本作は高校生の石田将也が、小学生のときにわかり合えず傷つけてしまった聴覚障害者の西宮硝子と再会し、交流を経て変化していく物語。アフレコ前に山田監督から作品の印象を聞かれたという入野は「僕はいじめとか聴覚障害がテーマになっていますよね、と話したんです。でも監督は『そこは絶対に欠かせない部分だけど、人と繋がりたいけど繋がれない、ディスコミュニケーションの部分を核として描きたい』と。だから将也を演じるうえで迷いがあったときは、『繋がりたい』という思いを根底に持つことを意識しました」と語った。
また「監督から将也は『大きな小動物が怯えている感じ』というイメージをもらいまして。将也自身は(体が)大きいんですけど、中に持っているものは小動物であり、人と繋がれないから怯えている……分解していくとそういうことかな」と、将也の内面を咀嚼して理解していったエピソードを明かす。“大きな小動物”という矛盾した言葉について山田監督は「でっかいハムスターみたいな感じ」と笑いつつ、「まっすぐな答えを出してしまうと、演じる方のイメージを固定してしまうなと思うので」と想像力を喚起するワードを提示した理由を話した。
続けて入野は「松岡さんもね。『ハンバーグ』だっけ?」と松岡にトークを振る。松岡が「監督から『(小学生時代の将也は)ハンバーグって感じでお願いします。ハンバーグって叫んでみてください』と言われて……。ブースで1人で『ハンバーグ! ハンバーグ!』と延々やってました」と裏話を披露すると、会場は笑いに包まれた。
また司会が松岡の起用について「監督が熱烈なオファーをした」と紹介すると、松岡は「そこを強めに! 強めに!」とリクエスト。「熱烈なんですよね!? 私、ここにいていいんですよね!? 名だたる声優に囲まれて……」と山田監督に食いつく。山田監督は爆笑しながらも、松岡が出演していたドラマをきっかけに将也の少年時代を託そうと決めたエピソードを明かした。
最後の挨拶で入野は「僕自身、全7巻もある作品を2時間にするってすごく不安で。カットされるけどここはやりたかったって部分が絶対生まれてくるし……」と吐露。しかし「アフレコを終えて、すごく安心したんです。これ絶対大丈夫だ、って。さらに完成したものを観て、ものすごく素敵な映画になったと感じました。マンガと表現は違うかもしれないけど、本当に一番大事な部分はばっちりフィルムに収まっています」と観客に語りかけ、イベントは幕を閉じた。
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