今は緊張より楽しいっていう気持ちのほうが強い

──そしてパルコ劇場公演が終わった約1カ月後にレギュラー番組「乃木坂って、どこ？」で4thシングルの選抜発表があって。そのときは番組に出演することは事前に聞かされてなくて、ただスタジオ見学をしていただけだったそうですね？

いつも番組収録は見学していて。私服だったし、まさか自分が出るとは思わないじゃないですか。選抜発表も「今回はどう変わるのかな？」っていうことを視聴者の方々と同じ感覚で観てたんです。そうしたら選抜発表の最後に自分の名前が呼ばれて……最初は本当に意味がわからなかったです。

──名前を呼ばれて、そのまま選抜メンバーのポジションに立って番組収録に加わったわけですが、あのとき何を思ったか覚えてますか？

うーん……そのときは前の選抜とアンダーメンバーとで何人か入れ替わりもあって、正直申し訳ないって最初に思いました。そのあとは何も考えられなくて、ただ「どうしよう……」って不安になっちゃって。

──そこから目まぐるしい日々が始まり、早くも2カ月が経過しました。

本当ですね。あの日から人生がガラッと変わって、今まで経験したことがない日々を送ってます。まずカメラがたくさんあるところにいる機会が今までなかったし、そのシチュエーションに緊張して。テレビ収録もセリフが棒読みだったので、あとから友達に「あれはないでしょ！」って指摘されました（笑）。撮影でもみんなかわいい表情をすぐ作れるのに、私はもう無理して笑ってる感がすごく出ちゃって、本当にどうしたらいいのかわからなくて。でも隣にいたななみん（橋本奈々未）が「こういうときは、こうすればいいから」って教えてくれて、メンバーには本当に助けてもらってます。

──でも今日の撮影では、テレビに出始めた頃と比べて表情がすごく柔らかくなったと思いましたよ。

本当ですか？ それはすごくうれしいです。今は緊張より楽しいっていう気持ちのほうが強くて、撮影が終わったあとも「今日は楽しかったな」って思いながら帰れるんですよ。お仕事が長引いたときも、あまりつらいと感じないし。元気に楽しみながらお仕事してる感じですね。

まっすぐな目で「本当に待ってたよ！」と言ってくれた

──秋元さんが最初にお客さんの前に出ていったのは幕張メッセでの握手会（10月14日）でした。いきなり1万人ものお客さんの前に出ていって緊張したんじゃないですか？

幕張メッセのときは、「乃木どこ？」で復帰が発表された1週間後で。ステージ裏にもお客さんの声援がすごく聞こえてくるんだけど、どのくらいの人が集まってるのか想像がつかなくて。「これはヤバいな」と思ったら、また泣いてしまったんです（笑）。で、ずっと泣いていたらそのまま落ち込んで怖くなってきて。でもステージに出ていったら、皆さん「おかえり！」「待ってたよ！」とか温かい言葉をかけてくれて……最初はそんな人なんていないと思ってたから。その言葉を聞いてちょっと安心して、最後まで挨拶ができたんです。

──「もしかしたらファンから反感を買ってるんじゃないか？」と思ってた？

はい。お母さんにも「あんな復帰の仕方をして応援してくれる人なんか付くのかな？」って言われて。自分でもそう思ってるのに、お母さんにまで言われてしまったらなんかもう……すっごく悲しくなっちゃって……。

──せめてそこは慰めてよ、と（笑）。

それでどんどん追い込まれて（笑）。でも応援してくれる人がいて本当によかったです。

──初の握手会にも大勢の人が並んでくれて。

皆さんまっすぐな目で「本当に待ってたよ！」って言ってくれて。「遅かったよ！」と言ってくれる人もいて、それって私が合格したときから待っていてくれたってことだなと思ったらめちゃくちゃうれしかったです。

──お客さんと接することは大きな励みになりましたか？

なりましたね。ブログにもたくさんコメントをいただいてそれもうれしいんですけど、やっぱり会って直接声をかけてもらえるのはすごく実感が湧くし、安心しますね。

不安になっちゃって大泣きした初PV撮影

──今回のシングル「制服のマネキン」で初めてPV撮影にも挑戦しましたが、どうでしたか？

私って基本的に笑ってることが多いんですけど、「制服のマネキン」では一切笑わないので。笑わないことが大変なわけじゃないんですけど、真顔でカッコよくしなきゃいけないのがすごく難しかったです。

──撮影の裏側も今回初めて目の当たりにしたわけですよね。

まずスタッフさんの多さにびっくりしました。「この中で歌って踊るのか」と思ったら緊張しちゃって。全員で踊るシーンはまだよかったんですけど、1人だけのリップシーン（歌う場面）で、私の前がさゆりん（松村沙友理）とまいやん（白石麻衣）だったんですね。2人の撮影を別のところで観てたんですけど、みんな表情がカッコよくて。それを観た瞬間、急に不安になっちゃって大泣きしたんです。

──「自分も同じようにできるのかな？」と思ってしまった？

はい。それで一度、鏡を持って外に出て気持ちを落ち着かせてから、鏡を観て歌う練習をして。それから自分のリップシーンに臨みました。

──自分のシーンの出来はいかがでしたか？

うーん、やっぱり表情が硬いなと思っちゃって。もし次のCDでも選抜に入ることができたらもっと自然に表現できるように、ほかのメンバーとの差がなくなるくらいたくさん練習しておきたいなと思います。

声質が似たメンバーとユニットを組みたい

──今後、乃木坂46でやってみたいことは何かありますか？

まだ単独ライブに出たことがないんで、ライブに出てみたいのと、あとは……多分私の性格やキャラってあまり浸透してないと思うので、もっとたくさんの人に伝わるようにがんばりたいと思います。

──今回のシングルでは白石さんと高山（一実）さんが2人だけで「渋谷ブルース」という曲を歌ってますが、例えばそういった少数ユニットを組んでみたいとは思いませんか？

歌はあまり自信がないので（笑）、私と声質が似たメンバーとなら一緒にやりたいです。

──ああ、自分の声があまり気付かれないように？

程々のところで（笑）。でも3人組のユニットとかやってみたい気がします。目立ちたい気持ちはあるんですけど……あ、でも音痴ではないですよ？ ただ歌うことに対してまだそこまで自信がないだけで。

──なるほど。じゃあ秋元真夏個人としての目標って何かありますか？

そうですね……今のままじゃ無理だと思うんですけど、もっと成長して力が付いたら女優として映画やドラマに出たいですね。