仲村は“誰もが通る道”(飯豊)
──作品のテーマからは少し逸れた話も伺いたいです。女性キャストの皆さんは、春日のような男子はアリだと思いますか?
玉城 仲村と春日って、本当のところはどっちが魔性なんだろう?と私は思っちゃいます。春日はすっごく優柔不断で自分では何も決めないのに、謎に頑固。だけど仲村が春日に惹かれていく感じは玉城としてもわかるし、自分の好きなものがちゃんとある人という意味では私は大丈夫です。
伊藤 “大丈夫”!?
秋田 自分の好きなものが周りに理解されなくても、好きな気持ちを貫いているところはかっこいいなと思います。でもブルマを嗅ぐのはちょっと……。
飯豊 私は学生時代に春日みたいな子に会ったことがなかったから、興味はありますね。
──伊藤さんは、女性キャラクター3人の中で1人だけ選ぶとしたら誰派でしょうか?
伊藤 仲村ですね(即答する)。仲村は言葉や行動がすごくわかりやすくて、見ていて愛しくなります。
井口 仲村さんは、育ってきた環境が違えばすごく優しい子になっていたと思うんですよね。ただ、僕が3人の中で選ぶとしたら常磐かなあ。
玉城 結局選ばれるのは常磐なんですよね。
井口 ああ、すみません! すみません!
飯豊 男性は常磐ファンが多いですよね。でも仲村はみんな一度は好きになるというか、誰もが通る道なんだと思います。私が男の子だったら中学で仲村、高校では常磐と付き合いたいな。
玉城 仲村は思い出の女……(笑)。泣ける!
──1つには絞りきれないかもしれませんが、最後に皆さんのベストシーンについても教えてください。原作者の押見修造先生は、秘密基地の中で仲村が足を組んだときに、春日が「ウッ」となる場面を挙げていました。
飯豊 ティナが伊藤さんに「このクソネズミが!」と言うシーンがかわいくてすごく好きです。
玉城 仲村と春日ならではのいちゃつきシーンだよね。
飯豊 うんうん。仲村と春日のセットがすごく愛しくなっちゃった。
玉城 私は春日が仲村の家でノートを盗み見るところ。仲村がいないからこそ彼女の感情が際立つ感じがして印象的です。あの場面から、春日が「今度は僕と契約しよう」と言うまでの流れは2人の形が変わっていく瞬間だし、「仲村はこういうのをずっと待っていた人生だったんだろうな」と感じられて、切ないけどちょっと救われました。
飯豊 それと春日と仲村、常磐の海のシーンも好きだな。春日が急に仲村を投げるのが衝撃的だった。私は海に入ってからはセリフじゃなく自分の言葉で「死ぬー!」とか普通に言っていて、完成した作品を観たらそれが使われていました(笑)。
玉城 「冷たい!」とかね。素直な感じがかわいかった。
秋田 私は春日と仲村が教室を汚すシーンが、マンガそのままで迫力があって好きですね。仲村の期待に沿いたいと思っている春日がすごいなと。
飯豊 あそこいいよねえ。
──さきほどから悩んでいた伊藤さんはどうですか?
伊藤 水泳の授業のときに、女子の中で佐伯のパンツだけ盗まなかったシーンです。「(佐伯にとって)それが一番傷付くことなんだよ」と言ったあと、めちゃくちゃ騒がしい学校の中で春日が完全にスイッチが入った顔をしていて……。あのシーンを大切にしたかったので、気合いを入れて臨みました。作品全体として観たときも、ブルマの匂いを嗅ぐシーンに次ぐくらい重要な場面だと思っています。
井口 あの場面は健太郎さんがご自身で「僕がやりますので」とおっしゃっていて、近付きにくい雰囲気さえあったので「任せた!」と託しました。僕は秘密基地も好きですが、やっぱり祭りのシーンが思い出深いです。一種の高揚感があって、お二人のお芝居の力の入れ方もすごかった。かなり寒い時期でしたよね?
玉城 11月でした。寒かったです!
井口 玉城さんはすごく薄着でがんばってくれましたね。カメラが回っている間は健太郎さんも玉城さんも一切震えなかったので、お二人の気合いの入れように感心しました。スタッフも役者も同じ方向に向かっていけているなと実感できたシーンでした。
2019年9月25日更新