2025年の香港描く「十年」初日Q&A、時代設定は「今を生きる人々が関わる未来」

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第35回香港電影金像奨にて最優秀作品賞を獲得したオムニバス映画「十年」の公開初日Q&Aが本日7月22日に東京・新宿K's cinemaで行われ、エグゼグティブプロデューサーのアンドリュー・チョイと第5話「地元産の卵」の監督を務めたン・ガーリョンが観客からの質問に答えた。

「十年」公開初日Q&Aの様子。左からアンドリュー・チョイ、ン・ガーリョン。

「十年」公開初日Q&Aの様子。左からアンドリュー・チョイ、ン・ガーリョン。

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「十年」メインビジュアル

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「十年」は、5人の新人監督が手がけた5つの作品からなるオムニバス映画。「エキストラ」「冬のセミ」「方言」「焼身自殺者」「地元産の卵」で構成されており、2025年の香港を舞台とした物語を通して、一国二制度のもと揺れ続けてきた市井の人々が抱える問題を問いかける。

ン・ガーリョン

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母語である広東語だけでは生きづらくなった香港を活写する第3話「方言」について、「現在の香港で中国本国の簡体字はどれほど侵食してきているのか?」という質問が飛ぶ。プロデューサーも兼任したン・ガーリョンは「香港の繁体字ではなく簡体字を使えという指示は政府から直接下されているわけではない。しかし北京語で簡体字を教える学校も徐々に増えており、香港の国語は広東語から北京語に移行しつつある」と現状を訴える。そして監督のジェヴォンズ・アウは、さまざまな言い回しのある広東語の豊かさがいずれ失われることを危惧し「方言」を制作したという。

アンドリュー・チョイ

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続いて2015年に製作された本作の時代設定を10年後の2025年にした理由を問われたン・ガーリョンは「私たちのように今を生きている人々、そしてこれから生まれてくる子供たちにとって10年後は関わる可能性が高い。20年後、30年後ではなく今を生きる人たちにとって身近な近未来を描きたかった」と述べる。一方のアンドリュー・チョイは笑みを浮かべながら「ガーリョンが言ったことはもちろんだけど、この作品に50年後とかの未来を描くような予算はなかったしね」と付け加え、会場から笑いを誘う。

「焼身自殺者」

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2014年9月に活発となった香港政府に対する民主化を要求する雨傘運動と密接に関わり合う本作。企画段階で雨傘運動が始まったと語るアンドリュー・チョイは「大きな社会のうねりのなかで、監督たちも脚本を書き換えたり、リアルタイムの変化が作品に反映されている一方、私たちが最初から抱いていた信念の部分は変わっていません」と穏やかに話した。

「十年」は東京・新宿K's cinemaほかにて全国で順次ロードショー。

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(c)2017 Ten Tears Studio Limited. All Rights Reserved.

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Kumi @tokyohongkong

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