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1996年の在ペルー日本大使公邸占拠事件にインスパイアされたアン・パチェットの小説を、ポール・ワイツが映画化した本作。世界的なオペラ歌手のコンサートが開催されるはずだった南米某国の副大統領邸が、テロリストにより占拠されることから物語は展開する。ジュリアン・ムーアがオペラ歌手のロクサーヌ役で出演しており、渡辺が独自の美学を貫く実業家・ホソカワ、加瀬が彼の通訳・ゲンを演じた。
渡辺は本作のオファーを受けた際、2001年に発生したアメリカ同時多発テロ事件の直後だったこともあり躊躇したと語る。「さすがにそのタイミングでテロを題材にした作品に出演するのは難しいと思い遠慮させていただいたんですが、以前ご一緒したワイツさんが監督となり、お声掛けをいただいたこともあってお受けしました」と述べた。また、日本大使公邸占拠事件の1週間前まで、ドキュメンタリー制作のためペルーに滞在していたことから「もしかしたら、僕が事件に巻き込まれていた可能性があったということも、最初にオファーをいただいたときから感じていました。そのため、この映画をやらないと僕が先に進めないと思ったこともお受けした理由です」と述懐する。
通訳という役柄のため、日本語と英語に加え、フランス語を含む6カ国語のセリフに挑戦した加瀬。MCがどのようにセリフを覚えたのかを加瀬に問うと、横から渡辺が「目が三角になってたよね」とからかう。加瀬は苦笑交じりに「演技云々の前に語学のことばかり考えていましたし、撮影前にはコロンビア大学の学生が遊びに来てくれてずっと部屋でスペイン語の勉強をしていました」と語る。
渡辺が「『気分転換にごはんでも行こうか?』と誘ったんですけど、後ずさりしていましたね(笑)。ですから、とりあえず触らないでおこうと思って、たまにおにぎりを差し入れたりして、がんばれ、がんばれ!と応援していました」と明かすと、加瀬は「現場に行くと謙さんが握ってくださったおにぎりが置いてありました。『硫黄島からの手紙』のときも謙さんのご自宅でごはんをいただいたりしていたのですが、今回もそうやって励ましていただきました」と感謝する。
MCがムーアの印象を問うと、渡辺は「すごくプロフェッショナルな方。普段は気のいいお姉ちゃんみたいな感じなんですけど、役に入ると非常に妖艶ですし、ソプラノ歌手が持っているオーラがどんどん氷解していく場面も素晴らしいと思いました」とコメント。加瀬は「思ったよりずっと気さくな人でした。ですが、ジュリアンさんの娘さんの写真を見せてもらっていると本番が始まっていたこともあって、彼女のペースに巻き込まれていると僕が集中できなくなっていたこともありました」と笑った。
最後に渡辺は「なかなか厳しい場面や心が苦しくなるシーンもあるかと思いますが、ご覧いただく皆さんに何十日間もの間、捕らわれの身になる感覚を得ていただければと思います」と語り、会場をあとにした。
「ベル・カント とらわれのアリア」は、11月15日より東京・TOHOシネマズ 日比谷ほか全国でロードショー。
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