「上を下へのジレッタ」は1968年から週刊漫画サンデー(実業之日本社)に連載された。業界を追われたテレビディレクター・門前市郎が、誰でも体験できる妄想の世界「ジレッタ」を発見したことから起こる大騒動を描く。今日では現実となったヴァーチャル・リアリティの世界を、文明批判とともに活写した異色作だ。
同作が舞台化されるのはこれが初めてで、歌とダンスを取り入れた“妄想歌謡劇”として上演される。横山は主人公の門前市郎役に決定。天才テレビディレクターを自称し、才気と野心に溢れたダークヒーローという役どころだ。
出演にあたり横山は「倉持さんの世界と手塚治虫さんの世界が交わって、どんな化学反応が起きるのか楽しみですし、僕にとっても挑戦の舞台です」とコメント。倉持は「主人公の門前を演じる横山裕さんには、目的達成のためには手段を選ばず猛進する野心家の顔と、プライドの高さゆえに傷つきやすい顔の両面を、楽しんで演じ分けてもらえたらと期待します」と寄せた。詳しい公演情報などは続報を待とう。
横山裕コメント
原作漫画を読んで、連載された1968年という時代にこんなブッ飛んだ世界観が描かれていたことにまず驚き、これをどうやって舞台化するんだろう!?と興味が湧きました。主人公がダークヒーローだというのも面白さの1つだと思います。このアクの強いキャラクターの成り上がり、堕ちていく姿があまりにも生々しくて…。門前市郎という人はすごく人間らしくて、自信家なんでしょうね。自分と照らし合わせた時に、僕はここまで我が強くないし、もっと気を遣って生きてるからなあ…と気後れしましたけど(笑)。でもだからこそ憧れるし、やってみたいな!と強く思いましたね。
倉持さんの舞台「家族の基礎」を拝見して、その面白さに、とても緻密な計算のもとにモノ作りをされる方なんだろうなと感じました。その時「すでに『上を下へのジレッタ』の舞台の世界観は見えている」とおっしゃっていたので、もうこの人について行こう!と。倉持さんの世界と手塚治虫さんの世界が交わって、どんな化学反応が起きるのか楽しみですし、僕にとっても挑戦の舞台です。まだ明確に何とは言えませんが、そこに向かって今も頑張っているので、新しい横山裕を見せられるんじゃないかなと。僕自身、期待を持って楽しく作品に身を委ねようと思っています。
倉持裕コメント
今回の原作である「上を下へのジレッタ」に出会ったのは、もう三十年以上前、僕がまだ小学生の頃でした。作中の「ジレッタ」と呼ばれる荒唐無稽で少しエロティックな妄想世界にドキドキしたのを覚えています。その興奮と、「ジレッタ」を利用して成り上がろうと動き回る主人公・門前の魅力は、いつまでも頭から離れず、今の僕のドラマツルギーは確実にその影響を受けています。混沌から生まれる面白さへの興味、エンタメの主人公は常に能動的であれという 信条などは、すべてこの「ジレッタ」からの影響だと思うのです。
巨大メディアのテレビがかつての勢いをなくし、ネットが世界を席巻する今、現実よりも妄想 に耽ろうとする人間たちを描いたこの「ジレッタ」は、むしろ発表当時よりも批評性を増し、観客の目に生々しく映ることでしょう。
主人公の門前を演じる横山裕さんには、目的達成のためには手段を選ばず猛進する野心家の顔と、プライドの高さゆえに傷つきやすい顔の両面を、楽しんで演じ分けてもらえたらと期待します。
シアターコクーン・オンレパートリー2017「妄想歌謡劇『上を下へのジレッタ』」
東京
日程:2017年5月
会場:Bunkamura シアターコクーン
大阪
日程:2017年6月
会場:森ノ宮ピロティホール
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- シアターコクーン | Bunkamura
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