3部作で展開されるアニメ「GODZILLA」シリーズの第1章「GODZILLA 怪獣惑星」。怪獣との戦いに敗れて選ばれた人類が地球を脱出した2048年から2万年経ち、ゴジラを頂点とした生態系による未知の星となった地球を舞台に、人類と怪獣の戦いを描く物語だ。劇場版「名探偵コナン から紅の恋歌(からくれないのラブレター)」を手がけ、シリーズ歴代最高興行収入68.7億円を記録した静野孔文と、アニメ「シドニアの騎士」や劇場版「BLAME!」で知られる瀬下寛之の2人監督体制で制作され、ストーリー原案・脚本は「魔法少女まどか☆マギカ」「PSYCHO-PASS サイコパス」の虚淵玄が担当している。
アニメ版ゴジラの制作が決定したのは3年半前。虚淵は「アニメでやるって言われて、『ゴジラは特撮でしょ』と思って。最初はお断りしようと思ったんです」とオファーを固辞しようとしていたことを明かす。しかし「当時は極秘事項だったんですけど、『特撮は庵野(秀明)さんが作ってます』って言われて。ならやります、となりました。久々の日本産のゴジラになるなら、それがアニメではゴジラとしての立場がないじゃないかと思ったんですが、ちゃんと伝統の特撮のゴジラの最新作が出た後でアニメ……という順だったら筋が通るので」と、特撮映画でのゴジラ最新作を待ち望んでいたゴジラ愛を語った。
そして虚淵は「『絶対すげえ!』と(鑑賞する前から)『シン・ゴジラ』に期待を寄せまくっていて。『シン・ゴジラ』のあとだったら、きっと世の中はゴジラ一色になってるだろうから、きっとゴジラならなんでもありになってる。ならアニメのゴジラでもどさくさに紛れていけるでしょう、と」と冗談めかして仕事を引き受けた経緯を話す。脚本については「たぶん『シン・ゴジラ』はこんな話になるかなって自分なりの予想を作って、『シン・ゴジラ』でやらなそうなゴジラネタだけ拾って作品にしようと思ってできたのがアニメゴジラです。『シン・ゴジラ』はきっと宇宙行かないよな、X星人は出てこないよな、メカゴジラは出ないだろうな、とか考えて、それを片っ端から拾って1本作りました」と明かし、観客を驚かせた。
瀬下監督も企画を聞いた当初「アニメでゴジラは無理無理、絶対無理。だって、ゴジラですよ?」とゴジラへの特別な思いを隠さず、「でも庵野さんの『シン・ゴジラ』のあとならいいかなーって」と引き受けた理由を話した。一方の静野監督はゴジラについて「名前くらいしか知らなかった。ちょこちょこテレビでやってるのを5分だけとか10分だけとか……」と驚きの発言。しかし、瀬下監督は「僕も虚淵さんも、作品の最終決定・判断は本当に静野さんに預けました」と言い、虚淵も「その通りです」と首肯する。続けて瀬下監督は「静野さんは、僕らが越えられないゴジラの常識を超えてくれる。例えばある打ち合わせで、『なんでゴジラは口から火を吐くんですか?』って質問したんですよ。そのときの会議が凍りついた感じと言ったら……」と、ゴジラファンは当然として受け入れてしまっていることに疑問を呈す静野監督の姿勢に感銘を受けたエピソードを紹介した。
虚淵も「アニメでせっかくやる以上は、特撮のゴジラを観なかった人に届く作品にしなきゃいけなかった。ゴジラのゴの字も知らない人たちに向けても作らなきゃいけない。ゴジラを知ってる人間だけで作っちゃうと、そのお客さんを置き去りにしちゃうんです」と説明し、「まずネタを静野さんの前で話して、静野さんの顔が強張ったら『ヤベヤベ』と引っ込めて」とゴジラファンにもゴジラを観たことがない人にも面白がってもらえるようにバランスを取っていた様子を語った。
宮野は好きなシーンを問われると、「収録のときからずっと、地球に降り立ってハルオが泣くシーンが印象に残っていて。ここはプレスコでの収録中、なんでここでハルオが涙するんですかって、結構しぶとく監督陣と打ち合わせしたんです。ハルオの、奥底にある何かが震えて涙が出るわけじゃないですか。ただ泣くわけじゃないし、ただ泣きたくないなって。それを細かく聞いたところ、今後関わってくるストーリー展開や、彼の根幹にあるもの、彼が信じるものだったり育ってきた環境、これから向かうべき場所、彼の精神的にすごく大事なシーンだと理解して」と、収録中のエピソードを披露。これを聞いた瀬下監督は「あそこ、迷ったんですよね」、静野監督も「最終的には第3章まで、すごく大事に生きてくるシーンなので、その演技指導には迷いました」と述懐する。瀬下監督が「宮野さんは僕らが一番迷っているシーンを突いてきて、すごいと思いました。僕らは一応監督なので、『その理由はこうだから』って言うんですけど、その時点ではあんまり答えは出ていなかった。でも宮野さんとやりとして、静野さんとも『やっぱりこうだよな』って答えを見つけていけたんです」と振り返ると、宮野も「あのシーンは楽しかったです。(キャラクターを)作ってるって感じがしました」と笑顔を見せた。
そして、ここで2014年に公開されたハリウッド映画「GODZILLA ゴジラ」の監督である
最後に宮野は「ハルオ・サカキという役を一緒に作らせていただき、僕は彼から人としてすごく大事なものをいただいた気がします。それを第1章で皆さんに観てもらったばかり。これから2章・3章と続くのが非常にうれしくて、これからもずっとお付き合いいただきたいです」と語り、イベントは幕を閉じた。
なお第2章のタイトルは「GODZILLA 決戦機動増殖都市」に決定。2018年5月に公開される。
関連する特集・インタビュー
「GODZILLA 決戦機動増殖都市」
2018年5月全国公開
「GODZILLA 怪獣惑星」
2017年11月17日(金)全国公開
スタッフ
監督:
ストーリー原案・脚本:
シリーズ構成:虚淵玄(ニトロプラス)・村井さだゆき
キャラクターデザイン原案:
副監督:森田宏幸
演出:吉平“Tady”直弘
プロダクションデザイン:田中直哉・Ferdinando Patulli
CG キャラクターデザイン:森山佑樹
造形監督:片塰満則
美術監督:渋谷幸弘
色彩設計:野地弘納
音響監督:本山哲
制作:ポリゴン・ピクチュアズ
製作:東宝
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