「そばかす」「夏の砂の上」の
休憩時間や帰り道、食事中など肩書や規則から解放される“営業時間外”をコンセプトに、「NORMEL TIMES」が“グラス1杯のウイスキーを味わう時間”で楽しめる作品として製作した「遠い人」。物語は台湾出身のポン・ルイユンが日本を訪れたことから始まる。出迎えたのはポン・ルイユンの恋人・笹本祐太の母である美弥子。祐太は仕事の都合で来られず、言葉も文化も違うポン・ルイユンと美弥子は思いがけず1日をともに過ごすことになる。そして2人は海辺を歩き、町の人々と触れ合いながら少しずつ心の距離を縮めていくのだった。
坂井はアートオークション関連の仕事をしている美弥子役を担い、オーディションで選ばれたリ・モンイファは祐太と台北の大学で出会ったポン・ルイユン役で日本映画に初出演。2人が宿泊する旅館のオーナー・佐久間義則を
玉田は“営業時間外”というコンセプトについて「旅行は余暇の時間のはずなんですけど、その中に仕事を離れきれない人がいる。(旅行に来ているのに)2人が交わりたいのになかなか交われないみたいな、そういう対立を人間関係の中に作るという、反映のさせ方を試してみました」と振り返る。坂井は「今は、“個”に重きが置かれがちな時代ですが、人と関わり合うことって面倒に感じる瞬間もある一方で、本当はとても愛おしいものだと思っています。誰かと共に時間を過ごすことの温かさや愛おしさを、この作品を通して感じていただけたら嬉しいです」とコメント。リ・モンイファは「たとえ国が違っても、恋人のご両親に会うというのは誰にとっても緊張するものだと思います。その気持ちを大事にしながら、相手の親御さんに良い印象を持ってもらいたい、ちゃんと見られたい、という心情を意識しました」と撮影を回想した。
なお「NORMEL TIMES」では、今後もショートフィルムをはじめとした複数のコンテンツを発信していく。
玉田真也 コメント
“営業時間外”というコンセプトをどのように作品に落とし込んだか
“営業時間外”は、働く時間を離れた17時以降の余暇の時間というコンセプトだったと思うんですけど。それが今回は、旅行は余暇の時間のはずなんですけど、その中に仕事を離れきれない人がいる。(旅行に来ているのに)2人が交わりたいのになかなか交われないみたいな、そういう対立を人間関係の中に作るという、反映のさせ方を試してみました。
主人公の関係性について
ただ仲のいい2人が旅をしていたら、それはプライベートだったらそれで楽しいんですけど、やっぱり(物語の中に)対立を仕組みたいっていう想いがあったんです。だからなんか気まずくならざるを得ないような、ちょっとねじれた関係の2人が旅をしなきゃいけないっていう風にしたかった。実際に日常でもあると思うんですけど、仲いい友達がいて、そいつが呼んできた友達がいて、その友達と3人で遊ぶ分には、まあいいんですけど、この一番仲いい友達は、もう1人の友達にとっても一番仲いい友達で。で、真ん中のその友達がトイレに行ったら、めっちゃ気まずいじゃないですか。その関係で1泊2日しなきゃいけないというのは面白いのかなと。
出演者の印象や、印象的なエピソード
坂井さんは、僕の前々作の長編映画に出演していて、その時からすごい良かったんです。お芝居に愛嬌がすごくありますよね。今回も、別の人が演じたらもしかしたら「嫌だな、このお母さん、仕事をずっと持ち込んで」って思われるような可能性もある役柄だと思うんですけど、坂井さんがやると、全部その愛嬌で嫌わずに済むんですよね。ちゃんと好きになれる感じがあって。そういう俳優さんだなと思っています。
李夢はオーディションで選んだんですけど、オーディションのときから圧倒的に何人か見た中でうまいんですよね。いろいろ質問して答えてもらったり、役について考えていることを答えてもらったりするんですけど、やっぱりその掘り下げ方もかなり考えている。オーディションを見てたときに、この人だったら言葉は通じないけど、対等に仕事ができそうっていう風に思いました。
坂井真紀 コメント
監督・玉田真也の印象
玉田監督は、“人と人との距離感”や“こだわるポイント”に独特のリズムがある方だと感じています。シーンごとに大切にする部分が違っていて、その度に新しい視点をもらえるので監督の演出に、いつもわくわくします。
撮影のテーマは“営業時間外だが、自身にとってリラックスできる時間について
私はバスケットボールを観るのが好きで、仕事を終えて、明日の準備もして、自分の自由時間ができたときに、試合を観るのがとても癒しになります。リラックスもできますし、思わず盛り上がってしまう時間でもあります。
本作の見どころや、受け取ってほしい思い
今は、“個”に重きが置かれがちな時代ですが、人と関わり合うことって面倒に感じる瞬間もある一方で、本当はとても愛おしいものだと思っています。誰かと共に時間を過ごすことの温かさや愛おしさを、この作品を通して感じていただけたら嬉しいです。
リ・モンイファ(李夢苡樺)コメント
撮影の感想
日本でお仕事をするのは今回が初めてなんですが、この環境の中でお仕事ができて本当に嬉しいです。東京に来るのは前回、家族と一緒に来た二十年前以来なんです。今回は一人で、そして仕事仲間と一緒に来られて、とても新鮮でした。撮影チームの皆さんも本当に良い方ばかりで、作品のストーリーもとても面白いんです。言葉の面でもいろいろ工夫がある作品で、スタッフの皆さんにもよくしていただき、本当に素敵な経験になりました。
恋人の母親に会うために日本を訪れるポン・ルイユンを演じるにあたって
そうですね。たとえ国が違っても、恋人のご両親に会うというのは誰にとっても緊張するものだと思います。その気持ちを大事にしながら、相手の親御さんに良い印象を持ってもらいたい、ちゃんと見られたい、という心情を意識しました。さらに、言葉の壁や文化の違いもあるので、自分の中ではプレッシャーが大きかったですね。ストーリーの中では恋人本人が登場しないので、私は「彼がいなくても、お母さんと自分だけで良い関係を築きたい」という設定を自分の中で加えました。
自身にとって“営業時間外”にあたるリラックスできる時間はどんな瞬間か。また、今回の撮影が終了して“営業時間外”を迎えたら何をしたいか
“営業時間外”というのは、私にとって「人と関わるときに被っている仮面を外す時間」だと思います。仕事でも友人関係でも、少なからず気を使う場面がありますよね。でも“営業時間外”は、他人の目を気にせずに、自分らしくいられる時間。今回の撮影が終わった後は、東京に少し残って、久しぶりにこの街の生活をゆっくり楽しもうと思っています。あまり深く考えずに、ただのんびりと過ごして、何が起こるか楽しみにしています。
映画ナタリー @eiga_natalie
玉田真也の短編映画「遠い人」配信、坂井真紀と台湾の俳優リ・モンイファが心を通わせる
岩谷健司、祷キララも出演
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