映画「
1992年に発売された「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」のストーリーを原案に、フル3DCGアニメで描かれる本作。堀井は「『V』は一番思い入れのある作品なので、映画化はとてもうれしい」と笑顔を見せる。制作陣に何かリクエストを出したかと問われると「ゲームをやったことがない人にわかる映画にもしてほしいとオーダーを出しました」と話し、「それはよくできていると思います。この映画を観て、逆に『ドラゴンクエスト』やってみたいなと思う人がいるかもしれない」と期待を寄せた。
すぎやまは「たとえば町の曲にしても、戦闘曲にしても、ゲームを始めてから終わるまでに何回も何回も聴くわけです。だからゲームの場合は、聴き減りのしない音楽にするよう努力しています」「映画の場合は、その曲を聴くのは1回だけなんですね。ですので、それぞれの曲の色をはっきり出すように心がけて、映画用に再編曲しました」とゲーム音楽と映画音楽の意識の違いを解説。また「オーケストラの良さを感じてほしい。監督さんには『セリフと同時に、音楽にも何かを語らせてください』とお願いしました」と話した。
山崎総監督は「けっこう長い時間、この2人の監督をはじめとするスタッフたちが人生を削って作ったような作品です。皆さんに公開できることをうれしく思ってます」と述べ、「やりきってくれたな」とスタッフたちをねぎらう。キャスティングについては「このプロジェクトが途中からCGアニメーションじゃなくなって、実写になったとしても大丈夫な人に来ていただいた」と話し、主役を演じた佐藤を「ゲーム好きな方ですから、企画に対して悩んだところもあったと思うけれど、真摯に向き合ってくれた」と称賛した。
八木監督は「この作品は4年かかりました」と切り出し、「4年の間に数限りないレベルアップを繰り返して、ようやっと完成しました。相当力強い作品になったと思います」とコメント。また「眉毛がどのくらいアップになったらいいかとか、瞳の潤いにかかわるアイキャッチの大きさとか、そういうところにこだわりました」とキャラクターの表情への情熱を明かし、「そこにこだわれたのは、キャストの皆さんにいい声をいただいたからこそです」と頷く。
花房監督は「本当に大変な“クエスト”でした。完成してホッとしています」と制作過程を述懐。とくにこだわったのは戦闘だと述べて、「(呪文の)バギを使うときに、手のひらが上を向くほうがカッコいいか、下を向くほうがカッコいいか。そんなことを八木監督と2人で激論しました」と笑いながら話す。これにはケンコバが「『バギ系ってこう使うのか!』というのがよくわかります」と太鼓判を押した。
主人公・リュカ役の佐藤は、「『ドラゴンクエスト』のファンの皆さまには、映画化を快く思っていない方も少なからずいらっしゃるでしょう。その気持ちは痛いほどわかるんですけど、(完成した映画を)いち早く観た者として、『ドラゴンクエスト』との大切な思い出を持っている人たちにこそ観てほしい映画だと確信している」と熱弁。完成した映画を観てアツくなったシーンを聞かれると、佐藤は「どのシーンもすごいですけど、やはりプロポーズ」を語り、「演じるうえでもすごく難しくて、印象に残っていたシーンだったので、映像で観たときは……エモかった」とコメント。また「ビアンカが好きな人たちとフローラが好きな人たちの、両方が満足できる結末って、存在しないと思っていたんです。でも、存在しました。そこはぜひ注目してください」と力強くアピールした。
リュカの幼なじみ・ビアンカ役を演じた有村は、長年ファンに愛され続けているキャラクターを演じることに不安もあったと吐露しつつ、「(佐藤)健さんから『舞台に立っているように表現すると、よくなるんじゃないか』とアドバイスをいただきまして、その言葉を胸にやらせていただきました」と現場でのやりとりを紹介。また台本を読んだときの心境を振り返って「ものすごくドラマチックで、ロマンもたくさん詰まっていて、構成やストーリーにすごく惹かれました」と述べ、「完成した映画を観たら、登場人物すべてが愛おしく思えて……。『もう一回観たい!』と素直に感じました」と話した。
フローラ役の波瑠が「皆さんがおっしゃるように、声のお仕事って難しいので、私も苦労したんですけど、でも私は佐藤健さんから特にアドバイスをいただけてなくて……(笑)」と口にして場を和ませると、佐藤が「最初から上手だったんだよ」と応酬。完成した映画を観た感想については、「自分の声だと思うと照れくさくもあるんですけど、映像の迫力が素晴らしくて、本当に引き込まれました」と語った。
原作を「何度も遊んだ」と語る坂口が演じたのは、いたずら好きの王子・ヘンリー。坂口は「映画化されると聞いてとても驚きました。『V』は大きな選択を求められるゲームなので、どんな結末になるのかと」と原作ファンならではの視点で意見を述べ、「ファンではない人からも『面白かった』『感情移入をして観れた』と言ってもらえた」と周囲の声を紹介する。
パパス役の山田は「僕は声の仕事の経験は皆さんより多かったので、胸を張って、山崎総監督に『声優さんがやっているような演技か、会話しているようなフラットな演技か、どっちにしますか』と聞いたら、『ハイブリッドでお願いします』と言われて……。『経験がないぞ! どうしよう!』と思ったまま、結局最後まで演じました」と収録を振り返り、自分の演技を「そんなにうまくない……気がします。ただ、観れないほどではない。可もなく不可もなく。パパスらしくもあり、らしくなくもある。ただひどくはない」と冷静に分析。山崎総監督が「真ん中くらいのつもりだったんです(笑)。3DCGアニメはセルアニメより情報量があるけれど、実写よりはないので、その中間くらいと言いたかったんですけど……どうやら伝わってませんでした」と述べると、山田は「いえ! 伝わってたんですけど、難しかったんです」とフォローした。
サンチョ役のケンコバは収録が2、3年前だったことに触れ、「公開される頃には自分も成長しているというか、公私ともにいろいろ変わっているだろうなあと思っていたんですが、1mmも立ち位置が変わっていない。今朝気付いて震えました」と冗談を飛ばす。また「ナンバリングは『I』から欠かさずプレイしてきた男なので、その世界に入れたのは喜びでした」と「ドラゴンクエスト」シリーズへの愛を語り、「原作になったゲームと、サブタイトルが違うなと思ってたんですけど、映画を観たら納得しちゃいました」と話した。
終盤、キャスト陣の男性に「『ドラゴンクエストV』をプレイした際、ビアンカとフローラのどちらを結婚相手に選んだか」という質問が。最初にマイクを手にとった坂口が「僕はフローラ派でした」と述べると、ケンコバが「ええっ!!」と大きくリアクションをとる。そのケンコバは「僕はビアンカ派でしたけど……。有村さんと波瑠さんを前にしたら、どんな卑怯な手を使っても両方とうまくいきたいですよね」とおどける。山田も「ずっとビアンカと言ってきてるんですけど、一途みたいに思われるのは嫌なので、嘘をつきます!」と宣言し、「冒険なんかせず、ビアンカとフローラに会うため両方の村を行ったり来たりしてました」と答えて記者たちを笑わせた。トリを任された佐藤は「ゲーム的にはフローラを選んだほうが得がたくさんあるんです」とゲーマー視点で述べつつ、「ただ僕はビアンカを選びました。まっすぐに育った少年だったので」と答えた。映画ではどんな展開が待っているのか、公開まで楽しみにしておこう。映画「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」は8月2日より、全国東宝系にてロードショー。
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- 映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』公式サイト
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森川太一 @5tx7BVwN
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