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東京バレエ団リハ、ロベルト・ボッレ「プティ作品にはパトスが込められている」

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東京バレエ団が9月に上演する「アルルの女」と「小さな死」の公開リハーサルと記者懇親会が、9月1日に行われた。

記者懇親会には「アルルの女」に主演するミラノ・スカラ座バレエ団エトワールのロベルト・ボッレ、東京バレエ団プリンシパルの上野水香が出席。ボッレは恩師である振付家、故ローラン・プティについて「プティとの出会いは19か20歳の時でした。『シャブリエ・ダンス』を踊る機会があり、それ以後『カルメン』『若者と死』『アルルの女』などの作品を踊ってきました。プティから教えてもらったことは私のキャリアで大変重要です。それ以前の私のレパートリーは『白鳥の湖』『眠れる森の美女』などの古典作品やネオ・クラシックが中心でした。登場人物が強い個性を持つプティのドラマティックな役柄を踊ることが私の芸術家としての成長を助けてくれたのです」と振り返る。

ボッレは続けて「プティの作品にはパトス(熱情的な精神)が込められています。振付はシンプルですが、そのシンプルな動きを繰り返すことで強い印象、強い表現を生み出し、感動を呼ぶのです。その力が抜きん出ているからこそ、初演から何十年経っても再演され続けているのではないでしょうか。『アルルの女』では、主人公の精神的な脆さなどを表現しなければなりません。感情の振れ幅が大きくなり、最後には自殺に至るわけですが、舞台上でこのような感情を表現し、客席に伝えなければならないのです」と、プティ作品ならではのドラマ性を強調した。

話がプティとの思い出に及ぶとボッレは「具体的に……と言うと難しいのですが、プティとリハーサル室に入ることが大きな挑戦でした。彼は踊り手を挑発することでダンサーの力を伸ばそうとしたのです。リハーサル中のプティからは思わず頬を赤らめるような言葉が出ることもありましたが、その言葉で役柄を深めるような踊りが引き出されていきました」とエピソードを明かした。

今回踊る「アルルの女」については、抜粋はたびたび踊っているが、全編を踊るのは今回が2度目、約10年ぶりだというボッレ。「リハーサルの最中、新たな発見や感動がいくつもありました。初めてこの作品を踊ったのは2008年ですが、そこから人生経験を重ね、私自身も成長してきました。今まで生きてきた中で感じたことを表現したいと思っています。そうすれば視線やちょっとした仕草も本物になると思いますから」と心中を明かし、さらに「(上野)水香と踊れるのも本当に嬉しい。今度の舞台を私も心から楽しみにしています」と笑顔を浮かべた。

ボッレの美しさについて記者から「20年前から変わらない」と賞賛が送られると、ボッレは「今は踊り手の身体を保つ方法も昔より進化しています。ダンサー生命が長くなったことで、年齢とともに重ねてきた人生経験を作品に生かすことができるようになりました。身体を保つ方法はよく聞かれるのですが、飲酒、夜更かしをせず、食事に気を遣い、1日8時間のレッスンをすれば皆さんも若さを保てますよ」と会場の笑いを誘った。

東京バレエ団「20世紀の傑作バレエ プティ-ベジャール-キリアン」では、ローラン・プティ振付「アルルの女」とイリ・キリアン振付「小さな死」に加え、モーリス・ベジャール振付「春の祭典」が上演される。公演は9月8日から10日まで東京・東京文化会館にて。

東京バレエ団「20世紀の傑作バレエ プティ-ベジャール-キリアン」

「アルルの女」「小さな死」「春の祭典」

2017年9月8日(金)~10日(日)
東京都 東京文化会館

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