Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 2018 / 近藤良平&MIKEY|ダンス界の異端児が初対談

踊って呑んで「今日はいい1日だったな」と思えたら

──今回のDDDは、近藤さんディレクションによる市民参加型プログラムもあります。近藤さんはこれまでにも「にゅ~盆踊り」やダンスファーム企画など、一般の人も巻き込んだプロジェクトに多数関わっていますが、その面白さをどんなところに感じていらっしゃいますか?

近藤良平

近藤 今回はディレクターだし、みんなで踊るための「レッド・シューズ」でオリジナルダンスも作ったし(参照:中華街や大さん橋で、近藤良平振付「レッド・シューズ」の動画が公開)、普段は一般向けのワークショップもやったりしているけれど、例えばその辺を歩いている、まったくダンスに無関係な、ダンスに興味のない人たちに「ダンスやろうよ」って言うのはかなり難しい話で、今も日々「僕は何をしたいのかな」って思ってるところが正直あります。でも悲観しているわけではなくて、ダンスの可能性は広げたいし、ダンスで豊かになれればいいと思っていて。僕自身はただただビールを飲むよりは「うぉー」とか「ぎゃー」って言いながらちょっと体を動かしてそのあとにビールを呑んだほうが「今日はいい1日だったな」って思うから。それが基本かな(笑)。

MIKEY 一般の人っていう意味では、ゲゲゲイのメンバーも一般の人たちで。

近藤 どこで捕まえたの?

MIKEY 秩父。

近藤 あはははは!(笑)

MIKEY

MIKEY 秩父で、本当にダウンアップもステップもできないところからみんな踊れるようになったので、踊りに慣れただけで元は一般人なんですよ。

──ゲゲゲイのファンにも多いと思いますが、今はYouTubeで振りを見てダンスを覚える人も本当に多いですよね。

MIKEY そうですよね。みんなコピーから入って。

近藤 すごいよね!

フランスパンの食べ過ぎには気を付けて!

──今回の「トリプルビル」で東京ゲゲゲイはフランスに初進出となります。さらに13カ所もツアーされますが、フランス公演に向けて意識することはありますか?

左から近藤良平、MIKEY。

MIKEY うーん……。

近藤 行ってから変わるんじゃない?

MIKEY そうですね。どんな劇場か、どんなスタッフがいるのか、どんなお客さんが来るかもわからないので、あまり意識せず普通に作って……ただフランス人ってけっこうイケメンが多いと聞いたので、そういう出会いがあったらいいなって(笑)。

近藤 あははは!(笑) あとフランスパンばっかり食べると、口の中切れるよ。

MIKEY 固いから?

近藤 うん。美味しいから食べちゃうんだけど、3日目くらいから血の味になるので気を付けたほうがいい。

MIKEY あはははは!(笑)

──最後に、近藤さんは今回のDDDを、改めてどういうフェスティバルにしたいと思っていらっしゃいますか?

近藤 MIKEYさんが参加する「トリプルビル」が13カ所もツアーするって、日本じゃなかなかできないよね。そういう点から考えても、今は「日本、負けた!」って思っちゃう。でもドミニクさんのように、素直にダンスの可能性を信じている人の話を聞いていると、ダンスにぐっと広がりが感じられるなと思います。なので僕もいろいろリサーチしながら、今回はこういう立場なので、全体を見て、各プログラムをいろいろな形で応援できたらいいなって思いますね。

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近藤良平(コンドウリョウヘイ)
ペルー、チリ、アルゼンチン育ち。ダンサー、振付家。1996年にダンスカンパニー、コンドルズを旗揚げし、全作品の構成・映像・振付を手がける。国内外でツアーを行うほか、NHK教育「からだであそぼ」やNHK総合「テレビサラリーマンNEO」の「サラリーマン体操」などで広く注目を集める。野田秀樹作・演出「THE BEE」、長塚圭史作・演出「かがみのかなたはたなかのなかに」には俳優として出演した。また埼玉県の障害者たちとのダンスカンパニー、ハンドルズでの活動のほか、女子美術大学、立教大学などでの非常勤講師なども務めている。第4回朝日舞台芸術賞寺山修司賞、第67回文化庁芸術選奨文部科学大臣賞受賞。
MIKEY(マイキー)
1983年東京都生まれ。本名、牧宗孝。パフォーマー、振付家、演出家、ミュージシャン。3歳から日本舞踊や和楽器を学び、MISIAのフロントアクトを務めるなどミュージシャンとしてメジャーデビューを目指すが断念。その後、ストリートダンサーとして独学で活動を始める。2013年にダンスチーム、東京ゲゲゲイを結成。15年には「ASTERISK~女神の光~」の脚本・演出・振付・音楽を担当し、その後テーマソングを書き下ろした加藤ミリヤとは、さいたまスーパーアリーナで共演を果たすなど、ダンスに留まらず音楽活動も開始。16年に行われた単独公演「東京ゲゲゲイ歌劇団」は全公演ソールドアウト。「東京ゲゲゲイ歌劇団Vol.II」も好評を博した。初のアルバム「キテレツメンタルミュージック」はiTunes Albumランキング最高4位。セカンドアルバム「再生パッション」はレコチョクアルバムランキング最高1位を記録し音楽業界からも注目を集める。近年は国外での活動も多く、17年にアメリカデビューも果たした。今年6月にはホイットニーヒューストンのカバー曲「I Have Nothing」を発表し、シンガーとしての活動にも力を入れている。

2018年8月7日更新