「鮫肌男と桃尻女」「スワロウテイル」の衝撃
──ここからは邦画のお話を。1996年公開の「スワロウテイル」に1999年公開の「鮫肌男と桃尻女」、どちらも滝藤さんからすると“世代”な作品かと思います。
-
組織の金を横領した男・鮫肌と、薄幸の境遇から家出を決行した女・桃尻トシコはひょんなことから一緒に逃亡することに。そんな2人を組織の幹部や殺し屋が追いかける。
- スタッフ / キャスト
-
監督:石井克人
原作:望月ミネタロウ
出演:浅野忠信、小日向しえ、岸部一徳ほか
©︎望月峯太郎/講談社・東北新社
「鮫肌男と桃尻女」はもともと原作のマンガが好きで、映画化するんだと楽しみにしていて。無名塾に入った頃に映画館で観たのですが、勉強するところ間違えたか!?と(笑)。大きな声ではっきりしゃべる演技を一生懸命学んでいたので、それとは真逆の浅野忠信さんの芝居に衝撃を受けました。あんなに生々しくリアルな芝居を成立させることができる人は浅野さんしかいないと思います。
──浅野さんとは共演経験もありますよね。
「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」という映画で初めて共演したときは、あまりのリアリズムに自分のセリフがいっさい出てこなくなりました。ずーっと空振りしている感じです。浅野さんと向き合うと“芝居”をしている自分が恥ずかしくなるんです。嘘が全部バレていく感じ。役所広司さんとご一緒したときも同じような感覚に陥りました。岩井俊二監督の「PiCNiC」だったり、浅野さんの影響を昔からものすごく受けていたんですけど、実際に共演してみると自分には一生あんなふうに芝居できないんだと思い知らされました。
──共演した際に、浅野さんの過去の出演作について話したりはされたんですか?
めっちゃ話しました! 「ロング・グッドバイ」というドラマでは、僕のメイク中とかにずっと横にべったり座ってくださって。何かしゃべるわけじゃないんですけど、ニコニコしながら僕の顔を見ているんです。映画の話からファッションの話まで「あれはああだったんですか!?」とか質問しまくりました(笑)。ずっと憧れていたから緊張しましたが、幸せな時間でしたね。浅野さんが素敵なのは、誰に対しても敬語なんです。そして誰かが来たら必ず立って挨拶する。「俳優は“俳優部”というチームだから、俳優同士で助け合わなきゃいけない。だからコミュニケーションを取って仲良くなりたいんだ」ともおっしゃっていて。本当に謙虚で人格も素晴らしい方です。
──とても尊敬されているんですね。dTVでは「鮫肌男と桃尻女」と同じく浅野さんと石井克人監督がタッグを組んだ「PARTY7」も配信されています。
うーん、でもやっぱり好きなのは「鮫肌男と桃尻女」かな(笑)。高校時代、クエンティン・タランティーノの「パルプ・フィクション」にとてつもない衝撃を受けたんですけど、そのようなテイストもあってとにかくかっこいい。我修院達也さん演じる殺し屋の山田は今観ても理解不能でインパクトがすごい。あの野沢直子さんがパンフレットで「ヤバすぎるやつがいる」と紹介されていたぐらいですからね。役者も演出もぶっ飛んでいてかっこいい作品でした。
──「スワロウテイル」が当時のカルチャーに与えた影響も大きかったのでは?
-
移民たちであふれ返る都市・“円都”。肉親を失った少女アゲハは、娼婦のグリコに引き取られる。あるときグリコは偽造紙幣のデータを手に入れ、仲間たちとニセ札作りを始めるが……。
- スタッフ / キャスト
-
監督・脚本・原作:岩井俊二
出演:三上博史、Chara、伊藤歩、江口洋介ほか
※R15+指定作品
©︎1996 SWALLOWTAIL PRODUCTION COMMITTEE
衝撃でしたよ、あの世界観は。多国籍の要素が入っていて、セリフもいろんな言語がごちゃ混ぜになっていて斬新でした。
──3カ国語が入り混じったセリフは発明とも言えますね。
そうですよね。この映画はリュック・ベッソンの要素も入っている気がします。伊藤歩さん(演じるアゲハ)は「レオン」のマチルダみたいだし、渡部篤郎さん(演じるラン)と山口智子さん(演じるシェンメイ)は「ニキータ」のヒットマンっぽい。三上博史さん(演じるフェイホン)たちは「スナッチ」のジプシーっぽくもある。グリコ役のCharaさんやリャンキ役の江口洋介さんにしてもキャスティングが見事ですし、音楽からファッション、隅々まで味わい尽くせる映画だと思います。今観てもスーパーおしゃれでした。
dTVの月額料金=小6の長男の小遣い!?
──改めて滝藤さんにとって“映画を観る”とは、日常においてどのような行為ですか?
考えたことないなあ、自分が映画を観る理由ってなんですかね。でも、「盗めるものを盗む」というのはあるかもしれないです。去年「博士と狂人」という作品を観たとき、ショーン・ペンの素晴らしさに感銘を受けました。映画を観ることで、自分の中に落とし込めるものはまだまだあると思ったんです。素晴らしい演技に触れて、なぜああいう芝居ができるのか、どういうアプローチから生まれているのか、自分の中で1つひとつ消化していき、自分なりのやり方で役に説得力を持たせる。でないと、ただの“真似”になってしまいますから。
──インプットの意味合いが大きいんですね。
でも映画って娯楽ですから。こう言ったら映画の仕事がなくなりそうですけど、スクリーンで観なくても、スマホやタブレットでもいいんですよ。移動中でも観れちゃうんですから、気になっている作品は配信でバンバン観るのがいいんじゃないですかね。イヤフォンをすれば周りに迷惑も掛からないですし。ただの移動が充実した時間になると思いますよ。僕は(データ通信量の上限が)100GBなんでWi-Fiも気にせず、どこに行っても観れます(笑)。
──100GBなら気兼ねなく視聴できますね(笑)。ちなみに今回ご使用いただいたdTVは、映画、ドラマ、アニメ、そしてミュージックビデオやライブといった音楽コンテンツもすべて含めて月額550円(※1)で楽しめるというコスパのよさも特色の1つです。一部レンタル作品もあるものの、滝藤さんが選んだ4作品はすべて定額料金でご覧いただけます。
550円!? うちの小6の長男の小遣いが500円だから、あと50円あげれば登録できますね。外ではスマホ、家ではテレビで観放題なのに、そんなに安いんですね。
──さまざまな動画配信サービスがある中で、どこに登録しようか迷っている方も多いと思います。滝藤さんから何かアドバイスをいただけますか?
登録しても、実際はそんなに観ないって人もいるでしょ? だから最初のきっかけとしては、絶対に安いところに入るのがいいと思う。dTVはこの料金でこのラインナップだから、観れば観るほど得した気分になるし、あまり観なかったとしても後悔が少ない(笑)。何回も言いますけど、うちの小6の長男の小遣いとほぼ同じ料金ですから! まずは安さで選んでみてはどうでしょうか?