dTV特集 滝藤賢一が配信作品を語る|スクリーンで観なくたっていい!「アンタッチャブル」に「スワロウテイル」…思い出の映画を気軽に観られる時代

dTVでは、映画やアニメ、ドラマなどを、人気作・話題作から名作まで幅広く配信中。さらにミュージックビデオやライブなど音楽コンテンツも含む多彩なラインナップを月額550円(※1)で楽しめる。

このたび映画ナタリーでは、dTVで視聴できる映画作品にまつわる特集を展開。日頃から動画配信サービスをよく利用している俳優・滝藤賢一にお薦め作品を挙げてもらった。ロバート・デ・ニーロの悪役ぶりが光る「アンタッチャブル」から、1990年代に日本のポップカルチャーに衝撃を与えた「スワロウテイル」まで思い入れたっぷりに熱弁! また「スクリーンで観なくても、スマホやタブレットでもいい」という持論を持つ滝藤に、配信サービスを選ぶポイントも聞いた。

取材・文 / 金須晶子 撮影 / 興梠真穂

こんな便利なことないんじゃないですか?

滝藤賢一

──今回dTVの配信作品から4本を厳選していただきました。選ぶのが大変だったのでは?

昔自分が好きだった映画について話せる機会ってなかなかないんですよ。同じ映画をもう1回観直す時間もないですし。だから、いい機会を与えていただけました!

──よかったです。滝藤さんは普段から動画配信サービスをご利用されているということですが。

子供が4人いるから家ではなかなか映画を観る時間が取れなくて。車で移動しているときに携帯で観るとか、そういう感じです。ただ去年は家にいる時間が増えたので、子供たちと映画を観る時間も作れました。

──どんな作品をご覧に?

何観たい?と聞いたら子供たちは「『鬼滅(の刃)』観ようよ!」ばかりなので、映画に関しては僕が選びました(笑)。「南極物語」や「男たちの大和/YAMATO」、あとは「リトル・ダンサー」「南極料理人」なんかを一緒に観ましたね。途中で飽きてしまわないように、これだったら最後まで観れるかな?とか考えたりしながら。

──世の中の状況的にも家族そろって映画館に行くのはなかなか難しいですが、お子さんたちにとって思い出の作品になったかもしれませんね。

家にいながら映画が選び放題なんて、こんな便利なことないんじゃないですか? 自分が若い頃に影響を受けた映画を、こうして家で簡単に子供たちと一緒に観れるのもいいなあと改めて思いました。

「M:i:III」は何回観たかわからない

──では選んでいただいた作品についてお話しいただきたいと思います。「M:i:III」はほかと毛色が違うというか、少し意外な気がしました。ハリウッド大作もお好きなんですか?

いや、ハリウッド大作“が”好きなんですよ。たくさんお金掛けました!みたいな、何も考えずに観れる派手な映画が大好き(笑)。やっぱりスカッとしたいです、映画ですから。中でも「M:i:III」は何回観たかわからない。トップテンに入る作品です。

「M:i:III」
「M:i:III」

フィアンセとの結婚を控え、諜報機関IMFで一線を退き後進の指導に当たっていたイーサン・ハント。教え子が誘拐されたことに端を発し、一連の事件に関与する闇商人の陰謀を知る。

スタッフ / キャスト

監督:J.J.エイブラムス

出演:トム・クルーズ、フィリップ・シーモア・ホフマンほか

滝藤賢一

──オールタイムベストテンですか?

そうです。もう最初の30分からクライマックス並みの盛り上がりだし、そのまま最後までぶっ通しで面白い。芝居はもちろん、アクション、脚本、もう何から何まで最高。「ミッション:インポッシブル」シリーズは1作目の監督がブライアン・デ・パルマ、2作目はジョン・ウーで。そしてJ.J.エイブラムスが撮ったこの3作目で、これまでとちょっとテイストが変わるんですよ。「007」のジェームズ・ボンドがダニエル・クレイグになったときにテイストが変わった、みたいな感じで。

──アクションも3作目からより派手で大胆になった気がします。

いかに前作のアクションより派手なことをやるかというトム・クルーズの挑戦も見もの。素潜りで6分間息を止めたとか、離陸する飛行機にしがみつくとか(笑)。

──「M:i:III」ならではの注目ポイントはありますか?

「M:i:III」より、フィリップ・シーモア・ホフマン演じるデイヴィアン。(写真提供:Paramount / Photofest / ゼータ イメージ)

なんと言ってもテンポがいい。(トム・クルーズ演じる)イーサン・ハントが“ラビットフット”を手に入れる一連のシーンは、乗り込むまでをしっかり描いて、次の場面では盗み終えて脱出するシーン。おい! そこ見せないのか!と一瞬思いますが、思い切りがよすぎて逆に気持ちがいい。そしてフィリップ・シーモア・ホフマン演じるデイヴィアン。あれは今まで観た映画の悪役でもかなりヤバいです。デイヴィアンが飛行機でイーサンに尋問されるシーンでは、まったく噛み合わない会話に異様な怖さを感じゾクゾクしましたよ。脚本の妙ですよね。うならされました。

──お話が止まらないですね!

いやあ、すみません(笑)。一番好きなシーンは冒頭のリンジーを救出するところなんですけどね。何度観ても鳥肌が立ちます。「M:i:III」はアトラクションの連発みたいなドキドキ感もずば抜けているんですよ。ドラマとアクションどちらもすごい、無敵の映画です!

──続いて、「アンタッチャブル」は名作中の名作です。

「アンタッチャブル」
「アンタッチャブル」

1930年代、禁酒法下の米シカゴ。財務省から派遣されてきた特別調査官エリオットは、ギャングたちの縄張り争いがエスカレートする中、暗黒街の男アル・カポネに立ち向かう。

スタッフ / キャスト

監督:ブライアン・デ・パルマ

出演:ケヴィン・コスナー、ショーン・コネリー、チャールズ・マーティン・スミス、アンディ・ガルシア、ロバート・デ・ニーロほか

僕らの高校時代のヒーローと言えばケヴィン・コスナーです。ここから「フィールド・オブ・ドリームス」「JFK」「ボディガード」の出演へと続いていく。とてつもなくかっこよかったですね。で、アル・カポネ役が(ロバート・)デ・ニーロでしょ? 映画史に残る悪役ですよ。でも、この映画のトメ(キャストクレジットで最後に名前が出てくる出演者)はショーン・コネリーなんですよ。デ・ニーロが髪を抜いて増量までして役作りしているのに、ショーン・コネリーが持っていく。役所広司さんが悪のトップを演じているのに、さらに仲代達矢さんが出てくるみたいなもんですよ(笑)。これはたまらない!

──デ・ニーロの悪役ぶりも魅力的ですよね。

「アンタッチャブル」より、ロバート・デ・ニーロ演じるアル・カポネ。(写真提供:Paramount Pictures / Photofest / ゼータ イメージ)

やっぱり悪役に惹かれますし、いつかアル・カポネのような役をやってみたいと思います。今日僕が被っているようなパナマ帽の殺し屋も出てきますけど、ああいう役に魅力を感じます。なぜ、こんな悪人が生まれたのか考えるのが楽しいんですよね。そこには、必ず彼らなりの正義がありますから。ひっくり返せば主役なんですよね。あれ? よくわからなくなってきた(笑)。

──最終的に強烈な印象が残るのは悪役だったりしますもんね。

悪が悪であるからこそ正義が光る。逆に悪が強くないと、正義も魅力的に見えませんから。「アンタッチャブル」のような昔の作品もこうして配信されているのはいいですね。CG慣れしている若い世代にこそ観てほしいです。