11人で勢ぞろい!組み合わせで変わる表情
前半のソロカット撮影が終わり、ビジュアル撮影を行う11人がスタジオに勢ぞろいした。1人のときはかなり大きな空間に見えた空間も、11人が並ぶと手狭な印象に。「もっとギュッと! ギュッと近寄って!」と永石が言うと、桐生がポンと前に出て埋もれている人がいないか、バランスが自然かを確認し、気になったところを修正していった。準備が整ったところでテスト撮影をしてみたが、永石も劇団員たちもどうもしっくりこない様子。そこから「男役は肘を出してみようか」「娘役はスカートに触れてみよう」「立つ人、座る人で段差をつけては」とさまざまなアレンジが試されていった。動きがついたことで11人もリラックスしてきたのか、表情は和やかに。平澤も「ムーディな顔で!」「その3人がグループに見えるように」と声をかけていった。その後、男役だけ、娘役だけの撮影も。顔合わせによってそれぞれの表情やアクションが変わるのも面白かった。
このグループショットの後、公演パンフレットの1企画“他己紹介コーナー”で紹介し合う組み合わせが発表された。組み合わせが書かれた紙がスタジオの壁に貼られ、代表で翼が開示すると、まるで合格発表を見ているようにわーっと歓声が上がる。同期同士だったり、先輩後輩関係だったりと組み合わせはさまざまで、それぞれの関係性が垣間見えるようなカットに、その様子を見つめる劇団員たちが「ああ、この写真ほしいー!」と湧いていた。
ビジュアル撮影後半は翼・千咲・天輝・華月・壱弥・椿
グループショットが終わって、再びソロカットタイムに。後半の先陣を切ったのは翼だった。動きのあるカットの撮影では、衣裳の裾を閃かせながら、風を切るようなダイナミックさで動きのバリエーションを見せ、平澤も「いいね!」を連発。一転し、ポーズの撮影ではあまり動かず、手と目線の動きだけで多彩な表情を見せていった。溌剌さとクールさ、まさに翼の両極が、永石のカメラに収められていく。
そこへ千咲が登場し、2ショット撮影に。「自由に動いて」という平澤の指示に「せーの」と小さな声で息を合わせてから、2人は即興で踊り始めた。決められた動きがあるわけではないのに、それぞれの動きに影響されながら徐々に大胆な絡みを見せていく。翼が「なんか楽しくなってきちゃった!」と言うと、「笑顔じゃなくてクールな表情も!」と平澤が声をかける。でもしばらくすると2人はまた笑顔になってしまい、ミニショータイムのような和やかな時間が流れた。
続く千咲のソロカットでは、ガラリと雰囲気が変わって“大人”な雰囲気に。翼と踊っているときは可愛らしさが全面に出ていた千咲だが、強さを感じさせる表情で次々とポーズを決めていく。印象的だったのは手と腕の表情で、頬に手を寄せたり、高く上げたり、腰の後ろに腕を回したりと腕の動きだけで印象を変えていった。またカメラに向かって歩くカットでは、最初はスカートの裾を閃かせ、途中はスッと歩き、最後にゆったりと胸の前で手を重ねるなど、たった数秒の間に多彩な魅力を見せ、トップ娘役としての矜持を感じさせた。
次は天輝。溌剌と元気な笑顔でカメラの前に立った天輝に、「やんちゃ系で。得意でしょ?」と平澤がニッと微笑みかけると「そんなことはないですー!」と返答しながら、天輝は脚を大胆に開いたり、楽しげな表情で踊ってみせたりと、すぐさま“やんちゃぶり”を発揮し始めた。「もっとアクティブに!」と平澤が声をかけると、その場でジャンプもして見せた。会見で天輝は「春のおどり」について「初めてOSKを観たのが『春のおどり』。今回出演できることが叶い、本当に幸せです。上級生の方々、同期、そして下級生のみんなと力を合わせて、先生方の愛あふれる作品に尽力します」と意気込みを語っていた。また第一部ではティボルト役を演じるが、「『ロミオとジュリエット』のイメージは強いですが、古代ヤマトの設定で装いも和ですので、今までの『ロミオとジュリエット』と同じようには考えずに臨んだほうがいいのかなと。こうと決めつけずに向き合いたいです」と語っていた。短い撮影時間の間も、真摯さと柔軟性の高さを見せた天輝が、今回の「春のおどり」でどんな一面を見せてくれるのか期待が高まる。
微笑みをたたえながら、静かにスッとスタジオに入ってきたのは華月。撮影の最初は“正統派男役”といった感じのシャープな表情、レビューっぽい華やかな動きを見せていた華月に、平澤は「フォーマルに動いているから、もっと崩した動きも見たい」と声をかける。「はい!」と即答した華月は、背中を反らせてみたり脚を大胆に広げて前屈みになったりと、それまでとはまったく違う動きを見せ始めた。グループショットのときにも感じたが、華月はその場で自分に求められていることをいち早く察知して、それを具現化するのが上手い。ソロ撮影でも永石と平澤のちょっとした言葉をきちんと汲み取って、動きや表情に還元していった。華月は会見で、「今までいろいろな時期に『春のおどり』をやってまいりましたが、桜が咲いてこそOSKの桜ももっともっと満開になるのではないかなと思っております」と述べ、第一部で演じるモンタギューについては「羽那舞と夫婦役、息子が翼と初めての設定のお役。翼とはこれまでどちらかと言うとバディのような関係性が多かったので、新しい関係性を築いていけたら」と意気込みを述べていた。華月の新たな挑戦が楽しみだ。
10人目は壱弥。「フレッド・アステアが踊っているみたいな感じで」という平澤の言葉に、「え?」と一瞬、素で驚いた表情を見せたが、すぐさま軽やかなステップを披露し始めた。壱弥の動きは、人柄が滲み出ているのか、優雅でチャーミング。会見で壱弥は「『春のおどり』は、毎年絶対に出たいと思う作品。精いっぱいお届けします!」と力強く述べ、「たまきはる」で演じるパリス役については「ジュリエット役の千咲さんに振り向いていただけるようにがんばります(笑)」とユーモアを交えて答えていた。懸命さ、愛らしさに加えて近年は芝居の繊細さ、確かさも魅力の壱弥が、今回はどんな一面を見せてくれるのか注目だ。
スムーズに進んでいった撮影も、気づくとスタートから数時間が経っていた。11人目の大トリとなったのは椿。「今年は『春のおどり』に出演できてうれしいです。この昂った気持ち、うれしい気持ちをストレートに舞台にぶつけたい」と話していた椿は、撮影も全力。「森(優貴)先生のコンテ(ンポラリー)を踊っている感じで!」と平澤が声をかけると、身長を生かしたダイナミックな動きを次々と繰り出した。「なんか乗ってきたね!」という平澤の声に、今度は優雅さも加え、終わりの合図が出るまで所狭しと踊り続けた。そんな椿は、「たまきはる」でキャピュレット家とモンタギュー家の争いの狭間で命を落とす、マキューシオ役を演じる。会見で椿は「私事ではございますが、南座公演では亡くなる役が多くて(笑)。今回も舞台上で無事に亡くなるのではないかと思っております」と述べ、会場を沸かせた。カッコよさと面白さ、どちらも持っているとは今後がますます楽しみだ。
11人それぞれの魅力、スターとしての佇まいが感じられた「春のおどり」ビジュアル撮影。クリエイターのイメージをすぐにキャッチし、具現化してする高いプロ意識、作品やファンに対する熱い思い、一瞬を大事にする真摯な姿勢と、ここでもOSK日本歌劇団らしさは健在だった。この日撮影されたビジュアルはこちら。前進し続けるOSKを体現するビジュアルとなった。
プロフィール
翼和希(ツバサカズキ)
4月15日、大阪府生まれ。2013年にOSK日本歌劇団に入団し、「春のおどり」で初舞台。2023年度後期のNHK連続テレビ小説「ブギウギ」に、主人公が所属した劇団のトップスター・橘アオイ役で出演。2024年9月2日付でOSK日本歌劇団トップスターに就任した。2024年度「咲くやこの花賞」を受賞。出身地である大阪府枚方市のPR大使を務める。
千咲えみ(チサキエミ)
1月1日、東京都生まれ。2013年にOSK日本歌劇団に入団し、「春のおどり」で初舞台。2021年4月に娘役トップスターに就任。
華月奏(ハナヅキソウ)
4月21日、愛知県生まれ。2009年に「春のおどり」で初舞台。2022年から「名古屋をどりNEO傾奇者」に外部出演を重ねている。
城月れい(キヅキレイ)
12月8日、新潟県上越市生まれ。2009年に「春のおどり」で初舞台。
登堂結斗(トウドウユイト)
7月31日、宮城県塩釜市生まれ。2014年に「カルディアの鷹」で初舞台。
天輝レオ(アマキレオ)
12月13日、北海道苫小牧市生まれ。2014年に「カルディアの鷹」で初舞台。
椿りょう(ツバキリョウ)
7月5日、三重県伊賀 / 名張市出身。2016年「春のおどり」で初舞台。
壱弥ゆう(イチヤユウ)
5月3日、新潟県糸魚川市生まれ。2015年に「狸御殿 ~HARU RANMAN~」で初舞台。
唯城ありす(ユシロアリス)
1月28日、埼玉県生まれ。2016年「春のおどり」で初舞台。
羽那舞(ハネナマイ)
10月12日、兵庫県生まれ。2016年「春のおどり」で初舞台。
桐生麻耶(キリュウアサヤ)
5月11日生まれ、栃木県出身。1995年に日本歌劇学校に入学、1997年に「上海夜想曲」で初舞台。2003年に劇団解散の危機に見舞われた際は、OSK存続の会メンバーとして自らも街頭で署名活動を行った。2018年にトップスターに就任、2019年に「咲くやこの花賞」を受賞。2020年に特別専科に移動した。




