賞レースネタの供養と新たな魅力の発見
今考えたらあのときが奇跡やったんかな、と思うイベントは何個かありますね。「RGが90分あるあるを歌い続け、和牛川西が河内弁で90分くだを巻いてくる会」(2015年6月、2017年6月開催@なんばグランド花月)とか、「RGが90分あるあるを歌い続ける横でゆりやんが調子乗っちゃって」(2017年11月開催@ルミネtheよしもと)とか。どんどんみんなスターになっていって。川西のときは、川西のお父さんが観にきてくれていて、「お父さん、こいつはもうすぐNGKパンパンにしますからね!」って僕が偉そうに言ったのを覚えています(笑)。そのあと超人気漫才師になって。川西は最近ちょっと会えてないですけど、また河内弁のやつやれたらいいですけどね。
芸人って賞レースでやったネタをもう1回やるのに少なからず抵抗があるものなんですが、
RGが90分あるあるを歌い続け、蛙亭中野がトップに君臨するホストクラブにハマってしまったイワクラ
その芸人さんのもう1個の知らない扉を開ける作業になればなとは思ってます。僕はお酒があんまり飲めないので、打ち上げや飲みに行くことが普段そこまでないんですけど、あるあるイベントは“一緒に飲みに行ってる気持ち”というか。90分なり60分なり、一緒にひねり出して、絞り出して、ノリを作って、ということをやるので、1回イベントをやった子たちとは戦友になれます。この間も、福岡で
今後一緒にやりたい人は?
誰だろうな。
(渡辺)直美ちゃんが来年、東京ドームで公演をやりますけど、あるあるイベントも東京ドームを目指せるコンテンツやと思っていて。例えば、布袋寅泰さんを本当に呼んで(※)、布袋さんがギターを弾いてくれる前であるある言うとか、YOSHIKIさんがドラム叩いてる前であるある歌うとか。最近お笑いの仲間たちがドームでやっているので、僕もできないかなとは思ってます。BOØWYさんの「ライブハウス武道館へようこそ」というセリフが有名ですけど、「カラオケボックス東京ドームへようこそ」と言いたいですね(笑)。
※布袋寅泰さんを本当に呼んで:RGはよく布袋寅泰の「スリル」の音源に乗せてあるあるを歌っている。
劇場を愛せば愛すほどいいスタッフが集まってくれる
寄席に漫才だけで出ている人たちは「難しい」と感じることもあると思いますが、僕は盛り上がっている祇園花月しか見たことないです。祇園花月って、舞台にせり上がりがあるんですよ。暗転して、せり上がりで出てくるときに毎回ウワー!ってなります。マジでライブハウスというか、“ライブハウス京都祇園花月”って感じですね。祇園花月を愛し、祇園花月に愛された男です(笑)。照明をやってくれている方は、毎回「あるあるイベントだけは絶対私にやらせてください」って言ってくれて、どの曲を歌ってもぴったりな照明にしてくれます。劇場を愛せば愛すほどいいスタッフが集まってくれる。劇団四季の常設劇場じゃないですけど、あるあるの常設劇場が祇園花月だった、という感じです。もちろんみんなにはみんなの伸び伸びできるホームの劇場があると思います。僕はそれが祇園花月でした。
祇園花月は閉館したけど、そこでやっていたことは今後もずっとできるなと思っていて。「俺、知らない間にこんな力ついてたんや」って万博で思いましたもん(笑)。自分ではいつも通りカラオケ歌っていたつもりが、「こんなに盛り上がってたの初めてですよ」と言ってもらえて。それこそ、歌が上手くなりました。毎月やっていたら出せるキーが上がってきたし、前はX JAPANを原曲キーで歌えなかったんですけど、歌えるようになった。音域が広がってる。いいこと尽くし。やっぱりなんでも10年はやるべきですね。みんなに言いたいです。なんの職業でも、10年やってください。
芸人に責任を持たせるとイベントの熱量が高まる
このイベントが始まったきっかけは、僕が「あるあるを歌う」というネタをやり出した頃に、祇園花月の社員さんに「RGさん、ちょっとイベントをやりたいんですけど」という相談を受けたんです。「その日空いているのが浅越ゴエさんで、2人で何かできませんか?」みたいな感じで。2人ともプロレス好きだし、あるあるって「誰かが早く言えや」とかってツッコミながら言うものだから、じゃあ「RGが90分あるある歌いつづけそれを浅越ゴエが90分実況解説する会」ってどう?って返して、そこから始まったんですよ。でもたぶん、その社員さんにはもともと絵が見えていたんだと思います。でもあえて「こんなイベントを考えたのでRGさん出てください」とは言わなかった。芸人って、お願いされたイベントと自分でやりたくてやっているイベントだと、どうしても熱量が違っちゃうんです。だから「RGさんが考えた」風にしてくれたのかなと思いますね、今考えたら。たぶん本人は、浅越ゴエさんがニュースを読むネタとかをやっているから「あるあるを解説」っていうのは見えてたと思うんですけど、「浅越さんしか押さえられませんでした」みたいに言ってきよったんです! うまいですよねー(笑)。僕は「RGが90分あるある歌いつづけそれを浅越ゴエが90分実況解説する会」って言わされてた。そういうとこから始まりました。
芸人に責任を持たせることで全然違うイベントになるんですよね。「私たちがこれ考えたからやりましょう」だと、やらされてる感じになっちゃうから。例えば、海原やすよ ともこさんの「黒白歌合戦」というイベントがあるんですが、姉さんたちの「私があんたにこれ歌ってほしいねん」という“背負い感”があるから「よっしゃ、やすともさんのために」って後輩芸人たちもみんな集うわけですよ。あるあるイベントも、「誰々と誰々をRGさんとくっつけたら面白いと思うんですよね」と社員さんが言うのと、「RGさんが探してきてください」「誰とやりたいですか?」と言うのだと、全然熱量が違う。
当時はテレビやケンドーコバヤシさんのラジオであるあるを歌ったりしていて、ちょっと“機運”が高まっていたところもあって。それを考えると、また社員さんがええ時期にイベントを打ってくれたんですよね。機運って大事で。「RGさんのあるあるが今ちょっと来てるな、祇園花月でイベント1個やっとこか」があったと思うんです。「たまたまこの日になった」とは言われたけど、絶対に機運を見てた。だから1回目からお客さんの反応は「待ってました!」という感じでしたね。
コロナ禍の中で配信が増えた時代に、歌ネタとかカラオケを使うネタができなくて、ちょっと「やばい」と思ったこともあったんですけど、コロナが明けたら「結局みんなカラオケ好きじゃん!」ってなって。で、盆踊りがあって、もう1回RGのイベント行きたいって思ってくれた人たちがいっぱいいたので、機運が今また、高まってます。
プロフィール
レイザーラモンRG
1974年6月8日生まれ、愛媛県出身。立命館大学のプロレス同好会に所属していたRGが、同志社大学プロレス研究会のHGと交流戦で出会い、1997年7月にコンビ結成。心斎橋二丁目劇場オーディションに参加した。大学卒業後に就職したが、会社員をやめてお笑いの道へ。2012年から14年まで「THE MANZAI」認定漫才師。2014年、2017年に「R-1グランプリ」ファイナリスト。2025年2月、芸歴16年以上の漫才師の大会「THE SECOND~漫才トーナメント~」でベスト32に進出した。
イベント情報
RGが90分あるあるを歌い続け、カラタチとシンクロニシティがあるあるを考え続けてくれる会
日時:2025年9月25日(木)19:00開場 19:30開演
会場:東京・ルミネtheよしもと
料金:前売3000円 当日3500円
<出演者>
カラオケ盆踊りの様子
バックナンバー
miu。 @mgwg_no13
川西さんとのお話!あるある×河内弁!観たいので、またいつか絶対にやってください!
祇園花月のお話!
支配人さんの紹介のところで金属バットさんのお名前も出てます! https://t.co/GBlPRbjz54