“第1章”の扉閉め新たな旅へ、ハナレグミ「SHINJITERU」満員国際フォーラムで幕

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ハナレグミが昨日12月6日に東京・東京国際フォーラム ホールAにて、ツアー「SHINJITERU」の最終公演を行った。

ハナレグミ(撮影:田中聖太郎)

ハナレグミ(撮影:田中聖太郎)

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11月7日の石川公演から始まった今回のツアーは、最新アルバム「SHINJITERU」を携えて行われたもの。最終日の国際フォーラムにはこの日を待ちわびた満員のファンが集まった。また、アルバムのレコーディングメンバーでもある菅沼雄太(Dr)、YOSSY(Key)、伊賀航(B)の3人に石井マサユキ(G)、icchie(Tp, Tb)、武嶋聡(Sax)を加えた盤石のバックバンドがこの日のライブを支えることもあり、場内は開演前から熱気にあふれていた。

ハナレグミ(撮影:田中聖太郎)

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開演時刻を過ぎ、薄明かりの中バンドメンバーと永積崇がステージに立つと会場は暗転。すると永積は暗闇の中で「線画」を歌い出す。彼の優しい声に観客が集中して聴き入ると、柔らかなオレンジ色のスポットライトが永積の姿をゆっくりと浮かび上がらせた。各所に吊るされた白熱電球に明かりが灯ると、永積はギターを手にして続く「ののちゃん」へ。3曲目の「ブルーベリーガム」からはホーンセクションの2人も演奏に加わり、楽曲に一層の彩りを加えていった。

永積は時折観客に声をかけ、自身いわく「小粋なトーク」で聞き手を楽しませながら、ゆったりとマイペースに「SHINJITERU」の収録曲や人気のナンバーを届けていく。会場を見渡し「この会場……デカすぎません?」とこぼしたのちに披露された「My California」では、その“広い会場”をさわやかなサウンドでいっぱいに満たした。ドラマチックなアレンジが施された「あいまいにあまい愛のまにまに」からなだれ込んだ「Wake Up してください」では、プレイヤーたちの楽し気な雰囲気に触発されたオーディエンスが軽快なクラップ音を響かせる。一転、静かになった会場に永積が「誰もいないみたいだね」とつぶやいて「光と影」を歌い出すと、暗闇に1つだけ灯る光が彼の真後ろに大きな影を落とし、楽曲の世界観を際立たせていた。

ハナレグミ(撮影:田中聖太郎)

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伊賀を巻き込んだ脱力系MCを挟んで公演が後半に差し掛かると、永積は1つひとつの楽曲や「SHINJITERU」に込めた思いをオーディエンスに伝えながらライブを進めていく。「フリーダムライダー」では彼が3年前にアメリカのグレイハウンドバスに乗り、公民権運動「フリーダム・ライド」が行われた道をたどった旅の思い出が語られ、聴衆はそれぞれに深く思いを巡らせながら彼の歌声に聴き入っていた。YOSSYのキーボードと永積の操るアナログシンセサイザーとのセッションが異彩を放った「Primal Dancer」、icchieが情熱的なトランペットソロとスカダンスを披露したスカチューン「太陽の月」で会場の熱気が高まると、永積はここでライブ定番曲の「明日天気になれ」をプレイする。「“冬の始まり”で 胸高鳴れば」と歌い替えた彼の声に客席は盛り上がり、会場は大きな一体感に包まれた。

バンドメンバーが持ち場を離れて舞台上に永積1人になると、彼は「今、世の中のスピードがどんどん速くなっていて。でも自分のやっている音楽は、そのスピードの中では熱くなれないというか」と口を開く。そして「今までやってきたことがなくなってしまうような不安もあるけれど、変わらずに自分の中にあるのは言葉になる手前の感情、遠くのものを思う気持ち。自分の音楽は、そういう時間の中で立ち上ってくるもの」と続けると「前作の『What are you looking for』でハナレグミの第1章が終わって、今は後ろ手で閉めた扉の前で立っているような感覚。だからワクワクしているんです」と、「SHINJITERU」というアルバムを作り終え、ツアーを終えようとしている今の心境を観客に伝えた。「僕にとっては次の扉を感じる曲」という「消磁器」は弾き語りで届けられ、永積は柔らかな手つきで弦を弾きながら優しい歌声を響かせる。バンドが戻り最後に「深呼吸」をプレイすると、彼は「今日はありがとうございました」と深く礼をして本編を終えた。

ツアー「SHINJITERU」最終公演の様子。(撮影:田中聖太郎)

ツアー「SHINJITERU」最終公演の様子。(撮影:田中聖太郎)[拡大]

鳴りやまない拍手と歓声を受けて舞台に戻った永積とバンドは「Spark」「旅に出ると」をアンコールでプレイした。7人はその後、ステージ前方にラインナップして挨拶。ここで公演の幕は閉じると思われたが、永積はバンドを送り出すと「最後に1曲、弾き語りしていいですか?」と提案し、会場は大いに沸き立った。彼が最後に贈ったのはアルバム制作とツアーを共にしたスタッフ、バンドメンバーへの感謝の思いを込めた「きみはぼくのともだち」。語りかけるように言葉を紡ぐ永積の声に会場は温かな雰囲気に包まれ、歌い終えた永積は満足そうな笑顔を浮かべながらステージをあとにした。

ハナレグミ ツアー「SHINJITERU」
2017年12月6日 東京国際フォーラム ホールA セットリスト

01. 線画
02. ののちゃん
03. ブルーベリーガム
04. 君に星が降る
05. My California
06. レター
07. あいまいにあまい愛のまにまに ~ Wake Upしてください
08. 家族の風景
09. 光と影
10. ぼくはぼくでいるのが
11. 秘密のランデブー
12. フリーダムライダー
13. Primal Dancer
14. 太陽の月
15. 明日天気になれ
16. 消磁器
17. 深呼吸
<アンコール>
18. Spark
19. 旅に出ると
20. きみはぼくのともだち

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Laughin @Laughin_JP

[ハナレグミ]昨日最終日をむかえましたツアー「SHINJITERU」国際フォーラム公演のライブレポが、ナタリーにてアップとなりました!みなさま是非ご覧くださいませ♪https://t.co/NkbWJ3E6Dh

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