ナタリー PowerPush - 乃木坂46

 生駒里奈が語る「センターの覚悟」

アイドルってこんなにも苦しいものなんだなって

──話をまた夏に戻しましょう。8月にはZepp NambaとZepp Nagoyaで初の単独ライブを行いました。

Zeppね……いや、うちはね、「甘いな」と思った。

──自分たちに対して?

そう。お客さんの盛り上げ方も全然なってないし、ライブ自体もなってない。それは多分ほかのメンバーもみんな感じてると思うけど、このままじゃお客さんに申し訳ないっていう気持ちが強かった。

──すごくストイックですね。

乃木坂に入って、アイドルはカワイイだけじゃないってことを知っちゃったんで。今まではテレビでしか観たことなかったから、ただ笑顔で踊ってるだけだと思ったら……こんなにも苦しいものなんだなって。それを知ってしまったから、甘いなと。せっかくこうやって次々とお仕事させてもらってるのに、こんなに甘くしてたらあかんなと思って。だから……みんな思ってると思いますよ、申し訳ないですって。

──そういう話をメンバー同士ではするんですか?

生駒里奈

あんまりしないけど……でも「みんなそう思ってるんだろうな」って空気で感じてる。

──だけどメンバーが33人いれば、いろんな考え方がありますよね。

うん。でも1人ひとり考え方は違うけど、何かをやると決まったときは33人で作らなきゃいけないじゃないですか。そうなってくると、自然と1つの方向に気持ちが向かうから。そこで意見の食い違いがあるかもしれないけど、最後には1つになって気持ちが固まっていけるんじゃないかと、うちは思うんです。

──過去のブログを読んだり今の発言を聞いたりして改めて思ったんですが、生駒さんってチーム感というものを強く求めてるなと。

そう?

──はい。お客さんも含めて、みんなで1つのことを目指したいみたいな。

だってせっかく集まったのに、バラバラでいたら作れるものも作れない。日々いろいろあるけどね、ここを選んできたんだったら文句言わずにまず目指しなさいよとは思うのね。自分の夢があってここに来たんだもん。そのチャンスが来たじゃん。こんなおっきなチャンスをもらったんだったらやりなさいよって。うちはそう思うんです。

「ああ、これはお客として観たらすごく嫌だな」

──そんなZeppライブが終わった直後に、パルコ劇場での初の劇場公演が9月1日から始まるわけですが。

Zeppからパルコの流れは超地獄だった。思い出しただけでもう涙が……ああ。

──つらいと思いますが、改めて振り返ってみましょうか。Zepp Nagoyaでパルコ劇場公演をやりますとサプライズ発表されたわけですが、そのときはうれしかった?

うん。でも「やったー!」というより「あ、(オーディションのときに発表していた公演を)やるんだ」みたいな。「じゃあ何をやるのかな?」と思ったらミュージカルで、しかも毎回お客さんの投票で出演者が入れ替わると。最初はフワフワしてるんだけど、練習に入ったらみんな「あ、ヤバい……」って気付いて、だんだん気持ちが引き締まってくるわけですよ。それでみんなの中で順位のことが気になっちゃって、ゲネプロでドカーンとなって。

──それはどういうこと?

ゲネプロで試しにスタッフさんがお客さんと同じように投票してみたんです。その結果にみんな嫌でも現実を突き付けられて。最初のうちは公演での投票が本当に人気の順位なんだと考えてたけど、でもいろんなメンバーやスタッフさんと話していくうちに公演に対する思いが変わって、だったらこの1週間一生懸命がんばろうと思って。せっかくお客さんが来てくれてるのに、自分も含めステージでネガティブな部分とか出ちゃってるメンバーもいて、そういう姿を見たら「ああ、これはお客として観たらすごく嫌だな」と思ったの。そこで吹っ切れて、ここからは本当に自分がやりたいミュージカルをやっていこう、今からでも遅くないよねと思って。で、千秋楽はすっごく楽しくできた。

33人全員に同じようなチャンスが来たらおかしな話

──気持ちが吹っ切れたのって、具体的にはいつ頃でしたか?

あれは……生駒がやらかした日の次の日ぐらい。

──あ、「千秋楽までにアリス役に上り詰めたい」と宣言した日(9月6日)のあと?

生駒里奈

そう。でもあの宣言がダメだったんですよ。あれこそ、みんなが気にしてる順位のことで。うちもそれを気にしすぎて、みんなが思ってることをハッキリと言葉にしちゃったんです。「私がアリスになりたい。アリスにならせてよ」って言っちゃったわけです。でもそれは間違いだった……だって順位は出ちゃうけど、これはミュージカルなんだから。33人の中にもミュージカルが得意な人、苦手な人がいるじゃないですか。どっちかっていうと得意な子が上に行くし、苦手な子はやっぱり選ばれない。それはどのオーディションでも一緒ですよね。厳しいけど、1つの舞台を作るときに下手な人よりは上手な人がいい。いくら「自分が出たい」って言っても、「いや、あなたは何もできないじゃん。歌もダンスもできないじゃん。だったら必要ない」って言われるのが現実。だけど、歌がヘタクソなのにうちが入ってる現実もあって。結局人気とかそういうものが複雑にからみ合って、毎日結果が出たわけですよ。やっぱりいくちゃん(生田絵梨花)はすごくうまいし、この世界ではいくちゃんにはかなわない。

──そこは認めちゃうんですね。

うん。例えば、乃木坂46の中でモデルさんという枠で投票したら、まいやん(白石麻衣)、ななみん(橋本奈々未)が勝つんじゃないかな。で、うちはどこの世界で勝てるかといったら、どこでも勝てないんです。うちは何かずば抜けてできるものがない分、普通レベルになんでもできるようになりたいなと思って、がんばっています。運動はいくらやっても苦手だけど。

──でもそれが自己評価なんですよね。

そう。そういうこともパルコ公演を通してわかってきた。やっぱり33人全員に同じようなチャンスが来たらおかしな話だし、全員歌がうまかったら面白くないし。だからこういう舞台が成り立つんだなって。パルコ公演が終わって時間が経ってから気付いたけど、こういうことが「16人のプリンシパル」公演の面白さの1つなのかなと思います。

ニューシングル「制服のマネキン」/ 2012年12月19日発売 / Sony Music Records
Type-A [CD+DVD] / 1600円 / SRCL-8201~2
Type-B [CD+DVD] / 1600円 / SRCL-8203~4
Type-C [CD+DVD] / 1600円 / SRCL-8205~6
通常盤 [CD] / 1000円 / SRCL-8207
アニメ盤 [CD] / 1300円 / SRCL-8208
Type-A CD収録曲
  1. 制服のマネキン
  2. 指望遠鏡
  3. やさしさなら間に合ってる
  4. 制服のマネキン(off vocal ver.)
  5. 指望遠鏡(off vocal ver.)
  6. やさしさなら間に合ってる(off vocal ver.)
Type-B CD収録曲
  1. 制服のマネキン
  2. 指望遠鏡
  3. ここじゃないどこか
  4. 制服のマネキン(off vocal ver.)
  5. 指望遠鏡(off vocal ver.)
  6. ここじゃないどこか(off vocal ver.)
Type-C CD収録曲
  1. 制服のマネキン
  2. 指望遠鏡
  3. 春のメロディー
  4. 制服のマネキン(off vocal ver.)
  5. 指望遠鏡(off vocal ver.)
  6. 春のメロディー(off vocal ver.)
通常盤 CD収録曲
  1. 制服のマネキン
  2. 指望遠鏡
  3. 渋谷ブルース
  4. 制服のマネキン(off vocal ver.)
  5. 指望遠鏡(off vocal ver.)
  6. 渋谷ブルース(off vocal ver.)
アニメ盤 CD収録曲
  1. 制服のマネキン
  2. 指望遠鏡
  3. 指望遠鏡~アニメ版~
  4. 制服のマネキン(off vocal ver.)
  5. 指望遠鏡(off vocal ver.)

乃木坂46 (のぎざかふぉーてぃしっくす)

2011年8月に「AKB48の公式ライバル」として誕生したアイドルグループ。グループ名の「乃木坂」は最終オーディション会場の「SME乃木坂ビル」、「46」は「AKB48より人数が少なくても負けないという意気込み」に由来する。総合プロデュースはAKB48同様、秋元康が担当。全国規模のオーディションにより、3万8934人の応募の中からスターティングメンバーとして33人が選出された。2012年2月にシングル「ぐるぐるカーテン」で待望のメジャーデビュー。オリコンウィークリーチャートで初登場2位を記録し、20万枚を超えるセールスを記録した。同年5月には2ndシングル「おいでシャンプー」、8月には3rdシングル「走れ!Bicycle」を発売し、ともにオリコンウィークリーチャート1位を獲得。12月に待望の4thシングル「制服のマネキン」をリリースする。


2012年12月18日更新