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ジョニー・ウィアーが明言、ジョン・カリーの遺伝子継ぐ選手はS・ランビエール

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「氷上の王、ジョン・カリー」トークイベントに出席したジョニー・ウィアー。

「氷上の王、ジョン・カリー」トークイベントに出席したジョニー・ウィアー。

氷上の王、ジョン・カリー」のトークイベントが本日6月11日に東京・新宿ピカデリーで行われ、プロスケーターのジョニー・ウィアーがゲストとして登壇した。

「氷上の王、ジョン・カリー」は、“スケート界のルドルフ・ヌレエフ”と評された英国のフィギュアスケート選手、ジョン・カリーの活躍と彼の内面に迫るドキュメンタリー。アメリカの元オリンピック選手であるウィアーは、プロスケーターとして活躍するほか、羽生結弦をはじめとしたフィギュアスケーターの衣装デザインを手がけることでも知られる。このたび、世界のスケーターたちが集結する「ファンタジー・オン・アイス 2019」への出演に合わせて来日した。

ウィアーはチャーミングな笑顔を振りまきながら、流暢な日本語で「皆さん、こんばんは。ジョニー・ウィアーです!」と挨拶。本日着用してきたカラフルな衣装については「イッセイ ミヤケ! 神戸の大丸で買いました」と明かした。そして「フィギュアスケート界だけでなく、自分らしさを求めている皆さんのためにも重要な作品」と本作をアピールした。

カリーは同性愛がかろうじて合法と言えるようになった1970年代、ゲイであることが公となった選手。偏見に屈することなく高みを目指し、現在までフィギュアスケート界に大きな影響を与えてきた。ウィアーは「完璧主義で、細かいところを見逃さない。彼の表現力や技術を超える選手は当時いませんでした。それに彼は衣装や音楽を自分の独特な感性で選び、どんなに厳しい問題に直面してもクリエイティブでありました。そこが非常に魅力的です」と彼の魅力を熱弁する。

司会を務めた蒲田健から「それはイコール、ジョニー・ウィアーでは?」と指摘されると、ウィアーは「うれしいお言葉」と笑みをこぼし「ジョン・カリーのような存在があったからこそ、私は氷上で自分らしいスケートができるようになりました」と胸を張る。「ほかにカリーの遺伝子を受け継いでいる選手は?」という質問には、スイスのフィギュアスケーター、ステファン・ランビエールの名を即答。日本のスケーターからは町田樹と宮原知子の名を挙げて「この世に美しいものが現れると、時を超えて人に影響していく。彼らも直接ではありませんが、カリーの影響を受けていると思います」と語った。

ウィアーは本作にインタビュー出演しており、セクシュアリティへの偏見と闘ったカリーをたたえている。「私はゲイであって周りから注目されてきましたが、自分では生まれつきだという認識でいます。このように自分を隠さずフィギュアスケートをやってこれたのは、過去に同じ戦いをしてきた人たちのおかげ。ジョン・カリーもその1人です」と話すウィアー。2006年のトリノオリンピックで初めて五輪に出場した際、結果を残せなかったが、その後の記者会見で受けた質問はセクシュアリティに関するものばかりだったという。そして「私は選手として失敗したんだから、どういう気持ちか聞いてほしかった」と当時の悔しさを述懐。次のバンクーバーオリンピックでは最高のパフォーマンスができたと感じたが、それでも性差別的な発言を受けた。そんな経験を明かしつつ、ウィアーは「私自身は強い人間だと思っています。でも、こんなふうに強くない人もたくさんいる。そういう人たちをサポートしたいと思って今までやってきました」と再び笑顔を見せた。

2022年に現役プロスケーター引退を表明しているウィアーは、これまでを振り返り「すべての瞬間が心に刻まれて、貴重な経験でした」としみじみ。「選手の引退を発表したとき、この道は自分だけでなく、ファンの皆さんも一緒に歩んできてくださったんだと感謝の気持ちが膨らみました」と言葉に力を込めた。また「この話をすると毎回涙が出てしまう」と目をうるませ、「フィギュアスケートをやめたくない気持ちは強いです。でも当然若い選手がいて、自分が去ったあと彼らがその場に立ち、彼らがまた若い選手を支える。そういう流れを見守り続ける立場になっていって、これから新しい挑戦ができることも楽しみに思っています」と今の素直な気持ちを打ち明ける。最後に「皆さん、いい夏をお過ごしください。熱中症に気を付けてください!」とメッセージを残し、姿が見えなくなるまで観客に手を振り続けて会場をあとにした。

「氷上の王、ジョン・カリー」は全国で上映中。

(c)New Black Films Skating Limited 2018 / (c)2018 Dogwoof 2018

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