ユリイカ諸星大二郎特集は、幻のデビュー作を初収録

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諸星大二郎を総力特集した詩と批評誌ユリイカ 2009年3月号(青土社)が2月27日に発売された。諸星へのロングインタビューをはじめ、伊藤剛、呉智英、永山薫、竹熊健太郎らの論考、「ナチュン」の都留泰作と夏目房之介の対談、作家円城塔の小説など、それぞれの書き手が多角的に諸星大二郎を読み解いている。

ユリイカ 2009年3月号(青土社)。剣を交える二人が目印だ。

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2月23日発売されたばかりの「西遊妖猿伝 大唐篇」4巻。

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さらに1970年に諸星がCOM(虫プロ商事)主催「ぐら・こんコミックスクール」への投稿作として描いた「硬貨を入れてからボタンを押して下さい」が初掲載されているほか、諸星大二郎バイオグラフィー、諸星大二郎主要作品解題など、資料としても価値の高い一冊となっている。

マンガ研究家の斎藤宣彦による諸星大二郎ロングインタビュー「モロホシは一日にしてならず 奇妙なものの存在感を求めて」では、COM時代から昨年2008年にモーニング(講談社)にて連載を再開させた「西遊妖猿伝 西域篇」まで、これまでの仕事を振り返る。

休載を挟みつつも25年にわたり長期連載が続く「西遊妖猿伝」における絵柄の変化について、諸星はペンの使い方が変わったことを挙げている。1983年にスーパーアクション(双葉社)で連載を開始した頃はカブラペン、月刊コミックトム(潮出版)に移籍した1989年ごろからは筆を使うようになり、「スノウホワイト」など最近の作品では丸ペンを使っているとのこと。「(西遊妖猿伝)西域編も最初は丸ペンを使ってみたんだけど、やっぱりちょっとタッチが違うかなというので、筆とかカブラペンも使っています」と、微妙なペンタッチの違いを語った。

また、現在注目しているマンガについて質問されると、柴田ヨクサル「ハチワンダイバー」、漫☆画太郎「世にも奇妙な漫☆画太郎」を読んでいると答えた。漫☆画太郎といえば「西遊妖猿伝」と同じく西遊記をモチーフにした「珍遊記」の作者でお馴染み。奇しくも、諸星と漫☆画太郎を結ぶ意外な縁を感じさせるインタビューとなった。

「栞と紙魚子」シリーズで、2008年文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞し、若い人にも注目される諸星の30年に及ぶキャリアが一望できるユリイカ 2009年3月号。諸星ファンを自認するなら、ぜひとも手にとって見てほしい。

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