宮沢りえが市川準との日々を回想、「『また一緒に』と言われたのがうれしかった」

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本日12月6日、特集上映「目黒シネマ名作チョイスVol. 13 市川準監督特集2015 市川準と女優たち」のトークイベントが東京・目黒シネマにて開催され、女優の宮沢りえ、同特集の企画者である映画監督の犬童一心が登壇した。

宮沢りえ

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「目黒シネマ名作チョイスVol. 13 市川準監督特集2015 市川準と女優たち」トークイベントの様子。

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このトークイベントは、1人の孤独な男の年代記を描いた市川の監督作「トニー滝谷」の上映後に行われた。本作でA子とB子の2役を演じた宮沢は「いい映画ですね! 作品として素晴らしいし、市川さんが亡くなったことを自分の中に刻んで観るとまた違いますね」とコメント。そして「映画の中にB子がA子の洋服を着て泣いてしまうところがありますよね。普通は泣く動機が台本に書かれていたり、監督が説明してくださるじゃないですか。市川監督はそういうものが1つもなくて『僕もよくわからないから、やってみてくれるかな』とおっしゃるんです! 監督はとてつもないハードルを当たり前のように与えてくださる方で、役者として鍛えられました」と続ける。

犬童一心

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さらに1993年に発表された「病院で死ぬということ」の制作時に、宮沢が「私も監督の映画に出たいです!」と市川に直訴したというエピソードが披露されると、客席から驚きの声が上がる。宮沢は「まだ10代で『Santa Fe』を出したりとかしてキラキラしている、“宮沢りえ!”という頃で。そのとき市川監督は『いやあ、僕の映画は、宮沢さん出るところないな……』とおっしゃられたんです。だから『トニー滝谷』のあとに『また一緒に映画を撮りましょう』と言われたことがうれしくて。何よりもの褒め言葉としてずっと覚えています」と振り返った。また犬童は「僕は『トニー滝谷』を観て、宮沢さんで『グーグーだって猫である』を撮りたいと思ったんです。宮沢さんって『ベルリン・天使の詩』のピーター・フォークみたいに、もとが人間じゃないような感じがするんですよ。だから『病院で死ぬということ』には出られないけど、(『トニー滝谷』のA子およびB子役は)宮沢さんなんだなと感じました」と、本作における宮沢の魅力を語った。

「市川準監督特集 2015 市川準と女優たち」ビジュアル

「市川準監督特集 2015 市川準と女優たち」ビジュアル[拡大]

話題はふたたび「トニー滝谷」へ。宮沢が「この作品が海外で公開されたあと、個人的に旅行に出かけたんです。そのときに会ったイギリス人の男の子が『君は「トニー滝谷」に出ていたよね? あの作品は僕の一番好きな映画なんだ! でも、君がA子だったかB子だったかはわからなくて……」と声をかけてくれて。どちらも私だということを説明しても、なかなかわかってもらえなかったんですが、それがすごくうれしくて。私という存在を知らない方が観ると、(A子とB子が)まったく違って見えるんだなって。そのことを監督にずっと報告したいと思っていたんです」としみじみ述べる。

最後に宮沢が「無理難題を言われても挑戦しようと思えるだけの筋力を養ってくれたのは、市川監督だと思います。言葉で褒めてもらったことは少ないけど、がんばったときには肩をポンポンとしてくれました。一緒に同じ時間を過ごして、ものを作れたことがとても幸せです」と市川への思いを明かし、イベントは終了した。

「目黒シネマ名作チョイスVol. 13 市川準監督特集2015 市川準と女優たち」は、12月11日まで同館にて行われる。

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