「ルックバック展」押山監督のライブドローイングに密着、マンガ制作についても語る

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「劇場アニメ ルックバック展 ―押山清高 線の感情」が東京・麻布台ヒルズギャラリーで開催中。その一環として、去る2月3日には押山監督によるライブドローイングが開催された。コミックナタリーではそのライブドローイングの模様をお届け。また終了後、ライブドローイングの感想や展覧会の手ごたえを押山監督に聞いた。

「劇場アニメ ルックバック展 ―押山清高 線の感情」でのライブドローイングを終えた押山清高監督。なお着用しているのは押山監督が代表を務めるスタジオドリアンのTシャツで、展覧会のグッズショップでも購入できる

「劇場アニメ ルックバック展 ―押山清高 線の感情」でのライブドローイングを終えた押山清高監督。なお着用しているのは押山監督が代表を務めるスタジオドリアンのTシャツで、展覧会のグッズショップでも購入できる

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100人以上に見守られながらのライブドローイング

押山監督自らが主催し、豊富な原画や制作資料の数々から、劇場アニメ「ルックバック」に込められたクリエイターの熱量が体感できる「ルックバック展」。ライブドローイングは平日の17時より開催されたが、100人をゆうに超える観客が集まった。最初に押山監督は観客に「背中と顔が見えるほう、どっちがいいですか?」と質問し、挙手の数から顔が見える構図を描くことに。エントランス部分の壁面と向き合い、まずは藤野の目元から慎重に筆を進めていった。

押山監督のライブドローイングの様子。描き始める前に慎重に壁と向き合う

押山監督のライブドローイングの様子。描き始める前に慎重に壁と向き合う [高画質で見る]

押山監督のライブドローイングの様子

押山監督のライブドローイングの様子 [高画質で見る]

開始から30分で、藤野の部屋で藤野と京本が執筆に取り組む姿がほぼできあがり、さらに机回りの小道具を描き進めていく。後戻りができないため、机やデスクライトなどのサイズ感も慎重に推し量りながら描き進めていった。窓を描きつつ「お隣どんなだったか忘れちゃいましたね(笑)」などとお茶目に笑い、食い入るように見つめるファンの表情を和ませる場面も。最後は付箋の部分に「とにかく描け!!」という作中の言葉と、「一発描きムズイ!!」という今の思いをこっそり書き込み、髪の毛の塗りを調整してフィニッシュ。1時間にわたり、全身を使ってのライブドローイングに取り組んだ押山監督と、目の前に現れた藤野と京本の日常のひとコマに、観客は大きな拍手を贈った。

「一発描きムズイ!!」と付箋に書き込む押山監督

「一発描きムズイ!!」と付箋に書き込む押山監督 [高画質で見る]

押山監督のライブドローイングの様子

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悩みながら書いたシーンエリアの手書きコメント

終了後に話を聞くと、「描いている横を人が通り過ぎていくくらいだと思っていたので、エンタメにしなきゃいけないんじゃないかというプレッシャーが半端なくて……(笑)」と、緊張もあったという押山監督。この日描いたイラストは事前にポーズの準備はしていたものの「全然その通りにはいかなかったです(笑)」と振り返り、「アニメーターは一発描きで描く仕事の仕方をしていないので、(描くのは)すごく速いですが、消しゴムありきの安心感が前提なんです。特に机などはサイズ感のバランスが難しいですし、敢えて描き切らずに領域を置いておかないと、あとでバランスが取れなくなったりして、コツをつかむのが難しいですね」とライブドローイングならではの難しさや、取り組んでみての学びを語ってくれた。

ライブドローイングを終えた直後の押山監督

ライブドローイングを終えた直後の押山監督 [高画質で見る]

今回のイラストに描かれた「藤野の部屋」は、会場のフォトスポットにもなっている

今回のイラストに描かれた「藤野の部屋」は、会場のフォトスポットにもなっている [高画質で見る]

「ルックバック展」は開幕から約3週間が経過。反響について聞くと「『展示で泣くとは思っていなかった』など、物語を思い出しながら没入して観てくださる方が思ったよりいるんだなと。僕がシーンごとに作り手の気持ちなどを書いたテキストに反応されている方も意外と多くて、がんばって書いた甲斐がありました(笑)。文字量があんまり多くならないように、どのことを言おうかな、といろいろ悩みました。気づけなかった視点で改めて映画を観れるようになった、というコメントはうれしいですね」と語る。そうした手書きのコメントのほか、制作中のメモなどもたっぷり公開され、絵も文字も大ボリュームの展示になっている「ルックバック展」。一方で押山監督いわく「アニメ化するにあたって、僕の中で1回原作を解体して再構築したのですが、今回の展示のメモなどから読み取れることもあれば、僕が死ぬまで隠したままにしておくものもあると思います」と、語り切らない仕掛けも残しているそうだ。

「シーンエリア」の様子

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描き下ろしマンガ「洞窟と少年」制作秘話

そして今回の「ルックバック展」では、押山監督オリジナルの描き下ろしマンガ「洞窟と少年」も展示。絵を描くことが好きな少年と猫の洞窟で過ごすひと時が、9ページで描かれている。これは「ルックバック展」の最後に置くマンガとして描き下ろしたもので、「ある程度方向性は定まったものでありながら、『ルックバック』とはまた違う、僕の個人的な解釈をマンガで表現できればと思っていました。今回はアニメーターの描いたマンガ、という立ち位置で描いたんですが、次はもっとマンガらしい描線や形の取り方で描いてみたいです。今は本当に最初なので、とりあえず思いついたことを片っ端から描けるといいなと思っています」と押山監督。

押山監督描き下ろしマンガ「洞窟と少年」

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制作過程について「ネームの段階では少年や猫のデザインを全然決めていなかったんです。いざ描くという段階になってから、どういうデザインにしたら自分の気持ちや、作りたいキャラクター像にマッチするかなどを考えていきました」と明かし、「『ルックバック』の制作後だったので、油断するとリアルに緻密な絵柄になっていってしまう。僕は高野文子さんの絵も好きなんですが、今回久しぶりに高野さんの本を開いてみて、このくらいデフォルメ強めでもマンガとして成立するんだなと、気を抜いてリラックスして描こうというのは意識しました」と語った。マンガの次作について尋ねると、まさにネームに取り組んでいる真っ最中だという。「今はマンガに集中したくて、実はアニメの仕事を少しセーブしているんです。マンガを描いていたらそのうち、『もっと動きを描きたい』とかって、またアニメに戻っていくかもしれないですね」と笑った。

押山監督のライブドローイングの様子。会場には多くのファンが集まった

押山監督のライブドローイングの様子。会場には多くのファンが集まった [高画質で見る]

「劇場アニメ ルックバック展 ―押山清高 線の感情」は3月29日まで開催中。前売券は麻布台ヒルズギャラリーの公式Webサイト、ローチケ、アニメイト、Klook、当日券は会場窓口で取り扱っている。

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「劇場アニメ ルックバック展 ―押山清高 線の感情」

会期:2026年1月16日(金)~3月29日(日)
時間:10:00~18:00(最終入館17:30)
場所:東京都 麻布台ヒルズ ギャラリー

(c) 藤本タツキ/集英社 (c) 2024「ルックバック」製作委員会/(c)「劇場アニメ ルックバック展」実行委員会

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