吉田修一の同名小説を映画化した本作は、任侠の一門に生まれながら歌舞伎役者の家に引き取られ、芸の道に人生を捧げる立花喜久雄の一代記を描いた物語。吉沢が喜久雄を演じ、黒川が彼の少年時代に扮したほか、横浜流星、高畑充希、寺島しのぶ、永瀬正敏、田中泯、渡辺謙らがキャストに名を連ねる。
9月21日(日)オープントーク
21日15時、2000人が集まった屋外会場で行われたオープントークでは、はじめに李が登壇し、韓国語で自己紹介。日本における実写映画の歴代興行収入ランキング2位を達成したことを受け、司会者から興行の成功について触れられると「テレビドラマやマンガの原作ではなく、伝統文化を扱った映画がここまで支持されたことに驚いている」と語った。「歌舞伎は国や人種を問わず、その美しさや歴史を感じることができる芸術だと思います」とコメントした。
中盤には吉沢と黒川がサプライズで登場。韓国語で自己紹介すると、会場からは大きな拍手が送られた。吉沢は「1年半という長い期間を1つの役に捧げるのは貴重な経験でした。実際の歌舞伎役者の方々の足元にも及ばないので、稽古をすればするほど、どれほど素晴らしい方々かを実感しました。あのときは『やるしかない』という意地でやっていました。これまでの作品とは比べものにならないほど覚悟が必要でした」と述べ、さらに「李監督からは、難しくて不可能な注文ばかりされました。しかし一方で、その注文は『役者なら乗り越えられる』という絶対的な信頼だと思いました。監督の言葉の中にある愛を感じられました」と振り返る。
黒川は本編での演技について質問されると「演技が本当に面白くて仕方ないです。本作の中で『寝る時間が無駄だ』というセリフがあるのですが、その気持ちはわかる」としながらも、「演技を楽しむためによく眠るように努力しています」と付け加えて会場を笑わせた。
9月21日(日)ガラ・プレゼンテーション上映
21日夜には、CGV Centum CityのIMAXシアターで約300人の観客を前に公式上映が行われた。「なぜ日本でこれほどヒットしたのか?」という質問に対し、李は「日本の観客にとって、歌舞伎は知ってはいても、実際に観たことがある人はそこまで多くない。そんな中で、新しいものを発見できる映画だったと思います。歌舞伎役者ではない俳優たちが長い期間をかけてトレーニングをし、歌舞伎役者の感情をキャラクターに溶け込ませたため、役者の方々の真剣さが観客の皆さんにも届いたのでは」と分析する。
吉沢は、オファーをもらった当時の心境について「李監督の『悪人』『怒り』は以前から大好きな作品で、いつかご一緒したいと思っており、目標でもありました。まだ台本がない段階でのオファーで、原作を読み、歌舞伎役者の役ということでハードルの高い役だと思いました。その時点ではまだ深く歌舞伎というものに関わったことがなく、どれだけ大変なものか想像がつかなかったですが、李監督への“愛”だけで飛び込みました」と述懐。約1年半にわたる歌舞伎の稽古を通して、「小さい頃から何十年も舞台に立って積み重ねている歌舞伎役者さんたちと並ぶということは到底無理な話だと、稽古を重ねれば重ねるほど実感していく日々でした。その中でどうにかやるしかないという覚悟と意地でどうにか必死になり撮影をしました」と明かした。一方、オーディションで選ばれた黒川は「歌舞伎の稽古は半年くらいでした。今までダンスなどもやったことがなかったので日本舞踊は難しかったですが、途中からお稽古が楽しくなり、演技に近い感覚ですごく楽しかった」と述べた。
観客とのQ&Aセッションでは、「歌舞伎を通してたくさんの美しさを教えてくれた映画だが、人間のどのような部分が美しいと思うか?」という質問に対し、女形を演じた吉沢は「自分の感情をコントロールできない瞬間や、何か必死に求めて恋焦がれる表情は、外から見ると美しく見えるのではと感じました。喜久雄が演じた(『曾根崎心中』の)お初も、恋のためだけに命を燃やしていく。こういった演目が多いのは、そういったものが見たいのだろうと。まっすぐ向き合う瞬間というのは、人を美しくするのかなと思います」と伝える。黒川も「長崎弁と関西弁の2つの方言を使いましたが、長崎弁の音の響きがとても美しかった。外国語でも、何を言っているのかわからなくても気持ちが伝わるときはうれしいし、美しいなと思います。今作は日本語ですが、韓国の方々に絶対届くだろうし、届いてほしいなと思います」と独自の視点で答えた。なお本作は11月に韓国でも公開される。
「国宝」英語字幕版の上映決定
日本では、東京・神奈川・愛知・大阪・沖縄にて10月3日から英語字幕版が上映決定。東京・TOHOシネマズ 日比谷、TOHOシネマズ 六本木ヒルズ、TOHOシネマズ 新宿、109シネマズプレミアム新宿、TOHOシネマズ 池袋、神奈川・横須賀HUMAXシネマズ、愛知・ミッドランドスクエアシネマ、大阪・TOHOシネマズ なんば、沖縄・シネマライカム、ローソン・ユナイテッドシネマ PARCO CITY 浦添の計10館で上映される。
映画「国宝」本予告
吉沢亮の映画作品
リンク
関連商品
映画ナタリー @eiga_natalie
【イベントレポート】「国宝」吉沢亮と黒川想矢が釜山国際映画祭で“美しさ”語る
5都府県にて英語字幕版も上映決定!
記事はこちら🔽
https://t.co/CP9PMMjRxy
#映画国宝 https://t.co/5RV7OYiFSJ