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書店員が語る「コロナ禍とこれから」 第3回 [バックナンバー]

書店を取り巻く環境は厳しく変容、でも「書店は必要とされている」

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5月25日に全面解除された緊急事態宣言。しかし夏の盛りの現在も、新型コロナウイルス感染症患者数の増加は止まらない状況が続く。そんなコロナ禍は書店にどのような影響を与え、書店員は日々をどのように思い仕事をしているのか。コミックナタリーでは、「コロナ禍とこれから」というテーマで書店員の声を届けるコラムを展開してきた。最終回となる今回は、東京、大阪、宮城で働く書店員たちがコラムを執筆。書店への影響、緊急事態宣言からこれまでの思い、そしてこれからの書店の展望を聞いた。

また各書店員には「コロナ禍の今、支えになってくれるおすすめ本」も紹介してもらった。どれも読み応えがあり、一気読みしたくなる作品ばかり。もしおすすめ本に食指が動いたら、感染に気をつけつつ書店に立ち寄り、ぜひチェックしてほしい。

イラスト / ナリアイ

宮城県・喜久屋書店仙台店 漫画店長

コロナ禍とこれから

緊急事態宣言の発令を受け、当店は約3週間休業しました。先の見えない不安の中、頭をよぎったのは8カ月間休業を余儀なくされた2011年。東日本大震災という未曾有の事態の中で再開を望むお客様の声を連日いただき、地域にとって書店が必要とされていると強く感じた年のことでした。
あれから9年、書店を取り巻く環境はさらに大きく、厳しく変容しましたが、私の根幹にはあのとき感じた「書店は必要とされている」という、期待交じりの思いがあります。
コロナ休業再開からの2カ月、待っていてくださったお客様のお力で当店では前年同月を超える販売を記録しました。コロナ禍と出版不況。歴史的変革期の中を生きる書店員として、今後もワクワクのいっぱい詰まった本と書店の普遍の魅力を伝えられる店作りを目指していきたいと思います。

コロナ禍の今、支えになってくれるおすすめ本

藤子不二雄(A)「まんが道」(小学館クリエイティブ)

あらゆる世代の方に感銘を与える作品かと思います。藤子不二雄(A)先生の分身である満賀道雄の目線を通して、今や世界的カルチャーとなった日本マンガ文化の源泉を辿る旅に出てみるのはいかがでしょう!

「GAMANGABOOKS『まんが道』」1巻

「GAMANGABOOKS『まんが道』」1巻

喜久屋書店仙台店

〒980-0021
宮城県仙台市青葉区中央4-1-1 イービーンズ6F

東京都・メロンブックス本部 服部隆政氏

コロナ禍とこれから

現在においても、新型コロナウイルスの影響が収まることはなく、首都圏をはじめ、実店舗は厳しく、通販需要に偏っている状況は、緊急事態宣言時とそこまで変わりはありません。

とはいえ、我々エンタメ業界は、ある意味チャンスと捉えることができると思っております。それは、エンタメは唯一無二、「同じものは一つとしてない」からです。

外出自粛だからといって、エンタメを求める心がないかというと、決してそんなことはなく、好きな作品の続刊が出れば欲しいし、気になる新刊が出れば、当然欲しい気持ちはあります。本が好きな人が、この状況だからといって読まなくなるなんてことはないです。さらに、いまやスマホアプリ、動画配信など、いろんなエンタメがあり、なかなか“本を読む”ところまで辿り着かない方が多いと思いますが、STAY HOMEなどで時間ができ、本に触れやすい世の中になっているとも言えます。

ですので、決して悲観することなく、我々書店業界だからこそできるエンタメの供給を続けていかなければならないですし、そして、そのエンタメが素晴らしいものであると、お客様に届け続けること、それが、私ども小売の本懐であると考えております。

コロナ禍の今、支えになってくれるおすすめ本

猪ノ谷言葉「ランウェイで笑って」(講談社)

出てくるキャラクターたちが皆、厳しい局面でも前向きにがんばる姿に、すごく元気をもらいます。また、外出がなかなかしにくい昨今、いろいろなファッションが見られるのも、楽しい作品です。

「ランウェイで笑って」1巻

「ランウェイで笑って」1巻

メロンブックス

大阪府・わんだ~らんどなんば店 麻野昌三氏

コロナ禍とこれから

「緊急事態宣言」が発令されたときは、すでに自分の周辺でも感染騒ぎがあったりして「ついに、来たか」という感じでした。
コロナ禍において多くの書店が休業を選択する中、当店は営業時間の縮小という手段を取りました。
来店されたお客様から「開いてて助かった」と感謝されることもあり、書店の必要性を深く感じました。
宣言解除から徐々にお客様も戻りつつありますが、まだ以前のようにとはいきません。
コロナ禍の中、多くの出版社がマンガ雑誌を無料公開し反響を呼びました。
無料、リモートワーク、学校の休校などいろいろな要素が重なってのことですが、多くの方がマンガに触れる機会が増えたことには変わりません。
やはりマンガという媒体には力があります。
電子で拡がった読者が書店に流れて来ることは確実です。そのとき、さらにマンガにのめり込ませる展開ができているのか。それとも失望させてしまうのか。
リアル書店としての力量が問われることが、プレッシャーでもあり楽しみでもあります。

コロナ禍の今、支えになってくれるおすすめ本

ゆうきまさみ「機動警察パトレイバー」(小学館)

個人的にコロナ禍では「没入感のあるもので完結しているものを一気読みしたい!」ということで「機動警察パトレイバー」。
警察もの、ロボもの、犯罪もの、青春群像などが並行して絡む物語は今でも色褪せません。

「機動警察パトレイバー」愛蔵版1巻

「機動警察パトレイバー」愛蔵版1巻

わんだ~らんどなんば店

〒556-0011
大阪府大阪市浪速区難波中2-1-7

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まちくる仙台 @machikurusendai

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