これは手塚プロのクリエイターと、「ブラック・ジャック」を学習したAIの力を駆使し、同作の新作制作を試みるプロジェクト。2019年に発足した、“手塚治虫の新作マンガ”の創作を試みるプロジェクト「TEZUKA2020」に続く第2弾となる。「TEZUKA2020」では読み切り作品「ぱいどん」が制作され、モーニング2020年13号(講談社)に掲載された。プロジェクトに参加している慶應義塾大学の理工学部教授・栗原聡氏と、手塚プロダクションの取締役・
栗原聡(慶應義塾大学理工学部教授)コメント
「TEZUKA2020」に参画したことで、クリエイティブなタスクへのAIサポートの可能性を強く感じたものの、同時に人の創造力に対してまだまだAIの力量が足りないことを痛感しました。 この経験が現在の「AIとマンガの共創の可能性」を追求する、NEDOに採択された研究プロジェクトの立ち上げに繋がったのですが、研究を進める中、絶妙なタイミングで我々の研究プロジェクトにとって大きな追い風となるChatGPTのような生成AIが登場したことは極めて幸運なことでした。 今回、私たちはインタラクティブなやりとりを通してクリエイターの創造的作業をサポートする、GPT-4を基盤とするAIのコンセプトを提案しております。 無論、素晴らしい技術には、今多方面で議論されている負の面に対してもしっかり考える必要があります。 この研究プロジェクトを通して、さらに進化していくAIと人・社会がどのような関係を構築することが、今後のあるべき人間社会の実現のために必要であるのかという、根元的な問いへのひとつの答えに辿り着けるのではないかと思います。 まずは、「TEZUKA2023」により、どのような作品が完成するのか自分自身楽しみです。
手塚眞(手塚プロダクション取締役)コメント
「TEZUKA2020」では、「ぱいどん」というマンガを制作しましたが、そのときAIはまだマンガ初心者で、慎ましい関わり方でした。それから3年。AIは飛躍的に進歩しています。もう初心者とは言えないということで、ハードルを一気に高くして、手塚治虫の代表作である「ブラック・ジャック」(BJ)の新作に挑戦します。「BJ」はエピソード数も多く、あらゆるジャンルを含み、手塚治虫のエッセンスが凝縮されている作品。そして、コロナ後の今の時代が一番渇望しているコンテンツと言えます。今回は様々なクリエイターが実際にAIと共同制作することで、コンテンツ作りの新たな方法論を生み出せるでしょう。日本のマンガ文化が、また新しい未来を手に入れるのかもしれません。
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「ブラック・ジャック」新作が今秋に発表、AI×手塚プロの新作制作プロジェクト
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