甲斐翔真が誇りを持って臨む、現・帝劇ラストコンサートをLIVE配信で

日本の演劇史に大きく貢献し、数々の名作・名演を生み出してきた帝国劇場が、建て替えのため2025年2月28日をもって一時休館となる。2月14日に開幕するコンサート「THE BEST New HISTORY COMING」は、59年の歴史を持つ現・帝国劇場(以下、帝劇)の最終公演。帝劇のステージに立ち、色とりどりのパフォーマンスで観客を魅了してきた豪華な顔ぶれが一堂に会して、帝劇への感謝と思い出を分かち合う。

このたび、会期中7公演の模様がau Live Streaming(旧uP!!!)およびTELASAにてLIVE配信されることに。AからGまで、プログラムごとに出演者が一部異なるコンサートを、できる限り網羅したい演劇ファン、会場に足を運べない演劇ファンにとって、帝劇の最後の公演を目と耳と記憶に焼き付けられる、またとない機会だ。

ステージナタリーでは、全日程に出演するレギュラーキャストの1人、甲斐翔真に話を聞いた。甲斐が帝劇に初登場したのは、2022年のミュージカル「エリザベート」のルドルフ(オーストリア皇太子)役。その後、「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」で2023年、2024年と立て続けに帝劇の舞台に立ち、日本の舞台界の“ニューエイジ”として輝きを放つ甲斐が、帝劇のラストコンサートに込めた思いを明かした。

構成・文 / 大滝知里

au Live Streaming(旧uP!!!)およびTELASAでは、CONCERT「THE BEST New HISTORY COMING」一部公演の模様をLIVE配信!

CONCERT「THE BEST New HISTORY COMING」LIVE配信

2025年2月15日(土)、17日(月)、19日(水)、22日(土)、24日(月・振休)、26日(水)、28日(金)

日時:2025年2月15日(土)18:00開演回

Aプログラム公演
キャスト
井上芳雄、浦井健治、小野田龍之介、甲斐翔真、佐藤隆紀(LE VELVETS)、島田歌穂、三浦宏規、宮野真守
生田絵梨花、昆夏美、涼風真世、平野綾、森公美子
ゲスト:鹿賀丈史、大地真央、松たか子


日時:2025年2月17日(月)18:00開演回

Bプログラム公演
キャスト
井上芳雄、浦井健治、小野田龍之介、甲斐翔真、佐藤隆紀(LE VELVETS)、島田歌穂、三浦宏規、宮野真守
生田絵梨花、昆夏美、涼風真世、平野綾、森公美子
ゲスト:石丸幹二、加藤和樹、平原綾香、吉原光夫


日時:2025年2月19日(水)18:00開演回

Cプログラム公演
キャスト
井上芳雄、浦井健治、小野田龍之介、甲斐翔真、佐藤隆紀(LE VELVETS)、島田歌穂、三浦宏規、宮野真守
木下晴香、昆夏美、涼風真世、平野綾、森公美子
ゲスト:伊礼彼方、駒田一、保坂知寿、松下優也、山口祐一郎


日時:2025年2月22日(土)18:00開演回

Dプログラム公演
キャスト
井上芳雄、浦井健治、小野田龍之介、甲斐翔真、佐藤隆紀(LE VELVETS)、島田歌穂、三浦宏規、宮野真守
一路真輝、木下晴香、瀬奈じゅん、花總まり、屋比久知奈
ゲスト:朝夏まなと、和音美桜、中川晃教、山崎育三郎


日時:2025年2月24日(月・振休)18:00開演回

Eプログラム公演
キャスト
井上芳雄、浦井健治、小野田龍之介、甲斐翔真、佐藤隆紀(LE VELVETS)、島田歌穂、三浦宏規、宮野真守
一路真輝、木下晴香、瀬奈じゅん、花總まり、屋比久知奈
ゲスト:石川禅、城田優、堂本光一、前田美波里


日時:2025年2月26日(水)18:00開演回

Fプログラム公演
キャスト
井上芳雄、浦井健治、小野田龍之介、甲斐翔真、佐藤隆紀(LE VELVETS)、島田歌穂、三浦宏規、宮野真守
一路真輝、木下晴香、瀬奈じゅん、花總まり、屋比久知奈
ゲスト:有澤樟太郎、石井一孝、海宝直人、上白石萌音、濱田めぐみ、別所哲也、愛希れいか


日時:2025年2月28日(金)13:00開演回

Gプログラム公演(大千穐楽)
キャスト
井上芳雄、浦井健治、小野田龍之介、甲斐翔真、佐藤隆紀(LE VELVETS)、島田歌穂、三浦宏規、宮野真守
一路真輝、木下晴香、瀬奈じゅん、花總まり、屋比久知奈
ゲスト:市村正親、今井清隆、鳳蘭、笹本玲奈、田代万里生


※アーカイブ・見逃し配信の実施は予定しておりません。

配信チケットをau Live Streamingで購入

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甲斐翔真インタビュー

「ああ、これが…」うわさに聞いていた“あの”帝劇を、1つひとつかみ締めた

──現・帝国劇場(以下、帝劇)の最終公演となる「THE BEST New HISTORY COMING」が2月14日に開幕します。現在の心境を教えてください。

コンサートが始まる楽しみな気持ちと同時に、今の帝劇が閉館するということに寂しさを感じています。「THE BEST New HISTORY COMING」にレギュラーキャストとして出演する特権は、日々変わるゲストの皆様によって、各公演の雰囲気の違いを感じられることだと思っているので、楽しみです。

──甲斐さんが帝劇に初登場されたのは、2022年の「エリザベート」でした。当時の心境はどのようなものでしたか?

“あの”帝劇に立てる。ああ、これがうわさの畳楽屋だ。これがうわさのエレベーターだ。という、うわさに聞いていた帝劇をかみ締めていたことをよく覚えています(笑)。

──2023・2024年には井上芳雄さんとWキャストで「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」に出演されました。初登場から1年しか経っていませんでしたが、“再びの帝劇”に立つ心境には、何か変化がありましたか?

「エリザベート」のルドルフのときとはまた違い、「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」で演じたクリスチャンはストーリーテラーであり、物語の真ん中にいる役だったので、より責任を感じながら舞台に立っていました。そしてやはり、「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」で“あの”帝劇が赤に染まった瞬間は忘れられませんね。

「エリザベート」2022年公演より。(写真提供:東宝演劇部)

「エリザベート」2022年公演より。(写真提供:東宝演劇部)

帝劇の歴史は、劇場で生まれた感動が受け継がれてきた証

──俳優として、現在の帝劇から学んだことは何だと思いますか?

舞台というものは有限ではあるけれども、帝劇の歴史を知れば知るほど、劇場で生まれた感動は受け継がれるものなんだなと思いました。また、俳優しても、観客としても、帝劇に流れているあの雰囲気こそ、唯一無二の魅力だと思っています。

──帝劇でご覧になった“忘れがたき”作品を教えてください。

プレビュー公演初日の、「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」です。井上芳雄さんとのWキャストだったので、観ることができました(笑)。幕が開いた瞬間に、早くも目頭が熱くなったことをとても覚えています。

「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」2024年公演より。(写真提供:東宝演劇部)

「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」2024年公演より。(写真提供:東宝演劇部)

「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」2023年公演より。(写真提供:東宝演劇部)

「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」2023年公演より。(写真提供:東宝演劇部)

──帝劇は、2030年度にリニューアルオープンする予定です。甲斐さんは5年後、俳優としてどのようにありたいと思っていますか?

今回のコンサートのタイトルに「THE BEST New HISTORY COMING」とあるように、帝劇のまた新たな時代が始まります。自分がその時代を作っていく一員になれていたら、何より幸せなことです。

これは歴史に残るコンサート、誇りを持って精進したい

──「THE BEST New HISTORY COMING」レギュラーキャストでは、先輩俳優のほか、同世代では三浦宏規さんと共演されます。

同世代の俳優としても、いちミュージカルファンとしても、三浦宏規くんの表現力はとても目を見張るものがあります。物語の中で、共に舞台の上に立つ日が待ちきれません!

──豪華キャストが集結する、“現・帝国劇場の集大成”こと「THE BEST New HISTORY COMING」。劇場に行くことがかなわず、LIVE配信を心待ちにされている観客へ、LIVE配信だからこそ楽しめる見どころを教えてください。

もちろん劇場に来ていただくことがベストかもしれません。ですがこの出演者のとてつもない顔ぶれ。これは歴史的なコンサートになると思います。だからこそ自分をこの中に入れていただけたことに誇りを持ち、精進したいと思います。その勇姿を少しでも多くの皆様に観ていただきたいので、ぜひLIVE配信の画面を通してでも楽しんでいただけたらうれしいです。

プロフィール

甲斐翔真(カイショウマ)

1997年、東京都生まれ。特撮ドラマ「仮面ライダーエグゼイド」のパラド / 仮面ライダーパラドクス役でテレビドラマ初出演。2020年に「デスノート THE MUSICAL」で初舞台を踏み、近年はミュージカル「ロミオ&ジュリエット」「ネクスト・トゥ・ノーマル」「エリザベート」「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」「MOJOプロジェクト -Musicals of Japan Origin project- ミュージカル『イザボー』」などに出演。3月に「甲斐翔真 PHOTO BOOK in LONDON」が発売されるほか、4・5月に「ブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』」、10・11月に「ミュージカル『マタ・ハリ』」への出演が控える。

芸術性と大衆性を融合する、“帝国”を冠した劇場

帝国劇場は、1911年に日本初の本格的な西洋式大劇場として誕生。1940年からは東宝の直営劇場となり、1955年から1964年までシネラマ上映館として運営されたあと、1966年に現在の“2代目帝国劇場”(以下、帝劇)が開場した。

対面に皇居を望み、またビジネス街に囲まれた立地にある帝劇は、コンセプトに“オーセンティック”を掲げ、現在まで輝きを放ち続けてきた。1900人近くを収容できるオーディトリアムには、古代紫の布地の客席が扇状に並び、金刺繍の緞帳が現実と虚構を仕切る境として存在する。

現・帝国劇場の外観。

現・帝国劇場の外観。

帝劇は、「開場披露 オール東宝スター オープニング・フェスティバル」で幕を開け、「帝国劇場開場披露歌舞伎公演『二代目中村吉右衛門襲名』」で華々しくその開場を告げた。菊田一夫による「風と共に去りぬ」、ミュージカル「ラ・マンチャの男」「屋根の上のヴァイオリン弾き」など、再演を重ねて愛され続ける作品が生み出されたほか、専属の歌舞伎俳優を有した帝劇歌舞伎や、小劇場で名を揚げた蜷川幸雄の進出、森光子や堂本光一による単独主演公演の継続上演、オリジナルミュージカルやストレートプレイの創作など、帝劇では、再演を除いて350を超える演目が披露され、開場以来続く芸術性と大衆性の融合、舞台芸術に対する先達たちの思いを受け継ぎながら、日本の劇場文化の発展を支えて来た。

帝劇は一時休館を経て、2030年度に新たな劇場空間として観客を迎え入れる。3代目帝国劇場は、客席・舞台は同規模ながらも、ロビー空間とバックヤードが充実し、さらに劇場の演出技術を豊かにすることで、日本の舞台界のフラッグシップモデルとなる劇場へと生まれ変わる。今年で開場60年目という長い歴史のその先に、どのような観劇体験が待ち構えるのか。期待して待とう。