壁との向き合い方

──「進撃の巨人」は大きな壁に囲まれた世界を描いていますが、長谷川さんは何か大きな壁というのを感じたことはありますか？

壁はもういっぱいあります。毎回その都度ありますね。

──それは作品に関わるごとに新しい壁ができているということですか？

そうです。

──では本作「進撃の巨人」の中で、長谷川さんが壁だと感じられたのはどのようなことですか？

それは、秘密です（笑）。

──あははは（笑）。壁ごとに対処方法があるんですか？

そうですね、その壁を超えるんじゃなくて、かわす場合もありますね。

──方法はたくさんあるということですね。

はい。いろいろな対処方法があると思います。壁を超えるのではなく、違うところから入っていくこともあります（笑）。

巨人の生々しさと“特撮の父”

──完成品を観たとき、どう思いましたか？

すごく面白かったです。新しい角度から海外の作品と勝負できるんじゃないかと思いました。

──巨人の迫力はどうでした？

特撮にCGがプラスされていて、生々しさが違うなと感じましたね。生身の人間が演じていることによるリアリティがすごい。巨人なのにその辺にいそうな感じすらありますし（笑）。

──無邪気な表情とか、人が食われる場面での効果音とか、巨人のインパクトは本当にすごいですよね。

はい。僕は前編の冒頭20分を観た段階で、もう心の中で拍手してました。樋口監督はよくぞやってくださったなあと。巨人がバリバリ人間を食べている場面を観ていて、監督も相当嫌なことがあるのかなあと思いましたね（笑）。

──あははは（笑）。

体制とかいろいろなものに対して感じている憤りみたいなものが出ていると思いました。「バカヤロー！」って感じで（笑）。

──今の若い方にトラウマを与えられそうですよね。もちろんいい意味で。

本当にそうですよね。僕が子供の頃に観て虜になったレイ・ハリーハウゼンなどの映画が蘇ったような印象を受けました。“特撮の父”と称されるハリーハウゼンの作品や本作のように、少しローテクというか、手作り感や人の手跡が残ったものは、やっぱり怖いということを再確認できましたね。

──手作り感が生む怖さとは？

僕らが子供の頃に親しんだ特撮やアクション映画は、手で作ったフィギュアやミニチュアなどを1コマ1コマ動かしていくストップモーション技術を使ったものがけっこうあったんです。人が少しずつ動かしていく中で、念のようなものが入っているようですごく怖く感じたんですけどね。それが今回また、新しい形で出てきたように感じて、すごく面白かったです。