再びピアノを弾ける確率は1%、双子デュオの姉が語る難病の実体験「最大の困難」とは

実在する双子のピアニスト・プレネ姉妹の人生を題材にしたフランス映画「デュオ 1/2のピアニスト」。「再びピアノを弾ける確率は1%」という絶望的な状況にいた姉妹を描いた同作から、モデルとなった双子の姉ダイアン・プレネの独占インタビューが到着した。

本作は幼い頃からピアノに情熱を注いできた双子の姉妹が、自分たちの手が徐々に不自由になる難病にかかったと知りながらも、苦難と葛藤に立ち向かっていく物語。プレネ姉妹は幼い頃から数々のコンクールで受賞し、その頃から2台のピアノで演奏するピアニストを夢見て、切磋琢磨してきたそう。世界中から優秀な学生が集まるドイツの名門カールスルーエ音楽大学に入学し、ともに優秀な成績で学位を取得。ヨーロッパ各国でも音楽を学び、着実にピアノデュオとしてのキャリアを積み上げていた。

しかし、2人は両手が不自由になる病気に見舞われる。それは演奏中に骨折するほど骨が弱くなっていく遺伝性の難病だった。ダイアンは当時を「私たちが直面した最大の困難の1つは、家族が私たちを守るために病気を秘密にしたことです。しかし、それは逆効果でした」と振り返りながら、かつてのつらい経験をこう明かす。

「教授は両親の言葉を信じ、私たちの言葉には耳を貸さず、私たちのピアノの進歩が遅いことに苛立ち失望していました。私が病気について打ち明けても信じてくれず、『君たちの両親は大丈夫だと言っている』と言い張りました。この状況は大きな緊張を生み、ついには私を“怠け者”と呼ぶようになりました」。

病気が進行していく中で、姉妹は数年にわたる集中的なトレーニングを行った。ダイアンは「私たちは決してあきらめませんでした。むしろ、障害や困難を乗り越えるために倍の努力をしました。そして、多くの研究と試行錯誤の末、新しいピアニストとしてのアプローチが生まれました」と回想。筋肉の回復を助け持久力を最適化する身体認識と、体力を温存するためピアノを使わずに楽譜を暗記する精神集中の実践を重ね、ついに2人だけのピアノテクニックと曲目を開発する。そして「再びピアノを弾ける確率は1%」という医師の言葉に反して、難病を克服した。

そんなプレネ姉妹の闘いと苦しみ、そこからの回復に胸を打たれたのが、本作で監督・脚本を担ったフレデリック・ポティエとヴァランタン・ポティエの親子だ。数々の逸話の中から、映画では2人に難病が降りかかってからの1年にフォーカスし、人生のすべてを懸ける姉妹の姿を描いた。

本作についてダイアンは「フレデリックとヴァランタンは私たちの人生をもとに、現実とフィクションを巧みに織り交ぜた素晴らしい映画を作り上げました。その感動的なストーリーに、心から敬意を表します。この映画が多くの人に勇気を与える作品になることを願っています。人生の困難に直面している人々が、どんな状況でも最善を尽くし、希望を持ち続けることの大切さを伝える作品です」と語っている。

「デュオ 1/2のピアニスト」は2月28日より東京・新宿ピカデリーほか全国でロードショー。Netflixシリーズ「エミリー、パリへ行く」のカミーユ・ラザが双子の姉クレール、フランスの新星メラニー・ロベールが妹のジャンヌを演じた。

映画「デュオ 1/2のピアニスト」本予告