
このマンガ、もう読んだ?
「青春△(トライアングル)」大共感の“痛み”を描いた台湾BL!仲良し3人の中で2人がカップルになったら、もう感情が大忙し
2025年5月20日 13:00 PRTaaRO「青春△」
無愛想で近寄りがたい不良学生のコウ、長身イケメンで成績優秀のエキシン、穏やかな性格のかわいい子犬系男子ユーピンは、それぞれタイプは違うが不思議と気が合い、いつも一緒に行動している。何かと注目を集めがちな彼らは、学校中の教師や生徒たちの間でも噂が絶えず、どこへ行っても話題の中心だった。しかし、エキシンがコウに告白したのをきっかけに、仲良し3人組の関係性に変化が起こる。TaaRO「青春△(トライアングル)」は台湾発のBL作品。2025年3月にホビージャパンが創設した新しいBLコミックレーベル「Lunatic Romance」より、日本語翻訳版が出版されている。
文
三者三様のイケメンたちが織りなす、いびつな三角形
本作でまず最初に触れたいのは、三者三様のイケメンでとても魅力的な物語の主要人物である3人だ。金髪が特徴的ないかにもヤンキーっぽい見た目のコウは、いつも無愛想なため近寄りがたい雰囲気。しかし、幼なじみであるエキシンがいじめにあったときや、ユーピンが女子や不良に絡まれたときには、すかさず助ける優しい一面が描かれている。捨てられた子猫の世話をしているタイプの心優しいヤンキーに違いないと確信せざるを得ない。
続いて、長い黒髪を1つにまとめているエキシン。実は学園一の成績で、男女問わずクラスメイトから人気が高いのも頷ける。また、早くに両親を亡くしており、残された妹と2人で生活するためにバイトに励んでいる苦労人だ。幼少期からコウへ好意を抱いており、温和な表情から一変して激重感情を見せることも……。ギャップが大渋滞である。
最後に、前髪のピン留めがチャームポイントのかわいい子犬系男子ユーピン。彼もクラスメイトからの人気が高いそうだが、おそらく“親しみやすさ”が理由の1つだろう。第一印象は「とにかく穏やかで優しそう」だが、彼の家庭事情も複雑な様子。物語が進むにつれて仄暗い面を抱えていることがうかがえる。
2話までは、そんな3人が不良に絡まれたり、運動会に参加したりと、王道スクールライフが描かれている。そのまま進んでいくのかと思いきや、3話のラストでエキシンがコウへ告白をし、それをユーピンが聞いてしまうという衝撃的な展開が待ち受けていた。さらには、第4のイケメンが登場するなど一波乱あるものの、無事にコウとエキシンは結ばれる。1話からコウに向けられていたエキシンの好意が実ったことに、心の中は拍手喝采だ。
しかし同時に、ユーピンの顔がちらついてしまう。ここまで3人の関係性が丁寧に描かれてきたからこそ、どうにも気がかりでならない。その不安に追い打ちをかけるように、コウとエキシンがラブラブなかたわら、ユーピンの仄暗い家庭事情も描かれる。「コウとエキシンのイチャイチャが見たい!」「誰かユーピンを救ってあげて!」と頭の中に住む天使と悪魔の争いが止まらない。
作者の手のひらの上でまんまと転がされている読者を尻目に、話はどんどん進んでいく。ユーピンがコウへキス。ユーピンからエキシンへの「なんでも持ってるのに、僕からコウまで奪っていくの?」というセリフで、1巻は締めくくられる。
台湾発のBLならではの新鮮な読み口、けど青春のリアルな痛みには大共感
2話までの王道な学園ものの展開から一変、まるでジェットコースターのように3人の関係性が予測不能な変化を遂げていく。それは台湾発のBL作品であることも起因しているだろう。本作が出版されたBLレーベル「Lunatic Romance(ルナティックロマンス)」は、台湾、韓国、中国など海外の人気BLを中心に、王道展開にとらわれないさまざまな男性同士の恋愛模様を描いた作品をラインナップしている。
アジア各諸国の中でも台湾は初めて同性婚が法認されている。さらに、「HIStory」シリーズをはじめ数多くのBLドラマが制作され、高い人気を博している。そんな背景があってか否か、創作物として楽しむファンタジックな要素だけではなく、同性愛が身近にあるからこその“リアル”な要素が本作には含まれているように感じた。
日本のBL作品は「両思いになったらハッピーエンド」となる展開が多い印象だが、本作は両思いとわかってもなお、一波乱ならずいくつもの波乱が起こる。仲良し3人組の中からカップルが生まれてしまったことで均衡が崩れた「三角形」の行方だけではなく、恋愛、友情、家族……と思春期ならではのリアルな葛藤や悩みも赤裸々に描かれている。
エキシンはコウへの恋心に悩んでいるだけでなく、唯一の家族である妹からの好意にも悩んでいる。ユーピンは家庭のなんらかの事情によりとてつもない孤独を抱え、コウとエキシンがカップルになることで、友情の均衡が保てなくなることへ不安を感じている。コウはエキシンとユーピンから向けられる感情に振り回されている。……と、三者三様の“痛み”を抱えており、読者はそんな3人の誰かしら、何かしらの“痛み”に共感できるはずだ。
先の読めない展開に加え、シリアス展開に突入する3話以降は毎話のラストがクリフハンガー(注釈:緊張感が高まった状態で物語を中断させ続きに興味を持たせる作劇手法)のようにとてつもなく続きが気になる終わり方をするため、海外ドラマを観ているような読み心地となっている。日本のBL作品に慣れ親しんでいる筆者としては、とても新鮮に楽しむことができた。
そんな本作の2巻が5月20日に発売。3人の複雑な生い立ちを含め、物語を締めくくる怒涛の回収が行われ、物語は一気にクライマックスへと雪崩れ込むそう。展開を予想したり期待したりすると、いい意味で裏切られそうなのでほどほどに。と思いつつも、3人がどうにか幸せに笑顔になる展開を望んでいるが……できる限り、フラットな気持ちで彼らの行く末を見届けようと思う。
「青春△」第1話を試し読み!
リンク
関連商品