「ゾンビ」メインキャスト来日、磯村勇斗がロメロ愛を熱弁「深いメッセージがある」
2019年11月28日 21:38
6 映画ナタリー編集部
「ゾンビ-日本初公開復元版-」のプレミア上映会が本日11月28日に東京・ヒューマントラストシネマ渋谷で開催され、キャストのケン・フォリー、ゲイラン・ロスが登壇した。
日本では1979年に初めて封切られたジョージ・A・ロメロ監督作「ゾンビ」。メインキャストであるフォリーとロスは、SWAT隊員ピーターとテレビ局員フランをそれぞれ演じた。まずフォリーが「日本に来てたくさんのファンの皆さんに会ってご挨拶できること、大変うれしいです」と長い日本語で挨拶をすると、客席からは割れんばかりの拍手が起こる。クラウドファンディングによって初来日が実現したロスも「皆さんのサポートによってこのような1日を迎えることができて、とてもうれしいわ」と喜んだ。
そして、SWAT隊員ロジャー役のスコット・H・ライニガーからビデオメッセージが到着。ライニガーからの「50周年記念にはぜひ僕を呼んでくれ」というコメントに、フォリーは「僕もぜひ来たいと思っているよ。みんな来てくれるよね?」と呼びかけ、会場を盛り上げる。公開から40周年を迎えた本作についてロスは「撮影が終わったらすぐに普通の仕事に戻るんだろうな、と思ったこともあったの。でも、こうして40年経っても多くの人に支えられて、いろんな国の方々にお会いできるなんて、当時は監督のジョージですら想像してなかったと思うわ」と心境を吐露。するとフォリーは、友人の俳優と知り合ってしばらく経ってから「あの『ゾンビ』に出ていたの!?」ととても驚かれたというエピソードを披露した。
当時の撮影に関して話が及ぶと、ロスは「女性らしく泣き叫ぶことはやりたくないとジョージに伝えたの。でも最初のほうに叫ぶシーンがあるんだけど、それは編集のときにジョージが勝手に入れたのよ(笑)」と告白。それを受けてフォリーが「彼女は意見をはっきり言うほうで強い女性だったから、当時はそのことをよくからかっていたりした。でも、そうやって一緒に作品を作り上げたことを、とても光栄に思っているよ」と改めて感謝を伝えると、ロスは喜びながらも「40年も経って今言うの?」と返して笑いを起こした。
また2017年7月に死去したロメロについて、フォリーは「もともと俳優ではなかったキャストも多いんだけど、ジョージはそれを知ったうえでケアをしてくれたりと優しかった。それが彼の人柄を表していると思うな」としみじみ述懐。ロスも「亡くなる直前まで親しくしていたの。彼はとてもセンチメンタルな人で、好きな映画の話をすると泣いてしまうようなこともあったわ。そして、社会的な公平性にとても関心のある人だった。『ゾンビ』でも人間たちは一歩間違えればゾンビ側に行ってしまう、という問題提起をしているわよね」とロメロへ思いを馳せた。
ここで、ゲストとして磯村勇斗が登場しフォリーとロスへ花束を贈呈。大の「ゾンビ」ファン、ロメロファンであるという磯村は「同じ場所に立たせていただいていることに感激しています!」と喜びをあらわにする。そして「人間の底の部分を抽象的に描いているというか、深いものを感じました。ゾンビはただの敵ではなく、人間が人間のことをしっかり考えなくてはいけないというロメロのメッセージがあると思います」と磯村が熱を込めて感想を伝えると、フォリーは「すごくクレバーだね!」と大きくうなずく。また磯村は、日本初公開復元版を「観たときに『俺、40年前に生きていたかったな』と率直に思いました。たくさんの人にもう一度『ゾンビ』を感染させたいですね」とアピールした。
「ゾンビ-日本初公開復元版-」はヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国で順次公開。本作はダリオ・アルジェント監修版にゾンビ発生の状況説明を加え、過激描写に独自の編集を施した115分のバージョンとなっている。
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