最初に歌詞を読んで「誰に対して歌ってるんだろう？」

──そんな新選抜メンバーによる新曲「制服のマネキン」がいよいよリリースされます。今回は曲調も今までとは異なったダンサブルなものだし、皆さんも今まで以上に激しく踊っていて、新しいフェーズに入ったんだなと感じました。この曲を初めて聴いたときの印象って覚えてますか？

橋本　最初はまだ歌詞がない状態で聴いたんだよね。

若月　うん。

橋本　だから歌詞によってまた曲の印象が変わるんだろうなと。カッコよくてクールなイメージの曲調なんですけど、これにどんな歌詞が付くのかなって。もしかしたらこんな曲調なのにかわいい歌詞が付くかもしれないし、私たちよりも大人をイメージした歌詞が付くのか、それとも男の子目線の歌詞が付くのか、それ次第で4thシングル全体の方向性が変わってくるんだろうなと思ってました。

──そして完成した歌詞を受け取ったとき、どう思いました？

橋本　最初に歌詞をもらったときに「これは誰に対して歌ってるんだろう？」と思ったんです。「卒業を待ってみたところで 何も変わらないだろう 今しかできない チョイスもあるさ」という歌詞は私たちに対して言ってるのかな、そう考えると卒業を促してる歌詞だなと思ったりして。安直に考えるとそうなんですけど、ポジティブに捉えると「このままダラダラ過ごすよりも、限られた時間の中で自分から積極的にいろんなことにチャレンジして卒業を迎えたほうが、もっと実りある人生になるよ」と解釈することもできる。乃木坂のメンバーってあんまりガツガツしてないし、グループとしてもそういうイメージがないので、この歌詞を読んでもっとがむしゃらにいこうって強く思えるようになりました。

自分の思いを押し殺していたらマネキンと一緒

──なるほど。若月さんはどう思いましたか？

若月　秋元先生の書いた歌詞を聴き手に届けるための仲介役として私たちがいると思うんですけど、秋元先生はまず私たちに向けたメッセージを歌詞に乗せてきている気がします。そこで普通に聴いたらななみんが言ったように共感を得る部分もあるし、私たちがアイドルとしてやっていく上でのメッセージとして解釈したらまた違った意味に取れるし。Dメロの「できないんじゃない やってないだけさ 未来の扉 そこにあるのに 僕は何度も誘う 生まれ変わるのは君だ」という歌詞は、自分の思いを押し殺していたらマネキンと一緒だよ、君には君にしかない感情があるんだよ……と解釈して。恋愛とはまた違ったメッセージを私たちに送ってるのかなと思ったら、心にズシンと響いて。自分たちから踏み出して行かなきゃいけないんだよと言われてるんだなって思いながら、この曲を歌ってます。

──かなりディープに分析してますね。

若月　いつも曲について説明するときには恋愛的な解釈で話すんですけど、この曲に関してはもっと深い何かを感じていて。最初に曲だけを聴いたときには、まさかこういう歌詞が来るとは思ってなかったので、意外性も強かったし、今までとは違う重みも感じています。ね、桜井さん？

桜井　そうだね。そう思う。

──そんな桜井さんはこの曲を聴いてどう思いましたか？

桜井　今はケータイもあってインターネットもあって便利な時代なんですけど、そんな世界しか知らない私たちの世代って諦めが早かったりあんまり強い感情を持ってない、すごく冷めてる子が多いと思うんです。そういう若い世代にもっと自分らしく、本能のままに生きたほうがいいんじゃないかというメッセージを秋元先生はこの曲に込めたんじゃないかな。そういう世代の私たちが歌うことによって、この曲に意味や価値が生まれるんじゃないかなと思ってるので、そういう思いを込めて歌ってます。

──その思いは同年代の人たちにこそ届いてほしいですよね。何かが変わるきっかけになるかもしれないし。

桜井　そういうメッセージを汲み取ってもらえたらうれしいですね。