映画「15時17分、パリ行き」 PR

OKAMOTO'Sオカモトショウが語る「15時17分、パリ行き」 同世代と語り合いたくなる映画

オカモトショウインタビュー

取材・文 / 平野彰 撮影 / 入江達也

単なる“よくできた映画”ではない

──「15時17分、パリ行き」、いかがだったでしょうか。

どんな映画なんだろうという期待とともに観に行きましたが、ものすごく変わった作品だなというのが第一印象です。単なる“よくできた映画”とはかけ離れた作品で、そこがすごく魅力的だと思いました。

──題材となったタリス銃乱射事件についてはご存知でしたか?

オカモトショウ

9.11以降いろいろなことが起きて、中でも近年のパリの同時多発テロや、ラスベガスのカントリーミュージックのフェスでの銃乱射など、ああいう事件はすごく記憶に残っています。ただタリス銃乱射事件は、たぶんニュースで見ているとは思いますが、そこまではっきりと覚えていたわけではなかったです。

──9.11と言えばショウさんはニューヨーク出身ですが、何歳頃までいらっしゃったんでしょうか。

5歳までです。基本的には日本に住んでいましたが、父親はずっとアメリカにいました。あと、母親は20代から30代の頃ずっとニューヨークにいて。だから母の友達や、俺の小さい頃の友達もニューヨークに多くて。

──テロの脅威を肌で感じたことはありますか?

9.11が起こったとき自分は小5か小6でしたが、ニュースを観てもそんなに実感は湧きませんでした。それこそ「映画みたいだな」というか。でも隣を見たら母が泣いていて、そのとき初めて、何が起こっているのかということを肌で感じました。母にはニューヨークに住んでいる親友がいるし、ミュージシャンの父はツアー中だったので連絡もつかなくて不安で。なので、家族も友達もみんな日本に住んでいる人よりは、テロのリアルな怖さのようなものはより強く感じていたかもしれないですね。

──ちなみに、テロを描いた映画というのはこれまでによくご鑑賞されてきたんでしょうか?

それはもう、たくさん観ています。直接的にテロを描いた映画だけではなく、中東で戦うアメリカ兵の物語だったり。

何を伝えたいんだろうと考えながら観た

──これまでに観てきたテロを題材とする映画と「15時17分、パリ行き」の間に決定的な違いがあるとしたらなんでしょう?

やっぱりまず、事件の当事者本人が出演しているということが一番変わっているなと思いました。あと、こういう映画だったらもっとドキュメンタリー風に撮っていてもおかしくないじゃないですか。でも本作は、映画的なショットで構成されている。それでいて、3人の旅のシーンがとても淡々としていて。物語に過剰な起伏を付けるようなことをしていない。ただ撮り方は映画的なんです。だからこそ、勘繰ってしまうというか、何を表現しているんだろうこれは、何を伝えたいんだろうと考えながら観ていました。ただ観ているだけで楽しめるというタイプの映画ではないなと。映っているのは、普通の人の日常なんですよ。セルフィー棒で写真を撮ったり、それをSNSにアップしたり、どこにでもあるような光景。

「15時17分、パリ行き」

──普通、映画にするときにはこぼれ落ちるようなシーンですよね。

そうなんです。それをあえて撮っているのはどうしてなんだろうと思って。テロ映画だけではなく、ほかのどの映画とも違っているなと感じました。

──本作はアムステルダム発パリ行きの列車で起こった事件をもとにしていますが、ヨーロッパにプライベートで行かれたことはありますか?

OKAMOTO'S結成5周年のときに、初めて3週間から4週間ぐらい休暇がもらえて、アムステルダムに行きました。タリスではないですが、まさにこの映画に出てきたような駅から、ああいう電車に乗って。ちょうどうちのギタリストの(オカモト)コウキもアムステルダムに来ていたので、現地で合流して。

奇妙なリアルさを感じた

──映画の中でも主人公の3人、アンソニー・サドラー、アレク・スカラトス、スペンサー・ストーンがアムステルダムで合流しますよね。

そうですね。なので“見たことがある景色”というと変ですけど、映画を観ていて「確かにこんな感じだったな」と思いました。

──本人役を務めた彼らの演技についてはどう思われましたか?

もはや演技ではないですよね(笑)。もし本人たちが“演技”をしようと意識していたら、不自然に映っていたかもしれない。単純に「下手だな」といった違和感を感じてしまったかもしれないです。でもこの映画では、そういう違和感をまったく感じませんでした。例えば宮崎駿監督は、本職の声優じゃない人を起用したりするじゃないですか。いかにも声優っぽくなることを避けるために。そういうものに近い、奇妙なリアルさを本作にも感じました。

──監督のクリント・イーストウッドによると、プロの俳優にとって一番難しいのは自分自身を演じることだそうです。

なるほど。考え込むというか、自分のまま映るってどういうこと?という思考に陥ってしまうんですかね。

──アンソニー、アレク、スペンサーの友情や関係性についてはどのように感じられましたか?

「15時17分、パリ行き」

友達になるきっかけや、友情を育んでいく過程を大げさに見せてないですよね。何か劇的なことが起きて友達になるわけじゃない。でもたいていの人は、そんなもんだと思っていて。俺も友達ができるときはそういう感じが多いですし。奥底に伝えたいことを忍ばせたうえで、あえて物語上の起伏を作ってないのかなと、観終わったあとにいろいろと考えました。

「15時17分、パリ行き」
2018年3月1日(木)公開
「15時17分、パリ行き」
ストーリー

2015年、オランダ・アムステルダムからフランス・パリへ向かって出発した特急列車タリス。乗客554名を運ぶその車内には、自動小銃やピストルで武装したテロリストも同乗していた。異変に気付いた乗客の制止を振り切り、テロリストは発砲。密室の車内が恐怖に包まれる中で立ち上がったのは、旅行のためタリスに乗っていた幼なじみの3人、アンソニー、アレク、スペンサーだった。

スタッフ / キャスト
  • 監督・製作:クリント・イーストウッド
  • 出演:アンソニー・サドラー、アレク・スカラトス、スペンサー・ストーンほか
  • 原作:アンソニー・サドラー、アレク・スカラトス、スペンサー・ストーン、ジェフリー・E・スターン「15時17分、パリ行き」(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
オカモトショウ
1990年10月19日生まれ、アメリカ・ニューヨーク出身。中学生時代からの同級生であったオカモトコウキ、ハマ・オカモト、オカモトレイジとともにOKAMOTO'Sを結成し、2010年5月に1stアルバム「10'S」でアリオラジャパンよりデビューする。同年11月に2ndアルバム「オカモトズに夢中」、2011年9月には3rdアルバム「欲望」をリリース。2013年1月に4thアルバム「OKAMOTO'S」を発表し、デビュー5周年の2014年には1月にリリースした5thアルバム「Let It V」を引っ提げて全国ツアーを行った。2015年9月に6thアルバム「OPERA」を、2017年8月に7thアルバム「NO MORE MUSIC」を発売。ソロ名義では2017年に、T・レックスのマーク・ボランのトリビュートアルバム「T. Rex Tribute ~Sitting Next To You~ presented by Rama Amoeba」に参加した。2018年4月よりソロツアー「オカモトショウ(OKAMOTO'S)TOUR 2018 ~Take Five~」を敢行する。