ステージナタリー

ロロ「BGM」男2人結婚式への旅路、仲間と音楽と10年前の記憶が彩る

191

ロロ vol.13「BGM」より。(撮影:三上ナツコ)

ロロ vol.13「BGM」より。(撮影:三上ナツコ)

ロロ「BGM」が昨日9月12日に東京のザ・スズナリで開幕した。

本作は三浦直之が脚本・演出を手がける音楽劇。音楽をEnjoy Music Clubの江本祐介、振付を北尾亘中村蓉が担当している。

時はとあるアイドルグループの解散が発表された2016年。泡之介(亀島一徳)とBBQ(篠崎大悟)は、学生時代の友人・午前二時(島田桃子)の結婚式に向かうため、車で常磐自動車道を下っていく。目的地は仙台。10年前に同じく仙台を目指して3人で旅をした4日間を、10分の演劇にして余興で披露する予定だ。

東京から守谷サービスエリア、会津若松、いわき、松島、石巻を巡る2016年の2人の旅路は2006年の3人の旅路と重なり、行ったり来たりを繰り返す。存在を忘れられがちな女・望月綾乃望月綾乃)や、占い師の繭子(森本華)、青春18きっぷのキャッチコピーを集めてレコードにする少年・MC聞こえる(井上みなみ)、自身の骨を集める恐竜の金魚すくい(油井文寧)、死んだ彼氏の記憶をリサイクルショップから集める女・ドモホルンリンクル(石原朋香)、午前二時の元カレ・永井(江本祐介)ら個性的な登場人物が、結婚式に向かう2人の祝祭ムードに満ちた道中を彩る。

ときとして、その場にいるはずの無い人も記憶として佇み、そして記憶は音楽に姿を変え、劇中歌“BGM”として現在(2016年)と記憶(2006年)を重ねていく。また泡之介とBBQはお互いを“ちゃんと”好き合い、“肋骨”を譲った金魚すくいとドモホルンリンクルの間には、新たな恋が生まれる。そんな性別と生物の境を超えた彼らを、七色の光は優しく照らした。

また杉山至の舞台美術も本作の見どころの1つ。左右に配置された可動式のストリングスカーテンは、物語の転換に多彩な表情をもたらす。加えて1本1本の紐の隙間からわずかに見える裏側が、背中合わせで重なる“現在”と“記憶”を描いた本作の世界観を可視化し、印象づけた。さらに森本のラップや江本の生歌が披露されるひと幕もあるので、ファンは楽しみに待とう。なお今回出演していないメンバーの板橋駿谷は、望月の電話相手として物語内に登場する。

「あなたがいなかった頃の物語と、いなくなってからの物語」「パークス・イン・ザ・パーク」そしていつ高シリーズと、三浦が近年創作してきた、空気感を丁寧に描き個人の記憶を引き出す手法の、集大成とも感じられる本作。終演後、公開されている“BGM”を記憶と一緒に持ち帰ることができるのも一興だ。なお江本が作曲、三浦が作詞を手掛けた劇中歌「夜の雨に流れるうた」「サマーバケーション」が、SoundCloudにて公開中。

上演時間は約2時間。当日券は開演45分前より会場受付にて販売される。東京公演は9月19日まで。その後、9月30日・10月1日に三重・三重県総合文化センター 小ホール、10月5日から7日に宮城・せんだい演劇工房10-BOX box-1と巡演する。

ロロ vol.13「BGM」

2017年9月12日(火)~19日(火)
東京都 ザ・スズナリ

2017年9月30日(土)・10月1日(日)
三重県 三重県総合文化センター 小ホール

2017年10月5日(木)~7日(土)
宮城県 せんだい演劇工房10-BOX box-1

脚本・演出:三浦直之
音楽:江本祐介
振付:北尾亘中村蓉
出演:亀島一徳篠崎大悟島田桃子望月綾乃森本華井上みなみ、油井文寧、石原朋香、江本祐介

ステージナタリーをフォロー