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本作は北朝鮮で暮らす人々の日常に焦点を当てたもの。経済制裁を受け自活せざるを得ない状況下で自然エネルギーを活用した循環型の生活を送る様子や、エンジニア、兵士、農家、画家、工場労働者など市井の人々の暮らしぶりが収められている。チョ・ソンヒョンは、本作の撮影のために韓国籍を捨て、ドイツのパスポートで北朝鮮に入国した。
韓国籍を捨てた当時の心境を問われたチョ・ソンヒョンは「国籍というのは心の中にあるものですので、特に悩んだりはしませんでした」と回答。「いったん捨ててみると、韓国にも北朝鮮にも自由に行くことができ、両国が故郷になったと感じて相対的なコリアンになれたような気持ちになりました」と述べた。
撮影の際は北朝鮮での検閲が必須となることから、現地の映画会社を交えて撮影対象や場所を決めていったという。観客から「真実を切り取るという視点から、ゲリラ的な撮影は考えなかったのか?」と質問が飛ぶと、チョ・ソンヒョンは「確かに、北朝鮮のよいところしか映っていないので実状が反映されていないという意見をいただくことがあります」とうなずく。続けて、作中に登場する画家の男性を引き合いに出し、「彼はモデルが美人でなかった場合でも、完成した絵は美人になるように描き変えていました。この何でも美しく変えてしまう姿に、いいものしか見せないという北朝鮮社会の思想が表れていると感じたんです」と話した。
ドイツで本作が公開された際、一部の観客から「プロパガンダなのでは?」という声も上がったという。チョ・ソンヒョンは「私が本作を作ったのは自分のためでもあり、韓国の人たちが北朝鮮の見る目を多様化させることが必要だと思ったからです」と述べ、韓国での劇場公開は叶わなかったものの「日本で公開できるということに驚きと感謝でいっぱい」と話す。最後に「北朝鮮の新しい見方を見つけてくださることを期待しています」と呼びかけると、観客たちと“自撮り”をし笑顔で会場を後にした。
「ワンダーランド北朝鮮」は6月30日より東京のシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開。
チョ・ソンヒョンの映画作品
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- 「ワンダーランド北朝鮮」公式サイト
- 「ワンダーランド北朝鮮」予告編
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「ワンダーランド北朝鮮」監督が来日、「韓国と北朝鮮が故郷になった」 - 映画ナタリー https://t.co/UlpLn48f8e「国籍というのは心の中にあるものですので、特に悩んだりはしませんでした」と回答。 そうなんだ・・?