コミックナタリー Power Push - 「ライチ☆光クラブ」
“成長を否定した少年たち”の証言
片目の演技がダフっぽい動きに繋がった
──原作については、もともとご存知でしたか?
はい。4年くらい前に、舞台をやるというのを聞いて、そのときに原作を読みましたね。僕、当時はあんまりマンガ読む人じゃなかったんです。食わず嫌いというか。でもこの作品は単純に世界に引きこまれて、「マンガを知ったマンガ」でしたね。この作品をきっかけに、けっこう読むようになったんです。今はマンガ好きにまでなりました。
──貴重な出会いだったんですね! ダフ役に決まったときは、どんな感想を持たれましたか。
オーディションのときにダフをやってないんですよ。ジャイボとゼラの2人のシーンを中心にやったんです。デンタク、ヤコブ、雷蔵もやりました。でも「ゼラもジャイボも僕っぽくないな。雷蔵とかに選ばれるのかな」と思いながらオーディションを受けていたので、ダフで受かったと聞いたときはびっくりしましたね。でも「あ、ダフは自分っぽいな」とも。
──ご自身のどの辺りがダフに選ばれた理由なのか、思い当たるところはありますか?
自分で言うのもなんですけど、原作にビジュアルが近いなって思いましたね。皆さんもそうですけど。中身はそんなに似てないというか……。ダフは純粋で、女の子が性的な意味で好きな役なので、そんなにやりやすい役ではないなとも思いました。
──ダフを演じるうえで、一番大切にしたところはなんでしょうか。
純粋さですかね。純粋っていうか、あんまり余計なこと考えない奴っていうか。
──まっすぐな感じ?
そうですね。監督いわく、ダフが眼帯付けてるのは自分の股間を触りすぎて、それで目をこするからものもらいができてるって。監督の中の設定らしいんですけど。
──ひどい(笑)。
それくらい、男子中学生。僕はあの眼帯は中二病だと思ってるんですけど。
──片目で演技されるのは大変でしたか?
大変でしたね。見えない。だから右側に人がいてもわからないっていう。
──日常生活で慣れるために眼帯をしてみたりは?
いや、しなくていいときはもう、すぐ外してました(笑)。眼帯をしているからより顔を動かしていたりしていたんですけど、観てみたら逆にそれがダフっぽいなと思いましたね。ちょこまかしてるというか。それはよかったなと思います。
息遣いがすごく荒いので、過呼吸みたいになりました
──印象的だったのはやはりダフがカノンに欲情してしまうシーンでした。あのシーンはどういう雰囲気で撮影が進められたんでしょうか。
現場には僕とカノンだけで。今まではずっと同世代の男同士が集まっていたので、いい意味で異質な感じがしたというか。今までとちょっと違う空気で、今からやるんだっていう気持ちが、ちょうどダフの気持ちとリンクしたのかなと思いますね。大変だったのは、息遣いがすごく荒いので、過呼吸みたいになりました(笑)。
──あはは(笑)。声だけ別に録ったりしたんでしょうか。
しましたね。テイクはそんなに撮ってないんですけど、(カットを)割って撮ってるから大変でした。欲情するシーンからダフが死ぬシーンって繋がってるんですけど、そこが一番の見せ場だと思います。死ぬ間際の、女の子に触ることと、女の子に触れた喜び。その2つは観ていただきたいですね。
──ダフが死ぬシーンの撮影は、どんな空気感でしたか。
みんな集中してた感じはありますね。人が死ぬシーンなので現場もちょっとピリッとしてる感じはあった気がします。まあ現場は、わいわいしてるところはわいわいしてたけど、そういうところはピシっとした空気感でしたね。
──打って変わって、幼なじみであるタミヤ、カネダ、ダフの3人のシーンは和やかな空気でしたね。
撮影中はその3人でいることが多かったですね。お話する機会も多かったです。すべらない話とかもしてました。3人のそれぞれのポジションはホント、タミヤ、カネダ、ダフっぽいなと思います。僕や季節くんはいじられキャラで、野村くんが愛のある無茶振りをしてくる。
──では最後に、原作ファンの方に注目してほしいところを教えてください。
いやもう、本当に原作に忠実だと思います。1人ひとりが本当にそのキャラクターだし。タミヤも正義感だけじゃなくて、僕とカネダをおちょくったりするところも全部がタミヤだなあと。演者だけじゃなくて、セットも「ライチ☆光クラブ」の世界観だし。腸とか目玉とかも全部。映画でしか表現できない細かさだと思うな。舞台化もされてますけど、映画としての実写化のよさがたくさん出てる作品だと思うので、ぜひ観ていただきたいです。
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「ライチ☆光クラブ」2月13日新宿バルト9にてロードショー、2月27日より全国拡大公開
工場から黒い煙が立ちのぼり、油にまみれた町、螢光町。この貧しい地の廃墟へ、深夜に集まる9人の中学生がいた。この秘密基地の名は「光クラブ」。光クラブのメンバーは醜い大人を否定し自分たちだけの世界をつくるため、兵器として機械(ロボット)を開発していた。巨大な鉄の塊で作られた機械が動く燃料は、永遠の美を象徴するライチの実。その機械は「ライチ」と名付けられ、悪魔の数列666でいよいよ起動する。ライチに与えられた目的は、光クラブに美しい希望をもたらす「少女の捕獲」。光クラブのリーダーであるタミヤ、実質的支配者のゼラ、ゼラを偏愛するジャイボと絶対的な忠誠を誓うニコ……光クラブ内でそれぞれの愛憎が入り乱れ、裏切り者探しがはじまる中、ライチはとうとう美少女・カノンの捕獲に成功する──。
果たして、少年が願う大人のいない永遠の美の王国は実現するのか……。
スタッフ / キャスト
監督:内藤瑛亮
脚本:冨永圭祐、内藤瑛亮
原作:古屋兎丸「ライチ☆光クラブ」(太田出版)
配給・宣伝:日活
制作:マーブルフィルム
出演:野村周平、古川雄輝、中条あやみ、間宮祥太朗、池田純矢、松田凌、戸塚純貴、柾木玲弥、藤原季節、岡山天音 、杉田智和(声)
©2016『ライチ☆光クラブ』製作委員会
柾木玲弥(マサキレイヤ)
1995年3月24日生まれ、北海道出身。「ミュージカル『テニスの王子様』青学 vs 聖ルドルフ・山吹」で初舞台を踏み、近年はドラマ「デスノート」、「映画 みんな!エスパーだよ!」「人狼ゲーム クレイジーフォックス」などに出演した。映画「LIVE!LOVE!SING! 生きて愛して歌うこと 劇場版」が公開中。