「エクソシスト」監督ウィリアム・フリードキンが87歳で死去

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フレンチ・コネクション」「エクソシスト」で知られる映画監督のウィリアム・フリードキンがアメリカ現地時間8月7日にロサンゼルスで死去。87歳だった。

2016年の第59回カンヌ国際映画祭に参加したウィリアム・フリードキン。(写真提供:PHOTOPQR / LE PARISIEN / MAXPPP / ゼータ イメージ)

2016年の第59回カンヌ国際映画祭に参加したウィリアム・フリードキン。(写真提供:PHOTOPQR / LE PARISIEN / MAXPPP / ゼータ イメージ)

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Varietyなどの報道によると、その死は妻シェリー・ランシングの友人であるチャップマン大学の学長スティーブン・ギャロウェイによって確認された。遺作はキーファー・サザーランド主演の「The Caine Mutiny Court-Martial(原題)」。8月30日に始まる第80回ヴェネツィア国際映画祭での初披露を目前に控えていた。

「エクソシスト」場面写真 (写真提供:Warner Bros. Pictures / Photofest / ゼータ イメージ)

「エクソシスト」場面写真 (写真提供:Warner Bros. Pictures / Photofest / ゼータ イメージ)[拡大]

1971年に発表した「フレンチ・コネクション」は、第44回アカデミー賞で作品賞、監督賞など5部門を受賞。道徳的に腐敗した主人公の造形や当時としてはテンポの早い編集など、のちの映画やテレビドラマにおける警察というジャンルの試金石となった。続いて監督した1973年の「エクソシスト」は全世界で5億ドルの興行収入を記録し、ホラー映画の常識を覆した1本。日本でも1974年に公開され、1970年代オカルトブームの原点となったとも言われている。

1935年にシカゴのウクライナ系ユダヤ移民の家庭に生まれたフリードキン。幼い頃から映画館に通い、オーソン・ウェルズ、アンリ=ジョルジュ・クルーゾー、アルフレッド・ヒッチコックらの映画をこよなく愛したという。学校卒業後すぐにドキュメンタリーとテレビの世界で働き、ドキュメンタリー番組を数多く手がける。やがて「ヒッチコック劇場」の後期シリーズを監督してブレイクし、ハリウッドに移った1967年には長編デビュー作「ソニーとシェールのグッド・タイムス」を撮った。

1970年にはオフブロードウェイで評判を呼んだ舞台を「真夜中のパーティー」として映画化。ゲイの男たちの嫉妬、愛憎、悲しみが絡み合う一夜を描いた同作は、のちのハリウッド映画における同性愛への認識を変えた作品とも言われる。

「フレンチ・コネクション」場面写真 (写真提供:20th Century-Fox / Photofest
/ ゼータ イメージ)

「フレンチ・コネクション」場面写真 (写真提供:20th Century-Fox / Photofest / ゼータ イメージ)[拡大]

「フレンチ・コネクション」の成功でアメリカンニューシネマの監督として地位を確立。「エクソシスト」を大ヒットに導き、1977年にはクルーゾーの同名映画をリメイクした「恐怖の報酬」を発表した。2年を超える製作期間を費やしたが、日本をはじめ北米以外ではフリードキンに無断で約30分がカットされた短縮版として公開、さらに共同出資が原因で権利者不明状態に陥り、長きにわたって世界的に上映不可という憂き目に。しかしフリードキンは2011年、自ら映画会社を相手に訴訟を起こし権利者を特定したうえで、完全版の修復に着手。日本でも2018年に「恐怖の報酬(オリジナル完全版)」として封切られた。

このほか主な監督作に「ブリンクス」「クルージング」「L.A.大捜査線 狼たちの街」「ガーディアン 森は泣いている」「英雄の条件」など。2000年にはフリードキン自ら手を加え、未公開シーンを追加した「エクソシスト(ディレクターズ・カット版)」も公開された。2017年にはドキュメンタリー映画「The Devil and Father Amorth(原題)」を発表。同作では現在、異例のヒットを飛ばす「ヴァチカンのエクソシスト」の主人公のモデルとなった神父アモルトに密着している。

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(情報提供:IndieWire / VM / ゼータ イメージ)

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読者の反応

森本 泰平|意味と衝動 @Punchingmonster

歴史的傑作『エクソシスト』や『フレンチコネクション』もいいけど、何と言っても『恐怖の報酬(77年版)』が好き。ニューシネマの傑作として公開されるはすが、76年にロッキー、77年の前月にスターウォーズが公開され、完全にニューシネマが葬られた後に公開されるという不幸。恐怖の報酬と共にR.I.P https://t.co/eR5ocJvaJK

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