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70針で自慢するな!ムツゴロウが猛獣パニック映画の撮影監督に駄目出し

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「ROAR/ロアー」DVD発売記念上映会に出席した畑正憲。

「ROAR/ロアー」DVD発売記念上映会に出席した畑正憲。

「ROAR/ロアー」のDVD発売記念上映会が、本日6月6日に東京・新宿ピカデリーで行われ、作家で動物研究家の畑正憲がトークゲストとして登壇した。

1982年に日本公開された本作は、アフリカで猛獣たちと共同生活を送る家族の姿を描いた動物パニックムービー。動物愛護運動家でもあるノエル・マーシャルが監督、脚本、主演を兼任し、妻のティッピ・ヘドレン、娘のメラニー・グリフィス、息子のジョン・マーシャルとジェリー・マーシャルも出演した。

拍手で迎えられた畑は「皆さん、こんばんは。ムツゴロウです」と挨拶。映画の感想を求められると「これはね、ライオンをライオンとして飼ってない。人間と同じように飼ってるんです。観ているうちに、なんじゃこりゃ!?と思うのでは」とユニークな表現で魅力を伝え、「どうか“ライオン中毒”していただきたいと思います!」と観客に呼びかけた。

劇中には227頭のライオン、トラ、ヒョウ、ジャガー、ゾウといった本物の猛獣が登場し、彼らが暴れ回るさまがCGなしで捉えられている。過酷な状況が話題となった撮影は、70人を超えるキャストやスタッフがけがをし、のちに「スピード」の監督としてブレイクする撮影監督ヤン・デ・ボンがライオンに咬まれ瀕死の重傷を負ったほど。しかし畑は「動物と実際に向き合った人にしかわからないものがある」と主張しつつ、「僕はライオンと最初の挨拶で首を咬まれましたよ」と涼しい顔でエピソードトークを始める。

「5分間気を失ったんです。覚えてるのは僕の差し歯が飛んでったことだけ。首を咬まれたから口の中の圧力が増大して、(差し歯が)ボーンと藪の中に飛んでった」と、咬まれた際のことを回想する畑。ざわめく観客に対して、それはあくまでライオンの挨拶であったことを強調し、「普通、咬まれると痛いですよね? それで体がキュッと硬くなると歯が中に入っていっちゃう。だから、いかにリラックスしてるかなんです」と咬まれる側の心構えを伝授した。

撮影中にライオンに咬まれたデ・ボンが70針縫ったことを聞かされると、畑は「そんなのかすり傷です! 縫っちゃいかん!」と言ってさらに持論を展開していく。「猫に引っかかれてもいちいち縫いますか? 僕はそのままにしておきます。血は流れるままに。消毒だって1回もしたことがない」と観客を驚かせ、「70針縫う? そんなけが、動物と付き合ったら当たり前のこと。自慢するなと言いたい!」とヒートアップ。さらに「けがするほうが悪いの」と切り出し、「動物はすごいよ。手を振り下ろすとき、絶対(人間に)当たらないようにして、うちのめすことなんてしない。それは手加減じゃなくて礼儀なんです。生き物と生き物、命と命として付き合っているから。尊敬することをちゃんと知ってるんですよ」と熱く語って観客をうならせる。

ほかにも畑は「昔はペットショップでライオンを売ってたんです」と懐かしむトークや、野生に帰されたゾウと5年の時を経て再会した際の感動的なエピソードなどを披露した。最後に「野生動物と触れ合うのに一番大事なことは?」と聞かれると、「ありません!」と即答。「では人と付き合うのに一番大事なことはなんですか?」と逆に質問を投げかけ、「 ……そんなことわかるわけないんです。だから嘘をつかないこと。あるがままの自分をさらけ出せば(動物が)教えてくれます。それが大切なことだと私は思います」と実感を込めて語った。

「ROAR/ロアー」のDVDは現在販売中。

(c)2017 ROAR - John Marshall. All rights reserved.

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