にある小さな『死』なんだと思う。息を止めたくなる瞬間、自分が生きてきた意味を手探り寄せようともがく純子の声なき声が暗闇の中で聴こえたような気がした」とつづり、大九は「なんてこった。彼女たちを包む空は晴れない。エッグドナーという道をみずから選んだのは彼女たち自身なのに。“選ばれたい”とか彼女たちに言わせているものの実態は何か。一体何様か」と問いかけた。

そのほか萩原健太郎天野千尋ら映画監督、芋生悠池田良根矢涼香ら俳優、マンガ家でコラムニストの辛酸なめ子、文筆家の鈴木涼美ら多彩な顔ぶれからコメントが寄せられた。全員分のコメントは以下に掲載している。

新ビジュアルは、コメントも寄せた根矢がスチルを担当し、主演の川合がデザインしたもの。純子と葵の、どこか不安がありつつ未来への希望を感じさせる表情が捉えられた。

「Eggs 選ばれたい私たち」は4月2日より東京・テアトル新宿ほか全国で順次公開。

三木孝浩(映画監督)コメント

劇中何度も挿入される暗闇はきっと日常にある小さな「死」なんだと思う。息を止めたくなる瞬間、自分が生きてきた意味を手探り寄せようともがく純子の声なき声が暗闇の中で聴こえたような気がした。

大九明子(映画監督)コメント

なんてこった。彼女たちを包む空は晴れない。エッグドナーという道をみずから選んだのは彼女たち自身なのに。“選ばれたい”とか彼女たちに言わせているものの実態は何か。一体何様か。

萩原健太郎(映画監督)コメント

映画冒頭から一定のリズムで執拗に続く卵をかき混ぜる音。気が狂いそうになるその音が、映画を観て1ヶ月以上経った今も呪いのように耳にこびりついて離れない。彼女がかき混ぜていたものはただの卵か、それとも─。観ているこっちの心も掻き回され、名前のない感情が次々と押し寄せる。こう書くとトラウマ映画のようだけど、その殻の中には“再生”という希望が。映画的なラストシーン大好きです。

天野千尋(映画監督)コメント

この映画を観て、私たちが毎月1つずつ流している無数の卵の虚しさを思い、
同時に、私たち自身が無数の卵の中から選ばれた1人1人であるという奇跡に気付かされた。

上村奈帆(映画監督)コメント

「もったいない」
生物に向けて放たれた、ひとつの価値観。
目を逸らすことが出来ないと思った。
受精卵があるから人間がいて、人間がいるから受精卵がある。
命はどこから命なのだろう。
わからないまま、背負って、生きている。
その性がなぜ苦しいのだろうと思った。

戸田彬弘(映画監督)コメント

「選ばれる」ことを望み、「選ばれた」周囲へ嫉妬し、「選んだ」道に憂慮する。
現社会において、ハラスメントは重要なテーマだが、
男女の差別と区別の境界線は未だ曖昧なままだ。
川崎監督は、等身大の悩みを時代と社会にぶつけ、そこに共生を求める。
自由に見せかけた不自由な世の中を生きる私たちは、彼女達に関心を持てるだろうか。
理解ではない、関心を。

吉野竜平(映画監督)コメント

自分の存在が日に日に透明になっていくような、そんな不安を抱えながら主人公の純子は生きているんだろうな。
世界の端っこに小さくでも自分のスタンプを押したいのに、その場所が見つけられない。焦りと痛みがキリキリと伝わってきた。

藤村明世(映画監督)コメント

ああ、私たちの人生、どうしてこんなにも選ばなければいけない事が多いのだろう。
幼い頃は自動的に母親になるのだろうと呆然と考えていたのに、生きてゆくうちに次から次へと他の道が増えていく。
多くの選択を前に岐路に立った彼女たちが、物理的に「母親になる」という道を選ぶことによって、満たされない何かを埋めようとする姿に心揺さぶられる。
彼女たちの迸る感情と穏やかな海が混ざり合った時、私はこの作品と共鳴していた。

野本梢(映画監督)コメント

子どもを産むために用意した部屋が毎月赤い血となって剥がれ落ちていく。女性は子を産む機械なんて言葉があった。機械のように必要に応じて機能するならどんなに楽だろう。リミットと役割を突きつけられながら、そして囚われながら、走り続ける人間の痛みが、この作品から叫ばれている。

イリエナナコ(映画監督)コメント

今を生きる女性たちがぶちあたる壁。そのリアルを川崎監督の作品たちはいつも優しさを持って見せてくれる。いや母のように優しいけれど、全力で迷い続ける少女のようでもあるし、それから戦士のようにしぶといんだよな。そのしぶとさと力強さに、いつも勇気をもらいます。今Eggsで描かれた壁や選択や感情は、10年後、20年後にはどんな風に捉えられるんだろう。観た人とも話したいし、10年後の自分とも話してみたい。

芋生悠(俳優)コメント

どんな生き方もどんな姿も愛したい!抱きしめたいです。人と違うからというのは負い目じゃないし、“人並みの幸せ”って何だろう。死語じゃないかなと感じています。人でも犬でも花でもゲームでも何でもいいから目の前のものを大事に出来るって素晴らしい事じゃないかと。そこにこそ幸せが転がっているんだろうなと思いました。

池田良(俳優)コメント

男には量り知ることが難しい、結婚・出産・年齢にまつわる女性の葛藤が、男である僕の心にも飛び込んできた。それだけでも、この作品を見られたことに感謝しました。
そして何より、女性のどんな生き方も肯定する暖かさが、この作品にはあると感じました。

内田慈(俳優)コメント

多様化しているのか、していないのか、わからない時代。やっぱり大多数の価値観が正しいとされるような重圧を感じる複雑な今、自分の価値について悩み、責任を果たさなければと思っている全ての人へ力をくれる作品。ラスト、マイナスに働く公正世界仮説から解き放たれたような登場人物たちが美しい。波打ち際の素足のカットが印象的。どんな波の日もブレずにそこに立っていたいと思った。

根矢涼香(俳優)コメント

「もったいない」という言葉がしばしば、他者に投げかける言葉として使われるのを聞くたびに耳のあたりがピリリとする。
あなたの人生に無責任な誰かが決めた窮屈な殻のせいで
年を重ね違う道を歩いてゆく友達を区別するのも、
自分で自分を差別してしまうのも、とても悲しいことだ。
どの行先を選択するにも同じくらいの勇気と覚悟がいる。
幸せと正しさの物差しは、それぞれに1つずつ持っていればいい。
選ばれたいと願う彼女たちも、自ら選んでここまで来た。
はじめの一歩を、この映画は一緒に踏み出してくれる。

堀春菜(俳優)コメント

作られた理想と叶わない現実に
何を求めていたのか、分からなくなる。
私は私として存在していればいいはずなのに。
選ばれたい先に選んだ彼女たちの顔を見て
息のしやすい選択肢が増えることへの反対の声に疑問を持った。

辻凪子(俳優)コメント

赤色が心に突き刺さった。

でも性別とか年齢とかじゃない! 楽しく生きたいように生きたらいい!! あなたを愛してくれる人が必ずいる。この作品が生まれた意味を感じました。

辛酸なめ子(マンガ家 / コラムニスト)コメント

観ているうちに卵子に退行したくなって、最後の海のシーンで、もしかしたら人間は地球の卵子なのかもしれない、と気付かされました。女性の核の部分と地球のコアが共鳴し、不思議な自己肯定感に包まれます。

鈴木涼美(文筆家)コメント

持って生まれた女の身体とどう付き合っていくか、色々ついている機能をどう使うのか、或いは使わないのか、その選択ができるだけ自由で、無限に多様でありますように。女の子たちの声にはそんな願いが込められている気がした。

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(c)「Eggs 選ばれたい私たち」製作委員会

※動画は現在非公開です。

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