ステージナタリー Power Push - あいちトリエンナーレ2016
世界の舞台芸術が愛知に集まる!あいちトリエンナーレ2016“レインボーウィークス”
3年に1度、愛知県で開催される国内最大級の現代アートの祭典「あいちトリエンナーレ」。2010年の開始以来、ぐんぐんと規模が拡大し、今回は世界38の国と地域から119組のアーティストが参加している。また、美術作品に加えパフォーマンス作品が充実しているのも、あいちトリエンナーレの特徴の1つ。中でも10月6日から始まる“レインボーウィークス”では、世界の舞台芸術が愛知で一挙楽しめる、ファンにとっては夢のような特集が行われる。特にフィリップ・ドゥクフレ率いるカンパニーDCAの「CONTACT―コンタクト」は、歌とダンス、映像を織り交ぜた、五感を刺激するダイナミックな作品だ。
あいちトリエンナーレ レインボーウィークス スケジュール
2016年10月6日(木)~
10日(月・祝)
愛知県 岡崎シビコ
2016年10月7日(金)~
9日(日)
愛知県 愛知県芸術劇場
小ホール
2016年10月8日(土)~
10日(月・祝)
愛知県 豊橋公園
2016年10月15日(土)・
16日(日)
愛知県 名古屋市芸術創造センター
2016年10月15日(土)・
16日(日)
愛知県 愛知県芸術劇場
大ホール
2016年10月21日(金)~
23日(日)
愛知県 名古屋市内のまちなか
フィリップ・ドゥクフレ インタビュー
アクロバティックなダンス&パフォーマンス、ユーモラスでキッチュな衣装や舞台美術、そして作品に奥行きを与えるシャープな映像とエネルギッシュな音楽。世界を虜にし続ける“空間の魔術師”フィリップ・ドゥクフレが、自身のホームであるカンパニーDCAで2014年に手がけたのが「CONTACT―コンタクト」だ。ゲーテの戯曲「ファウスト」から想を得た本作について、ドゥクフレは「ミュージカルへのオマージュのような作品」と語る。その真意とは?
文 / 熊井玲 撮影 / 北村恵
ミュージカルにオマージュを捧げる作品
──2014年にフランスのブルターニュ国立劇場で初演された「CONTACT―コンタクト」。タイトルはピナ・バウシュの代表作「コンタクトホーフ」にちなんでつけられたそうですね。
はい。「コンタクトホーフ」は私が最初に観たピナ作品なのですが、あまりにすばらしくてそのまま自分の作品タイトルにするのは恐れ多いと感じ、一部だけ使わせていただきました。それと、現代社会は人と人とのコンタクト……つまり接触が少なすぎるんじゃないかという思いもあり、このタイトルにしたんです。
──「CONTACT」は、ゲーテの戯曲「ファウスト」のストーリーを下敷きにしています。「ファウスト」は、オペラや映画の題材にもなっていて、フランス人に馴染み深い作品のように感じますが、どういったところに惹かれるのでしょうか?
それはやっぱり、ジェラール・ド・ ネルヴァルの仏語訳でしょうね。ネルヴァルの仏語訳は、格調ある昔のすばらしいフランス語なんですよ。「CONTACT」の創作にあたり、私がインスピレーションを受けたものは3つあります。1つがこのネルヴァルが翻訳した「ファウスト」。あとアルフレッド・ジャリの「フォーストロール博士言行録」。それと映画「ファントム・オブ・パラダイス」です。「CONTACT」で私は、ファウストを神と同等であろうとする狂人、メフィストはフレンドリーな存在、マルグリートは欲求の対象というように、登場人物それぞれを何かの象徴として描きました。でもだからといって、「CONTACT」の中で「ファウスト」の物語を追おうとはしないでほしいんです。「ファウスト」は作品を作るためのきっかけとして使っただけで、この作品はそもそも何かを“語る”ためではなく、観た人の“想像力を喚起する”ためのものとして作ったものなので。
──確かに、どのシーンも見応えがあり、想像力を刺激されます。
本作はミュージカルへオマージュを捧げる作品でもあるんです。今、私は非常にミュージカルに興味がある時期なのですが、一口にミュージカルといっても、最近手がけた「Paramour」は典型的なブロードウェイミュージカルでしたし、年末に日本で上演する「わたしは真悟」はマンガが原作と、実にタイプがさまざまなんですね。その中で「CONTACT」は、私が小さい頃から観ていた、ありとあらゆるミュージカル映画が創作の源になっています。
次のページ » セリフはアクセントとして
- アジアン・サウンズ・リサーチ(プロジェクト・ディレクター:Sachiko M)「OPEN GATE 2016」
- 2016年10月6日(木)~10日(月・祝)
愛知県 岡崎シビコ - イスラエル・ガルバン「SOLO」
- 2016年10月7日(金)~9日(日)
愛知県 愛知県芸術劇場 小ホール - アニマル・レリジョン「Chicken Legz」
- 2016年10月8日(土)~10日(月・祝)
愛知県 豊橋公園 - イスラエル・ガルバン「FLA.CO.MEN」
- 2016年10月15日(土)・16日(日)
愛知県 名古屋市芸術創造センター - カンパニーDCA/フィリップ・ドゥクフレ
「CONTACT」 - 2016年10月15日(土)・16日(日)
愛知県 愛知県芸術劇場 大ホール - カンパニー・ディディエ・テロン
「AIR」 - 2016年10月21日(金)・22日(土)
愛知県 名古屋市美術館サンクンガーデン - 「LA GRANDE PHRASE」
- 2016年10月22日(土)・23日(日)
愛知県 長者町会場 - 小杉武久
「MUSIC EXPANDED #1」 - 2016年10月22日(土)
愛知県 愛知県芸術劇場 小ホール - 「MUSIC EXPANDED #2」
- 2016年10月23日(日)
愛知県 愛知県芸術劇場 小ホール - Co.山田うん「いきのね」
- 2016年10月22日(土)・23日(日)
愛知県 名古屋市芸術創造センター - 青木涼子「秘密の閨(ねや)」
- 2016年10月23日(日)
愛知県 名古屋市青少年文化センター(アートピア)
フィリップ・ドゥクフレ
振付家、演出家。パリ生まれ。1983年にカンパニーDCAを設立。若くしてフランス革命200周年祭やアルベールビル冬季オリンピック開・閉会式の演出を手掛け、注目を集める。日本との親交が深く、来日公演も多数。2014年に「PANORAMA―パノラマ」で8年ぶりの日本ツアーを行い、大きな話題を呼んだ。2016年、サーカス集団シルク・ドゥ・ソレイユの新作ミュージカル「Paramour」でブロードウェイ進出を果たし、2016年12月から2017年1月には楳図かずお原作のミュージカル「わたしは真悟」の演出・振付を手掛けることが決定している。