「日本で一番早いお笑いバトル! フットンダ王決定戦2026」が1月1日(木・祝)午前1時59分から午前6時まで生放送される。「フットンダ王決定戦」としては2012年に始まり、今回で15年目。お笑いナタリーでは生放送を前に、2回にわたって特集記事を掲載中だ。1回目では番組の見どころを紹介した。2回目となる今回は先日行われたタカアンドトシの記者取材会の様子を届ける。「フットンダ王決定戦」や出場芸人たちへの期待、来年50歳になるタカトシの思いとは。
文 / 成田邦洋
2009年4月から2014年3月までレギュラー放送されたバラエティ。タカアンドトシとゲスト回答者が、出題された言葉やフレーズを“モジる”または“イジる”ことで笑いを誘い、爆笑が起きると布団が吹っ飛ぶという演出が特徴の、通称“真夜中の笑点”だ。レギュラー終了後も、元日の特番「フットンダ王決定戦」として例年放送されている。
3連覇を狙う真空ジェシカ川北とライバルの奮闘に期待
──「フットンダ王決定戦」が放送開始15年目を迎えますね。
タカ 気づいたら15回か!と。
トシ まさか15年も続くとは。僕の長男も15歳になるんですよ。長男と同い年です。
タカ じゃあ「フットンダベイビー」ですね?
トシ まぁ、そうでしょう。
タカ でも、15歳になった息子さんのことは、まだまだ子供だなと思いますよね。
トシ そりゃそうですね。
タカ 「フットンダ」もまだまだ15歳。クソガキです(笑)。
トシ クソガキって(笑)。番組としてはすごいですよ。15年続くというのはなかなかないですから。
タカ クソガキが大人になるまでやっていきたいなと思っています。
トシ この時期になると、「年内の仕事はいつまで?」とか、よく聞かれるじゃないですか? 「『フットンダ』で年内は終わりですか?」と聞かれますもんね。皆さんに定着しているんだなと実感します。
──前回の大会を振り返ると真空ジェシカ川北さんが2連覇されました。強いですね。
タカ 2連覇した記憶がないんですよ。「え、川北もう2連覇なの?」みたいな。(初優勝時に)霜降り明星・粗品を倒して「川北強ぇ!」という印象のまま、2連覇しちゃってる。まだ新鮮で、3連覇しちゃうんじゃないかなと思っています。
トシ 誰も成し得ていない3連覇。
タカ 「M-1」チャンピオンになってからの「フットンダ王」という、一番強い、無双状態で来る可能性もある(※この取材は「M-1グランプリ2025」決勝前に実施されたもの)。
トシ ちょっと手がつけられない状態。
タカ 「M-1」2連覇の令和ロマン・ケムリもいますから、がんばってもらいたいですね。
トシ ラランド・サーヤとかもね。「フットンダ王決定戦」は女性で優勝した人がいないので、女性初のチャンピオン誕生にも期待しています。
タカ サーヤは(今年放送された)「フットンダ~秋の陣~」でも一緒にやって、ものすごくポテンシャルが高いし、いろんな角度から笑いが取れるし、穴がないんですよ。どんなお題でも面白いことを言ってくる。
トシ サーヤは前回「フットンダ王決定戦」でケムリと同じブロックに入って、本当にギリギリでケムリが勝ち上がった。
タカ “ケムに巻かれた”って感じですね(笑)。
トシ うまいこと言いますね。
タカ 今のは布団が吹っ飛んでます。
トシ いや、“プクプク”(番組中で布団が吹っ飛ぶ予兆)にもなってない(笑)。
お正月に定着した「フットンダ王決定戦」
──タカトシさんは今年コンビ結成30周年イヤーでした。どんな年でしたか?
タカ 自分たちが30周年なので、「フットンダ」が15年と言われても「半分じゃないか?」という感じで(笑)。
トシ いや、すごいじゃない?
タカ でも「フットンダ王決定戦」になる前から元日の特番は続いているから、お正月の過ごし方は18年ぐらい同じで、そう考えるとすごい。もともと「フットンダ」というレギュラー番組があって、そこからお正月もやらせてもらっていたのに、レギュラーがなくなっても、お正月だけやらせてもらえているのは、めちゃくちゃ光栄です。お正月といえば「フットンダ」みたいな。
トシ 「お正月の風物詩になった」と言っていいですか?
タカ いや、まだですね(笑)。
トシ 15年やってるんだよ?
タカ 20年やらないと。
トシ 定着してうれしいかぎりですけどね、我々は。
タカ どんどん新しい人も出てきますしね。
──お二人が20年やっている番組は、ほかにありますか?
トシ いや、20年はないです。名前がちょっと変わりながらとか、内容が変わりながら、とかはありますけど。この「フットンダ」のように、名前もやっていることも変わらずに、というのはないです。
──芸歴が長い中、そういう番組があってタカトシさんの安定感に気付かされます。
トシ いえいえ、運がいいんですよ。いい企画、いい番組に巡り合えた。
タカ 我々も気づいたら来年50歳になります。振り返ると、あっという間ですね。「フットンダ」もそうですけど。
トシ まさか「フットンダ」が15年とは。
タカ いつもプロデューサーに言われるんですよ。最初「フットンダ」を立ち上げたとき、我々に企画書を持っていったら「鼻で笑われた」と。その頃はトガッていたんでしょうね。「『ダジャレの番組かよ』と不機嫌そうな顔されたのをいまだに覚えています」と言われるんです。
トシ そんなに悪い態度だった?
タカ 「タカトシのあのときの態度はなかったよ」みたいな。今や戦友で仲良くやっているので、そういう話もできるんですけど。まさかこの「フットンダ」が長く続くとは、という気持ちです。
トシ 本当にすごいですよ。ありがたい。
──これまでの「フットンダ」で一番記憶に残っている瞬間は?
タカ レギュラー時代にナイツ土屋が、「髪をほどいた~」(大瀧詠一「幸せな結末」)がお題の名曲モジりで「カニ置いといた~」という回答をしたのが一番笑いました。あとは俺が自分で答えた「バレーボールのキャラクターを作りましょう」みたいなお題で、当時の大山加奈選手、「パワフル・カナ」さんをモジって「パワフルかな?」と筋肉の絵を描いたのが一番面白かったです。自画自賛ですが。
トシ 筋肉モジりが得意でしたからね。僕は、緊張感ある中で次長課長・河本さんが、チョケた回答をしてくるんですよ。歌モジりで回答したあと、その続きの歌詞も歌う、というノリを4、5年やっていたのがすごく印象に残っています。「またやってる、このオッサン」と(笑)。
タカトシが注目している芸人は?
──先ほど何人か名前が挙がりましたが、今回の出場者の中で普段から交流のある方、ちょっと気にかけている方、注目されている方は?
タカ (平成ノブシコブシ)吉村、(とにかく明るい)安村、錦鯉の長谷川。このメンバーは北海道出身なんですよ。我々が30年前に札幌でデビューしたとき、札幌出身の芸人は、ほとんどいなかったんです。それがお正月の「日本で一番早いお笑いバトル」にこれだけ出るというのは、「時間が経ったけど、北海道にもお笑いが根付いてきたんだな」とすごく感じますね。一緒にできるのがすごくうれしいです。
トシ そうですね。決して優勝候補ではないですけれども(笑)。
タカ ザコとしては大事です(笑)。
トシ ザコとは言ってない!(笑) 番組を盛り上げてくれる名バイプレイヤー。
タカ そうです。必要なんですよ! 真剣勝負以外のところでも盛り上げてくれますから。
トシ 4時間もやると、ずっと全員にガチの答えを出されると息が詰まっちゃうので。
タカ 休憩場所。
トシ 吉村、安村、ハセ(長谷川)の息抜きの回答も必要です。
タカ あと、真空ジェシカだけじゃなく、エバースも「M-1」チャンピオンになってからの出場かもしれない。
トシ 可能性はありますからね。
タカ 我々、吉本の劇場で一緒にやっているんですけど、エバースは仕上がっていて、同業者が見ても面白いなと思います。
トシ あと、ロングコートダディが「キングオブコント」チャンピオンとして来ます。堂前が「秋の陣」で、さすがのモジりを見せてくれました。
タカ あのときは周りが大阪勢ばかりだったから、師匠イジりに走っちゃったね(笑)。2週連続でやったんですけど、2週目はちょっと大阪の色が強すぎたって。ニッポンの社長は「ダブルインパクト」初代王者で。辻が面白い。
トシ 相方のケツと兎はちょっとアレですけど(笑)。名バイプレーヤーとしてやっていただきたい。
タカ ケツと兎は、俺の飲み会にもちょこちょこ顔出して、かわいいヤツらです。
トシ タカさんはそういうヤツが好きです。決して歯向かってこないような。
タカ ケツは結婚しましたし、優勝してほしいですよね。
トシ 優勝は無理だ!(笑) 辻はあるけど、ケツは無理だ!
タカ いや、わかんない。時代が変わる瞬間だよ。
トシ 変わりすぎだよ! ケツが優勝したら動揺しちゃうよ。
タカ、スタミナ不足なのはわかっている
──タカさんは今回も出場されるということで意気込みを聞かせてください。またトシさんはタカさんの布団が飛ばなかったときに、どんなお気持ちでしょうか?
タカ たしかに、どんな気持ちで見てるのかね。(MCとして)高みの見物しかしてないですから、こいつは。
トシ どんな気持ちで? 平等に見ていますよ。トーナメントを勝ち上がってくれればいいですけど。
タカ ずっと一緒に「フットンダ王決定戦」をやっていて、僕が一番トシさんについて思うのは、本当に誰よりも平等な相方。ほかの人から絶対にクレームが出ない。1回ずつ当てたら、偏って同じ人を指名したりとかはしない。
トシ そうですね。
タカ コンビって、「コンビで笑いを取っていきたいな」という気持ちがあると思うんですよ。でも、自分の相方に振る数をちょっと増やす、みたいなことは絶対にしないです。
トシ 公正なジャッジをします。
タカ そのジャッジぶりは見てほしいですね。絶対にちゃんとやっていますから。
トシ そうです。だから、こいつが飛ぼうが飛ばないがもう“無心”です。なんの感情も動いていません(笑)。
タカ 私はスタミナ不足なのがわかっているんです。とにかく予選を抜けられない。最初はいいんですけど、後半ちょっと力尽きるところがあって。毎回そこだけなんですよ。スタートダッシュはいいんですけど。本当に体力がない。
トシ 課題がわかっているんでしょう?
タカ わかっているんですけど、そこはもうどうしようもないです。年齢とともにスタミナも落ちてきますし。
トシ 今のうちからスタミナ付けといてください。
タカ なかなか難しいですよ。しかも僕がこれまで出てきたAブロックは、すごいメンバーが出てくることが多い、“死のグループ”なんです。番組がスタートしてすぐの2時台という、みんなが起きているところに強いヤツが出てくる。
トシ 言い訳ばっかするな! 「川北を止めるのはタカだ」くらいの気持ちで行ってもらわなきゃ。
タカ ちょっとケツに預けます(笑)。
トシ 無理だよ、ケツは!
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ザコシの審査で勝ち上がる“ザコチル”に期待


