主人公のマンガ家・深澤薫を演じた斎藤は「原作に出会ったときに、本当に事故のように衝撃が走って、自分のことを言っているというか。自分の現在地というか、心のアウトラインみたいなものが映って描かれてしまっている気がしたんです」と告白。「撮影の期間は、普段は人に見せないような心情で竹中組の中を漂っていたので、皆さんの心にどこかグサリと刺すような何かが宿っていたら、皆さんに訪れていたらいいなと願うばかりです」と語った。
同作で深澤の妻・町田のぞみを演じるとともにプロデューサーも務めたMEGUMI。「竹中監督と飲んだ際、“レジェンドの迸るエネルギー”に感動して酔った勢いで『私がお金を集めます!』と口走ったのがきっかけでした」と同作での映画初プロデュースに臨んだきっかけを明かす。そんなMEGUMIについて「本当に素晴らしくて感動した」と話す斎藤は「女性としてのMEGUMIさんがそういったことを先頭に立ってやってくださることで、この業界がよりよい方向へ進化していくんじゃないかと、その背中を見ておりました」と称賛した。
竹中監督は同作を「これは浅野いにおという1人の作家、たった1人の観客のために作った映画です。その作品の共犯者として、みんなのタイミングが合ってこの作品が撮れたと深く思います。浅野いにおさんに向けた、僕のラブレターです」とコメント。また「ドレスコーズの志磨くんが、最高のエンディング曲を作ってくれた」と語る竹中監督に対し、主題歌「ドレミ」を手がけた志磨は「竹中さんからビートルズの『Don't Let Me Down』みたいなイメージはどうかなというお話があって。たぶん深澤は自分にがっかりしている人なので、そこから歌詞を考えたのと、タイトルはひっかけて『ドレミ』ってやると竹中さんが笑うかなと思ってつけました」と裏話を披露した。
イベントの後半には、3月20日に67歳の誕生日を迎える竹中監督へのサプライズのお祝いも。最後に竹中監督は「この『零落』という本とふと立ち寄った本屋で出会い、この美しい漢字を見て、絶対に映画にしなきゃいけないと思ったんです。この漢字が、夜の歩道橋に筆文字で浮かび上がったら、どんなにキレイだろうと。それに向かって撮りました。そして直感的に浮かんだ俳優たちに集まってもらって、できあがりました。みんなの声色が積み重なってひとつのハーモニーを作っている映画になりました。いろんなものを感じられる映画です。1回だけでやめないで、2回3回、4回と、繰り返し観て、そして耳を澄まして観てください」と言葉を寄せた。
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