「遠くの緑を見ると目にいい」は本当?
緑という色に視力を回復させるような学術的な根拠はありませんが、いくつかの観点で目にいいと言えます。私たちがスマホやパソコンを近い距離で見ているとき、ピントの調節を担っている毛様体筋はずっと緊張状態にあって、それは目の疲れなどにつながります。逆に遠景を見ることで、毛様体筋の緊張をゆるめることができるんです。ただ、仕事の合間にちょっと遠くの木々を見るくらいでは、あまり効果はありません。少なくとも半日は遠景を見ることのできる環境に身を置いて、その日はスマホやパソコンを一切使わないくらいのデジタルデトックスをしないと、日頃の緊張を取ることはできないんです。
また「可視光線」という人間が見ることのできる光の波長があるんですが、緑は楽に知覚することができる波長と言われています。これが長波長の赤や短波長の青と比べて、緑が優しい色と言われる理由です。色彩心理学の観点からも、緑は気持ちを安定させる働きがあるとされており、副交感神経が優位になってリラックスすることができるんです。
ブルーベリーは目にいい?
ブルーベリーに含まれているアントシアニンには、体内で発生した活性酸素を抑制する抗酸化作用があって、眼精疲労に対する効果があるとされています。ただし目だけに顕著な効果があるかと言えばそうではなくて、ブルーベリーによって不足している栄養素を取れば体によく、体にいいということは目にもいいということだと思っています。つまり、目に特化した食材ではないということ。ブルーベリーに限らず、摂取すれば視力が回復するといった魔法のような食べ物は存在しません。肉、魚、野菜、フルーツなどをバランスよく食べて、健康的な生活を送ることが目にも一番いいです。
ドライアイの原因・対策は?
代表的な原因は“3コン”と呼ばれています。コンタクトレンズ・エアコン・パソコンです。ドライアイにもタイプがあって、涙が足りていない人もいれば、涙は出るけど涙の質が悪くて目が乾きやすいという人もいます。それは診察しないと判断が付かず、タイプによって必要になる薬が変わってきます。涙が足りないのであれば少ない涙を補充する必要がありますし、涙の質が悪いのであればそれを改善させる目薬を使用しないといけません。なのでドライアイの自覚がある場合、まずは眼科を受診して自分のタイプを知るのがいいと思います。眼科医であればその方のコンディションに合った目薬の使い方もアドバイスできます。
仕事が忙しくて病院に行く時間がないのであれば、市販の目薬をいくつか試して自分に合ったものを見つけるという方法もあります。しかし、症状の改善を自分で判断するのは難しいのでお勧めはしません。例えば血管収縮剤が配合されている目薬の場合、一時的に充血がなくなって白目の部分がきれいになりますが、根本的な治療にはなっておらず逆に目には負担が掛かってしまいます。目がなぜ充血するのかと言うと、目のトラブルを修復するために酸素や栄養が必要だから自律神経が働き血液を送り込んでいるんです。それを無理やりに目薬で血管を収縮させると、必要な成分が行き届かなくなってしまいます。充血自体が悪いのではなく、それを引き起こしている原因が悪いということです。繰り返し使っていると本当に充血が治らなくなってしまうので、やはり自己流での使用はお勧めできません。
目を大事にするために「これだけはやっておけ」ということは?
太陽光に含まれるバイオレットライトが近視を抑制することが最近わかってきたので、子供たちには外でも遊ぶことを勧めたいです。大人は置かれているシチュエーションがさまざまなので難しいですが、眼科での視力検査でしょうか。裸眼のままでいいのか眼鏡を作ったほうがいいのか、使っているコンタクトレンズの度数は自分の生活様式に合っているのか。例えばデスクワークの人と毎日車を運転している人とでは、適切な眼鏡やコンタクトの度数も使い方も変わってきます。自分の目の状態を知り、それぞれに正しい方法で視力を矯正することが、目に負担を掛けない暮らしと言えると思います。
片桐喜彰(カタギリヨシアキ)プロフィール
神奈川・東戸塚の「片桐眼科クリニック」院長。目の不自由な人に映画を楽しんでもらうことを目的とした「ユニバーサル・クリニックシアター」を院内で定期的に開催している。
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SARU @saruKmovie
当たり前の結論に、この長文記事の企画意図が不明。(わらい)
:映画館で映画を観るのは目に悪いのか?「片桐眼科クリニック」院長・片桐喜彰氏に聞いてきた - 映画ナタリー コラム https://t.co/qFaOAlyKCt