劇場編集版「
しろは役・小原好美の起用は「鶴の一声」
4月からTVアニメが連続2クールで放送中の「Summer Pockets」。原作ゲームにおける4人のヒロインのルートが順次展開される形でアニメ化されており、劇場編集版では週替わりで「久島鴎編」「紬ヴェンダース編」「空門蒼編」、そして今回の「鳴瀬しろは編」と順次上映されてきた。それぞれで舞台挨拶も行われており、4回目のこの日は小原が作中でのキーアイテム・チャーハンの食品サンプルを携えて登場。終始アットホームな空気感の中トークが行われた。
劇場編集版では新たなキャラクターソングがエンディングに使用されており、しろはの楽曲「Luminous」の歌詞は原作ゲームのしろはシナリオを担当した新島夕が手がけている。小原は「めっ……ちゃ難しかったです! でもレコーディングのときは“『サマポケ』と言えば僕たち・私たちです”という方々が集まってくださる」と、チームの「サマポケ」愛に支えられて心強かった様子。しろは編の内容について魁が「しろはがあまり感情を表に出さないところからスタートして、最初に大きく感情を出す場面が、僕の中ではあの溜め池のシーンなんです」と触れると、小原はファンの歓声に応え、作中のしろはのセリフ「れいだーん」を披露し会場を沸かせた。
小原が「(中島と魁が)最初は敬語だったのに、さっきの打ち合わせでため口になってて。2人がどんどん仲良くなってますよね。そこ代わりましょうか?」と中島プロデューサーと立ち位置を交換すると、台本を見ながら「しろは役が小原さんに決まった理由は?」と自ら問いかける流れに。魁が「スタジオオーディションをしたその日のうちに、しろはの生みの親である新島さんが『小原さんです』と。『小原さんじゃなかったら僕はスネます』とまで言われました」と鶴の一声で決まったことを話すと、小原は「とってもうれしい話ですね」と照れながら進行に努め、その様子に客席からは温かな笑い声が上がった。
“あの場面”がまた演じられる、そこを目指してやってきた
改めて中島プロデューサーから、アニメの「しろは編」およびその先の「ALKA編」で印象に残る場面を聞かれた小原は、「アニメならではのキュッとなる尺で、しろはが羽依里と打ち解けていく感じや、うみちゃんへの母性が増していくグラデーションが極端になってしまうと、アニメが初見の人は理解が追いつかないかもしれないなと。そこはすごく考えました」と振り返る。TVアニメ最新話の22話についての話題では、魁が放送前のチェックをしながら「ダメだ、このままだと俺は仕事中に泣いてしまう」とたびたび一時停止して天を仰いでいたと明かし、「展開も知っている、ともすればセリフを作った人間なのに、泣かされてしまう。それだけ素晴らしいお芝居をしていただいて、本当にありがとうございます」と小原に改めて感謝を伝えた。
TVアニメはいよいよクライマックスの「Pocket編」に突入。魁は「原作を知っている方は『とうとう来ちまったか』と思いますし、アニメから入った方は『何が起こるんだろう』という期待に打ち震えていると思います。これが終焉になるので、ぜひ見届けていただきたい」とアピール。小原は「あまりこういうことは言わないのですが、最後にかけてはけっこう覚悟を持って演じていきました。第1話を録る前からプレッシャーを感じていたんですが、“あの場面”が映像としてまた演じられるんだと、そこを目指してチームでやってきたので、最終話まで見届けてください」と呼びかけた。
Key作品をアニメ化する覚悟
コミックナタリーでは舞台挨拶終了後に、魁と中島プロデューサーへ取材を行った。魁はステージ上でも「中島さんの熱量がなければここまで盛り上げることはできなかった」と述べていたが、改めて中島プロデューサーやアニメーション制作のfeel.をはじめとする制作陣の作品愛と、ファンの作品愛が合わさって盛り上がっている作品だと強調する。中島プロデューサーは「原作ファンを裏切りたくないというのが第一でした。それと同時にアニメから原作を知っていただいた方含め、みんなで作品を盛り上げていきたい。その方向に持っていけたのは、ビジュアルアーツさんがあくまで対等にディスカッションをしてくれた、歩み寄っていただけたのが大きいです」と返答。原作とアニメの幸福な関係性を感じ取ることができた。また「Keyさんの作品という否が応でも注目が集まる作品を、一緒に作ってくださったfeel.さんの覚悟もあったと思います」とスタジオへの深い感謝も示した。
演出だけで胸が締め付けられるのはアニメならでは
2人に改めて「しろは編」以降の印象的なシーンを尋ねると、中島プロデューサーは20話から、羽依里と小鳩の水中格闘技後の、コミカルながらもうみへの愛情がにじむ場面を挙げる。魁は22話、羽依里としろはが飛ばした紙飛行機を追うように虹色の紙飛行機が飛んでいく場面を挙げ、「言葉じゃなく、演出だけで胸が締めつけられるのはアニメならではだなと。どの場面も、動いていることで表現の幅がすごく広がっていて素晴らしいです」と太鼓判を押した。
9月末でTVアニメの放送は終わるものの、「決して『Summer Pockets』が終わるわけではなく、これからも盛り上げたいという意思があります」と魁。続けて魁は「残り数話ですが、『ALKA編』を超える感情の昂りが皆さんをお待ちしています。観終えたときには、より鳥白島を好きになっているんじゃないかと思います。ぜひ聖地巡礼などもしていただいて、より『Summer Pockets』を感じてもらえたら」とメッセージを贈る。作品の舞台・鳥白島のモデルには香川県の直島、女木島、男木島があるが、実際に移住しているファンも複数いるという。男木島・女木島の名所をキャラクターボイスとともに巡れる音声ガイドも無料で提供されているので、最終話まで観終えた後、感動とともに聖地を訪れてみては。
小原好美のほかの記事
関連人物
あかねぞら @akanezora24
【イベントレポート】「Summer Pockets」クライマックスに向け小原好美「そこを目指してやってきた」 https://t.co/ZyrMjbOCdO