ホラーやゾンビをこよなく愛する著名人らにお薦め作品を紹介してもらうリレー連載「今宵も悪夢を」。集まった案内人たちは身の毛もよだつ恐怖、忍び寄るスリル、しびれるほどの刺激がちりばめられたホラー世界へ読者を誘っていく。
第2回には
取材・
新しい角度でゾンビ映画を作ってきたな
ゾンビを好きになったきっかけは、ザック・スナイダー監督の「ドーン・オブ・ザ・デッド」。僕が崇拝しているジョージ・A・ロメロの「ゾンビ」をリメイクして、現代風に描いた作品です。「ドーン・オブ・ザ・デッド」は何回も観ました。そして今や「ジャスティス・リーグ」のようなDCコミック原作のハリウッド映画を撮っている彼が、17年ぶりに作ったゾンビ映画が「アーミー・オブ・ザ・デッド」。これは観なくては!と思って観たら……「ドーン・オブ・ザ・デッド」とはちょっとテイストが変わっていたんです。ゾンビがすごく進化していました。「ドーン・オブ・ザ・デッド」でも走るゾンビは登場するんですが、「アーミー・オブ・ザ・デッド」のゾンビは「ドーン・オブ・ザ・デッド」と「バイオハザード」を掛け合わせたような。
「アーミー・オブ・ザ・デッド」はタイトルの通り、統率のとれたゾンビたちが軍隊のようになっています。そしてゾンビの中には王様みたいな人がいて……と、まあ意味がわからないんですよね、面白い意味で(笑)。新しい角度でゾンビ映画を作ってきたなと思って、そこからどんどん引き込まれていきました。まずゾンビが現れたラスベガスを封鎖し、ゾンビの街として隔離するという設定が面白い。人でにぎやかだったラスベガスが、ゾンビでにぎやかになっているのもいいなと思いました。
ゾンビの造形もよく作られていて、特殊効果チームが相当優秀なんだなと感じました。僕は女型のクイーンゾンビが、非常に哀愁があって好きです。意思疎通や会話ができる点はモンスターゾンビに近いですかね。ゾンビはただ歩いて、人間を追って食べる。そういったいわゆるロメロが作ったゾンビがオーソドックスなものだとするならば、今回のゾンビは戦えるしすごい強い、かなりエンタテインメント寄りに作られています。
好きなキャラクターは、
いけにえを差し出すパターンは見たことがない
ゾンビ映画はつかみの部分がすごく大事で、どの作品もつかみに力を入れるんですよ。だけどつかみだけで、後半はまったく面白くないというのはゾンビ映画あるあるです(笑)。その点「アーミー・オブ・ザ・デッド」はすごくいいオープニングで、何がゾンビ発生の原因だったのかが描かれ、このあとどうなっていくのかと期待させてくれるスタートでした。「ドーン・オブ・ザ・デッド」も最初のつかみがめっちゃくちゃいいんですよね。日常生活をしていたら、突然ゾンビが街を襲って来るっていう。ザック・スナイダー監督のオープニングには、視聴者を引き込む力があります。
一番好きなのは、いけにえのシーン。こういった設定はゾンビ映画で見たことがなかったので、そんなんゾンビ超えてるやん、どういうルールなの?と。自分が助かるために誰かを犠牲にして逃げるということはあるけど、ゾンビにいけにえを差し出すパターンは見たことがなかったです。知性を持ったゾンビはなかなか出てこないので、珍しいタイプの作品でしたね。
磯村勇斗(イソムラハヤト)
1992年9月11日生まれ、静岡県出身。特撮ドラマ「仮面ライダーゴースト」のアラン / 仮面ライダーネクロム役、連続ドラマ小説「ひよっこ」でヒロインの夫となる役を演じ脚光を浴びる。近年の主な出演作に映画「ヤクザと家族 The Family」「東京リベンジャーズ」、大河ドラマ「青天を衝け」など。封切り待機作に「劇場版 きのう何食べた?」(11月3日公開)、「彼女が好きなものは」(12月3日公開)、「前科者」(2022年1月公開)がある。また12月には舞台「泥人魚」への出演も控えている。
「アーミー・オブ・ザ・デッド」(2021年製作)
ザック・スナイダーが監督・脚本・製作を担った本作は、米ラスベガスで突如発生したゾンビの暴動からスタート。劇中では傭兵たちが大金のため、隔離された地帯に突入して強盗計画を遂行するさまが描かれる。キャストには
「アーミー・オブ・ザ・デッド」Netflixで独占配信中
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映画ナタリー @eiga_natalie
【ホラー作品リレー連載コラム】今宵も悪夢を 第2夜 | 選者 / 磯村勇斗「アーミー・オブ・ザ・デッド」
「そんなのゾンビ超えてるやん」
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