夢はいくつから見てもいい！43歳オーイシマサヨシ「アニサマ」大トリに万感の思い

世界最大のアニメソングライブイベント「Animelo Summer Live 2023 -AXEL-」のDAY3公演が、昨日8月27日に埼玉・さいたまスーパーアリーナで開催された。サプライズ出演のRO-KYU-BU!、43歳で大トリを射止め、コラボやユニットなど3度の出演で大活躍したオーイシマサヨシら、22組が出演した。

最終日のトップバッターを飾ったのは、2011年放送のアニメ「ロウきゅーぶ！」から生まれた声優ユニット・RO-KYU-BU!。バスケットボールのビブスを思わせる衣装を着た花澤香菜、井口裕香、日笠陽子、日高里菜、小倉唯が、サプライズゲストとしてステージに姿を現すと、会場からはひと際大きな歓声が上がる。花澤らは息のあったダンスと歌でアニメのオープニングテーマ「SHOOT!」を歌唱。エンディングテーマ「Rolling! Rolling!」では、トロッコに乗って会場を周りながら歌を届け、アニサマに華を添えた。芹澤優はスカートのフリルが印象的な白いドレスで登場。「最悪な日でもあなたが好き。」で会場を揺らし、MCでは「できればイヤモニを取って聞きたいんですけどいいですか？」と言って、観客とのコールアンドレスポンス「朝起きてあなたが好き」「オレモー！」を一緒に楽しんだ。アニメ「MFゴースト」のオープニングテーマ「JUNGLE FIRE」では、MOTSUもステージに上がる。炎の演出とともに、迫力あるステージを見せた。

内山悠里菜・稗田寧々・守屋亨香・緒方佑奈・鷹村彩花・宮原颯希・飯塚麻結・村上まなつによる声優ユニット・DIALOGUE＋は、アッパーな楽曲「ダイアローグ＋インビテーション！」「にゃんぼりーdeモッフィー!!」を元気いっぱいに披露。続く「Shocking Blue」では、5回目のソロ出演となる伊藤美来が、トランペット、サックス、トロンボーン、ストリングスが加わったジャジーな演奏に乗せ、伸びやかな歌声を会場に響かせた。さらに伊藤は10月放送の「星屑テレパス」オープニングテーマ「点と線」をいち早く観客に届ける。青いペンライトで埋まった会場とブルーのライティングで染め上げられたステージの中、アーティストとして輝きを放つ伊藤の姿が、夜空に光る一等星と重なった。

ピンクのドレスを着た東山奈央は、最新曲「door」を跳ねるような歌声で歌い上げる。アニサマではコラボも魅力の1つというフリに続いて、「白が似合うアーティスト」として呼び込まれたのはhalca。エンディングテーマをhalcaが担当し、東山も更科瑠夏役で出演した「彼女、お借りします」第1期オープニングテーマ「センチメートル」を歌い出すと、歌詞に合わせて2人が距離を縮めるパフォーマンスも交え会場を盛り上げた。曲終わりのMCで「盛り上がり足りないのでは？」と切り出した東山が、観客の反応を見たあと「延長します」と自身が演じた「BEATLESS」のレイシアのセリフを口にし、ステージは暗転。GARNiDELiAとともに、「BEATLESS」第1クール目オープニングテーマの「Error」をクールに歌い切った。東山からバトンを受け取ったGARNiDELiAは、ダンサーを引き連れステージを大きく使いながら「幻愛遊戯」を歌唱。サビでは観客とともに跳ねまくり、文字通り会場を揺らした。

Paradox Liveからは4グループ計8人のキャストが登場。低音の効いたビートとともに現れた矢戸乃上珂波汰役の小林裕介、矢戸乃上那由汰役の豊永利行はcozmezの「Get it」で会場をアゲると、続くのはBAE。「G△L△XY∞」冒頭のラップで朱雀野アレン役の梶原岳人が圧巻のスキルを見せつけると、シルエットでの出演となったアン・フォークナー役の96猫によるハイトーンボイスがさらに会場の盛り上がりに火をつけた。“パラライアニサマスペシャルメドレー”では、グループから翠石依織役の近藤孝行、円山玲央役の矢野奨吾がこの日のステージに上がった悪漢奴等が「ROWDIEZ -悪漢奴等 Wanted Vibes-」で先陣を切り、続くcozmez「Hit em up」では黄色い歓声が小林・豊永に贈られた。西門直明役の竹内良太、闇堂四季役の寺島惇太はhe Cat's Whiskers「Shooting Arrows」を披露。竹内のダンディな低音がこのグループの個性を際立たせる。最後はBAE「BaNG!!!」がメドレーを締め、Paradox Liveの多彩な楽曲ラインナップを知らしめた。

TVアニメ「好きな子がめがねを忘れた」発のユニット・マサヨシがめがねを忘れたの出番は、三重あい役の若山詩音と小村楓役の伊藤昌弘による寸劇からスタート。「ここはどこだろう？」とメガネを忘れた三重さんと小村の前に、オーイシ扮する“この世のメガネのすべてを司るメガネの精”が登場すると、会場からは大きな歓声が。メガネの精からの「普通の三重さんのメガネ」「レンズがハート型のパリピなメガネ」のどちらを落としたのか？という問いに、若山が迷った末に普通のメガネを手に取ると、寸劇の盛り上がりそのままに「メガネゴーラウンド」へ。ユニットとしてデビューから1カ月弱というスピードでの出演にも関わらず、素晴らしいコンビネーションを見せた3人は、かわいらしいダンスとともに笑顔を振りまいた。「トモダチゲーム」エンディングテーマ「灯日」を披露したsajiは、バンドならではの生演奏で迫力の音を届ける。「（観客と）友達になって帰りたい」と今回のアニサマへの思いを語ると、次の「フラッシュバック」では思いを乗せた演奏で沸かせた。

ギターソロが会場を包み始まったのは内田真礼による「創傷イノセンス」。前半のトリである内田の登場に、割れんばかりの歓声が起こる。「アニサマ」では今年久しぶりに声出しが可能になったことを受け、内田は「みんなの声が聴けて心がいっぱい」と客席へ笑顔を向けた。また「夢が叶ったことがある」と切り出した内田は、エンディングテーマアーティストとして関わってきた「SSSS.GRIDMAN」シリーズ最新作「劇場版『グリッドマン ユニバース』」に姫役で出演できた喜びを語り、「SSSS.GRIDMAN」エンディングテーマ「youthful beautiful」の歌唱へ。イントロが会場に響く中、「SSSS.GRIDMAN」シリーズすべてに関わるオーイシがステージに呼ばれると、観客の盛り上がりも一段ギアを上げた。前半のラストを飾ったのは「ラウドヘイラー」。内田がフェミニンな衣装とは裏腹な、カッコいいステージングで観客を魅了した。

後半は、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の「わちゅごなどぅー」からスタート。虹学メンバーより大西亜玖璃、相良茉優、鬼頭明里、指出毬亜、田中ちえ美、法元明菜がステージに降り立ち、気が緩む暇を一切与えないパフォーマンスで会場をひとつにする。「皆さん、アクセル全開ですか？」というMCののちに始まったのは、「Just Believe!!!」。「光の先へ アクセル全開」という楽曲の歌詞同様、5人は全力で「アニサマ」を駆け抜けた。3回目の出演となるhalcaは、「誰彼スクランブル」で同楽曲のミュージックビデオを再現。アニメ「彼女、お借りします」第3期のオープニングテーマ「恋愛ミリフィルム」では、楽曲の途中から水原千鶴役の雨宮、更科瑠夏役の東山、八重森みに役の芹澤も参加し、一体感のあるハーモニーを届けた。

続いて中央のステージには、「バンドリ！」シリーズから、羊宮妃那、立石凛、青木陽菜、小日向美香、林鼓子によるガールズバンド・MyGO!!!!!が集結。「アニサマ」初登場とは思えない羊宮のボーカルと、立石、青木、小日向、林のしっかりとした演奏でオリジナル楽曲「無路矢（のろし）」「影色舞（シルエットダンス）」を畳みかける。「潜在表明」では感情を乗せた羊宮の叫びによって、MyGO!!!!!が持つエモーショナルな世界観が炸裂。観客の心に爪痕を残してステージを去った。ソロでの出演が4年ぶりとなる小倉は、ピンクのペンライトの海を前に「秘密♡Melody」をキュートに歌い上げ、観客を魅了した。

「次の方々はこちら、蠟梅学園中等部1年3組」というアナウンスのあとは、アニメ「明日ちゃんのセーラー服」より、蠟梅学園中等部1年3組・明日小路役の村上、木崎江利花役の雨宮、兎原透子役の鬼頭、古城智乃役の若山の4人がメインステージに登場。オープニングテーマ「はじまりのセツナ」を、スクリーンに映し出されたアニメ映像とともに、手を振りながら笑顔で歌い切った。オレンジ色の衣装を着用した花澤は、アニメ「久保さんは僕を許さない」のオープニングテーマ「ドラマチックじゃなくても」を歌唱。MCでは「私にとって、今日はドラマチックな日になっちゃったな！」と、RO-KYU-BU!で「アニサマ」に出演できたことに思いを馳せる。さらに、アニメ「ダークギャザリング」のエンディングテーマ「灰色」をライブで初披露。しっとりとしたステージングで観客をはかなげな空気に包み込んだ。

「リンネ」で力強い歌声を響かせたASCAは、“アニサマ最速”を目指すと宣言して「魔法科高校の劣等生 来訪者編」オープニングテーマ「Howling」を歌い出す。トロッコに乗り込むとそのまま会場中を素早く移動。会場全体に歌声を届けた。せりあがりからド派手に飛び出してきたのは内田雄馬。「SHAKE！SHAKE！SHAKE！」で会場を一気にハッピーな雰囲気へと誘うと、メドレーで披露された「Happy-go-Journey」ではダンサーとともに体を揺らし、会場との一体感を生む。アーティストとして円熟味を帯びる内田は「Over」でも圧巻の歌声で視線を釘付けにし、堂々たるパフォーマンスを見せた。

紫のライティングによって艶っぽく演出されたステージで、雨宮天は歌謡ジャズナンバー「TRIGGER」をムーディーに歌い上げる。2曲目では一転、「アカメが斬る！」オープニングテーマにもなったロックナンバー「Skyreach」を披露。クールな表情で歌唱する雨宮に、縦ノリの観客から大きな歓声が贈られた。鈴木このみのステージは、「Love? Reason why!!」からフルスロットル。「Bursty Greedy Spider」の間奏では「声枯らしたいよね？」と客席を煽り、一層大きな歓声を引き出し、「Re:ゼロから始める異世界生活」オープニングテーマ「Redo」まで観客を巻き込み一気に走り切った。

「アニサマ」2023年のトリを飾ったのは、“オートリマサヨシ”との自己紹介で姿を現したオーイシマサヨシ。「最高のギフトをお届けしましょう！」と高らかに告げると、MVにも出演する少女・ウーリャをダンサーとして引き連れ、「お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件」オープニングテーマ「ギフト」を歌唱。一気に会場のボルテージを上げ、大トリにふさわしいスタートを切った。「クソメガネー！」「帰れー！」とおなじみの愛ある“声援”が飛ぶなど、トークでも観客と軽妙な掛け合いを見せるオーイシ。かと思えば、スタッフからギターを渡され一気にアーティストの顔へ。「今でもあの光景を覚えています」と前置きし、9年前にリリースされたオーイシマサヨシとしてのデビュー曲であり、「アニサマ」初出演で披露した「君じゃなきゃダメみたい」で会場を沸かす。観客とともに歌う場面もあり、近年のオーイシのアーティストとしての活躍ぶりが伝わってくるパフォーマンスとなった。

“オートリマサヨシ”が観客の熱気に応えるように、観客と“アクセルベタ踏み”で盛り上がれる曲として次に選んできたのは、自身が作詞作曲した「【推しの子】」キャラクターソング「サインはB」。コールアンドレスポンスも組み込まれた楽曲ということもあり、会場で振られるサイリウムもこの日一番の激しさを見せ、息のあった観客の声が会場を包み込む。ダンサー2人に挟まれ、この曲ではB小町のセンターとして、キレキレのダンスでも楽しませた。息の上がるオーイシは、続くMCで「43歳で『アニサマ』の大トリ射止めました！」と絶叫。自分の半生を振り返り、初出演となった8年前に「アニサマ」のステージで見た大勢のファンの姿に、音楽を続けようと力をもらったことを告白。「夢って何歳から見てもええねんね」と感情を込めて話し、新たな夢「さいたまスーパーアリーナでのワンマンライブ」を口にし、一際大きな声援が上がった。

そんなオーイシの思いを受け取った観客は、劇場版「グリッドマン ユニバース」主題歌「uni-verse」で「ユニバース」の大合唱。DAY3の出演者もステージ上に集まり、オーイシを大きな手拍子で盛り立てる。「『アニサマ』でしか作れない景色がある」と、改めて「アニサマ」への特別な思いを語ったオーイシ。そんな彼が最後の楽曲に選んだのは、作詞作曲を手がけた「アニサマ」2020-21テーマソング「なんてカラフルな世界！」。コロナ禍での「アニサマ」を彩った同楽曲が、観客のレスポンス、出演者の歌声で新たに生まれ変わり、4年ぶりに発声が許可された「アニサマ」を印象付けるラストを飾った。