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ミュージカル「舞妓はレディ」唯月ふうか&平方元基インタビュー|博多に立ち上がる京都の花街!舞妓を夢見る少女のシンデレラストーリー

日本人による日本人のためのミュージカルナンバー—作曲家、演出家、音楽監督から見た「舞妓はレディ」—

異色のミュージカル映画「舞妓はレディ」

2014年に公開され、京都の花街を舞台に舞妓や芸妓、男衆が“はんなりと歌い踊る異色のミュージカル映画”として話題を呼んだ周防正行監督の「舞妓はレディ」。監督はこれまで、実家の寺を継ぐため、修行僧として入山する青年を主人公とした「ファンシイダンス」、卒業単位取得のために廃部寸前の弱小相撲部に入部することになる大学生を描いた「シコふんじゃった。」など、若者が日本の伝統文化を覗き見ながら、その真髄に触れていく姿を描いてきた。そして構想期間20年にものぼった「舞妓はレディ」で、田舎者の少女が舞妓として1人立ちしていくさまをミュージカル仕立てで表現。監督のそんな熱い思いが詰まった映画「舞妓はレディ」は、第38回日本アカデミー賞 最優秀音楽賞、第69回毎日映画コンクール 音楽賞、第10回おおさかシネマフェスティバル 音楽賞、第20回日本インターネット映画大賞 音楽賞を受賞するなど、音楽面においても高評価を受けた。

なるべく自然に歌に入れる雰囲気で、全体を包んだ(周防義和)

この映画を彩るミュージカルナンバーの作曲・編曲を手がけたのは、同じく周防監督の「Shall we ダンス?」「それでもボクはやってない」などの映画音楽で知られ、監督とは従兄弟の間柄でもある周防義和だ。30年以上にわたって映画やCMの作曲家として活動している周防義和だが、実はミュージカル映画の作曲を担当したのは「舞妓はレディ」が初めて。ちなみに監督と共に作詞を手がけた種ともこは京都出身のシンガーソングライターで、京ことばの詞がメロディと分かち難く響き合うのは、そんな“京都ネイティブ”の感覚が働いているからなのかもしれない。

左から土屋シオン、唯月ふうか、平方元基。

映画の製作時を振り返り、周防義和は「なるべく自然に歌に入れる雰囲気で全体を包むことを目指し、いわゆる“劇的で説得力のある歌”とは異なる曲作りを大事にしました」と作曲イメージを明かす。確かに日常会話の流れで春子が舞妓になりたい気持ちを歌う「私の夢」や、舞台上で踊っていた芸妓・舞妓たちがオープンセットに飛び出して舞い踊る主題歌の「舞妓はレディ」といったナンバーには、作品全体が持つ温和なイメージをそのまま曲にしたような親しみやすさがあり、耳あたりが小気味よい。また、京のお茶屋文化をテーマに“和”を意識したテイストが多分に含まれているのも「舞妓はレディ」の楽曲の持ち味だ。京野センセとお茶屋の女将が「♪ご紹介ないお方 堪忍どす」と歌い出すナンバー「一見さんお断り」に代表されるように、周防義和は実際に京都の花街を取材し、三味線や鼓(つづみ)の音が微かに響いてくるような空気感を取り入れたと話す。さらに「花街は庶民にとって非日常の世界なので、音階や和声感もダイアトニック(普通の調性和声)に留まらないとか、ちょっとだけ隠微なムードを出すためのコードや音階を使って、でも過度にウェットにならない楽しい音楽を意識したんです」と、花街の情景をいかに音楽的に表現しようとしたか、語っている。

日本人に耳触りがよく、心地いいメロディ(寺﨑秀臣)

(中央)湖月わたる

海外のミュージカル映画と比較すれば、純国産のミュージカル映画は圧倒的に少ない。が、花街とミュージカルの融合に果敢に挑戦した「舞妓はレディ」。その楽曲は、“日本人による日本人のためのミュージカルナンバー”と言えるだろう。そんな「舞妓はレディ」が、このたび“舞妓エンターテインメント”と銘打ち、舞台作品として生まれ変わる。舞台版の演出を務めるのは「屋根の上のヴァイオリン弾き」「紳士のための愛と殺人の手引き」など、数々のミュージカル作品を手がけている寺﨑秀臣。周防の楽曲の特徴について寺﨑は「僕たちが慣れ親しんでいる西洋的なミュージカルの楽曲に比べ、日本人に耳触りがよく、心地いいメロディ。繊細で愛嬌があり、京ことばを歌にする上でとても効果的なアレンジで、面白いんです」と、その魅力を演出家の視点から語る。また、舞台版には全12曲が使用され、そのうち2曲が舞台版オリジナルの新曲となる。新曲について寺﨑は「2幕冒頭で春子以外全員が歌う『悪い夢』は、1幕の終盤で、声が出なくなった春子が、お茶屋の人々にそっぽをむかれる悪夢を見る曲。全重唱でかなり複雑な構造になっていて、春子の精神状態を表現しています。2幕中盤でアルバイト舞妓の福葉(多田愛佳)と福名(片山陽加)が歌う『アイドルになりたい』は、2人が舞妓を辞めて東京でアイドルを目指すハッピーなナンバーです。舞妓を辞める2人を食い止めようと必死な先輩舞妓・百春(蘭乃はな)も加わる楽しい曲に仕上がりました」と紹介する。

原曲の良さを引き出しつつ、さらに面白くなるように(佐藤泰将)

舞台版で原曲アレンジや新曲の作曲を担当するのは、音楽監督の佐藤泰将。「Endless SHOCK」「滝沢演舞城」などにも楽曲提供している佐藤は、寺﨑とは「GACHI~全力 entertainment 4U」でタッグを組んでいる作曲家だ。佐藤は「映画『舞妓はレディ』には、歌やダンスの要素が観る側の感情に大きく訴えかけるという魅力があります」と述べ、「舞台版は周防義和さんの楽曲の良さを引き出しながら、ミュージカルとしてさらに面白くなるよう意識しています」と意気込みを語っている。

それぞれの“一推しナンバー”は?

唯月ふうか

魅力的なナンバー満載の「舞妓はレディ」だが、「その中でもっともお気入りのナンバーは?」と、3人にあえて尋ねてみた。「全曲納得のいく作曲ができた」と語る周防義和が「強いて言うなら」と挙げたのは、春子がセンセへの気持ちを歌うバラード「これが恋?」。周防は「舞妓への憧れを歌う『私の夢』とAメロは一緒なのですが、ボサノバやジャズ・スタンダード時代の和声進行をしつつメロディアスな曲になりました」と自信をのぞかせる。

寺﨑が選んだのは「おおきに、すんまへん、おたのもうします」の“舞妓必須三単語”をはじめ、京ことばが軽快に飛び交う「京都盆地に雨が降る」。「センセが春子に教える京ことば“京野メソッド”が、音楽を使ったレッスンという設定を明確にしました。春子が京ことばを音楽と共に学んでいく過程を見せていき、最初はできなかった“歌”が、終盤で見事に歌えるようになり、ミュージカルとしてもとても意味のある曲になったと思います」と、ストーリーと楽曲の絡み合いの魅力を、セレクトの理由に挙げた。

「個人的に気に入っている曲は『夜の終わりに想う歌』ですね」と語ったのは佐藤。「女将さんや里春、百春といった周りの人たちの、春子に対する優しさや愛情がとてもよく出ていますし、作曲した周防さんの作品への愛情を感じることができる素敵な1曲だと思います」と、本作の登場人物たちが共通して持っている、厳しくも優しい春子への眼差しが楽曲で表現されていることを指摘している。

最高の音響設備で、極上のエンタテインメントを体験

唯月ふうか、平方元基をはじめ最高のエンタテイナーたちによって、実際のミュージカルとして観客の前に立ち上がる「舞妓はレディ」。1999年の開館から、2014年に大規模改修されている博多座の音響システムは、その舞台を踏んだ役者たちが「歌いやすい」と口をそろえるほどの設備を誇る。ポップスを基調にミステリアスなムードを交えたメインテーマ「舞妓はレディ」が、桜舞うステージで繰り広げられるさまは壮観だろう。胸打つナンバーが散りばめられた、“舞妓エンターテインメント”の世界を、ぜひ博多で体感してみては。

ミュージカル「舞妓はレディ」
2018年3月4日(日)~20日(火)
福岡県 博多座
「舞妓はレディ」

原作:周防正行 / アルタミラピクチャーズ
脚色:堀越真
演出:寺﨑秀臣
作曲・編曲:周防義和
音楽監督:佐藤泰将
出演:唯月ふうか、榊原郁恵(※「榊」は”木へんに神”が正式表記)、平方元基、湖月わたる、蘭乃はな、辰巳琢郎 / 多田愛佳、片山陽加、土屋シオン ほか

あらすじ

舞台は京都。花街・下八軒(しもはちけん)にある老舗お茶屋・万寿楽(ばんすらく)に、「舞妓になりたい」という少女・春子がやってくる。コテコテの鹿児島弁と津軽弁を話す春子を、女将の千春は追い返そうとするが、言語学者の京野が春子に興味を抱いたことから彼女の運命は一転する。京野は「春子に美しい京ことばをマスターさせてみせる」と宣言し、春子は晴れて万寿楽の仕込み(見習い)になる。厳しくも優しい花街の人々に見守られ、舞妓になりたい一心で稽古に励む春子。彼女は数々の困難を乗り越え、“ほんまもんの舞妓”になることができるのか?