ブラジルのミュージシャン、ジルベルト・ジルが2020年に行った無観客ライブの映像が、映画「ジルベルト・ジル / ゴッド・イン・ヒズ・ガーデン」として11月28日より東京・TOHOシネマズ シャンテほか全国で順次公開される。
1942年、ブラジル・バイーア州のサルヴァドールで生まれたジル。1967年、ブラジル各地の要素を独自の視点で音楽へと昇華した初アルバム「Louvação」を発表し、以降60枚を超えるアルバムをリリース。グラミー賞を9度受賞するなど、50年以上にわたりブラジル音楽界を牽引してきた。2002年には文化大臣に就任し、退任するまでの6年間精力的に職務を果たした。2024年には16年ぶりとなる来日公演「Aquele Abraço Japan Tour 2024」を開催している。
新型コロナウイルスの影響下にあった2020年6月13日、ジルはリオデジャネイロ州アララスにある自宅の庭で、子供や孫の家族とともに無観客でのライブを実施した。ジルは「コロナ禍の中でも皆さんに聴いてもらうために、家族と暮らすブラジルの家からこうして歌えることを私は幸せに思います」と語り、家族であるメンバーを紹介。代表曲「Expresso 2222 / エスプレッソ2222」「Palco / 舞台」「Touche pas à mon pote / ぼくの仲間に手を出すな」に加え、ボブ・マーリーの「Three Little Birds / 3羽の小鳥」なども演奏し、パフォーマンスは日が暮れるまで続いた。このライブの模様はフランスのテレビ局が収録し、世界各国で配信。日本での劇場公開はこれが初となる。
本作の公開を受け、
映画「ジルベルト・ジル / ゴッド・イン・ヒズ・ガーデン」予告編
宮沢和史 コメント
故郷を愛し
自然を愛し
音楽を愛し
人を愛し
ボブ マーリーを愛し
ブラジルを愛し
世界を愛し
日本を愛し
家族を愛し
……
ジルはその人生で
数多くのものを愛し尽くしてきた
そして 他にそそいだ以上の愛に包まれ
今愛を歌っている
中原仁(音楽・放送プロデューサー)コメント
自然に囲まれた高原の別荘の庭で、娘のナラ(54歳)、息子のベン(35歳)、ジョゼ(29歳)、孫のフロール(11歳)と共に歌う、家長ジルベルト・ジル。つねに圧倒的なカリスマ性を発揮するライヴ・パフォーマンスとは異なる、普段着の穏やかな表情があるが、彼の歌声は人々を勇気づけ、抱擁し、共に生きることの大切さを訴える。
1985年にフランス語で作詞、録音した「Touche pas à mon pote(僕の仲間に手を出すな)」は、アフリカ系の移民への差別、人種差別の撤廃を訴える曲で、歌詞は今の時代にも深く突き刺さる。家族との平和な日々があるからこそ、当時80代目前だったジルが永遠の闘士であり続けることができるのだろう。
栗本斉(音楽&旅ライター / 選曲家)コメント
美しい自宅の庭園で、幅広い世代の家族に囲まれながら、淡々と名曲を歌い綴る。ただそれだけなのに、心が温かくなってくるのはなぜだろう。
コロナ禍のつらい時期だったからこそ実現した、親密なライヴ空間。トロピカリアにおける先鋭的なアプローチや、文化大臣として政治を支えた時代を経たからこそ生み出される、穏やかながら生命力に満ちた音楽。本国ブラジルで体感した時とも来日公演ともひと味違う特別なパフォーマンスに魅了されました。音楽愛と家族愛に包まれた至福のアンサンブルを体感していただきたい。
宮沢和史の映画作品
関連人物
栗本斉 ★著書『「90年代J-POPの基本」がこの100枚でわかる!』★「シティポップの基本」も!! @tabirhythm
ジルベルト・ジルの映画が11月28日から公開されます。推薦コメントも書かせていただきました。アットホームなパフォーマンスが素晴らしいです。ブラジル音楽ファンはぜひご覧ください!
ブラジルの音楽家、ジルベルト・ジルの自宅で行われた無観客ライブ映像が劇場公開 https://t.co/8ynlxbHekK