ナタリー PowerPush - m-flo
5年ぶりオリジナルアルバム「SQUARE ONE」
Perfumeかしゆか、m-floを語る
このページでは、かしゆか(Perfume)の単独インタビューを掲載する。以前からm-floの大ファンだという彼女は、彼らの音楽やスタンスについてどのように感じているのか。かしゆかが見たm-floの魅力に迫る。
取材・文 / 鳴田麻未・大山卓也
初めて聴いたのは「come again」
わー、何から話したらいいんですかね! 私こういう取材、初めてで。
──今日はかしゆかさんから見たm-flo像について伺えればと思っています。まず、かしゆかさんがm-floを知ったのはいつですか?
初めて聴いたのは2001年、LISAさんがボーカルの時代です。アクターズスクールに通ってたときに「come again」を歌ったんですよ。
──それは発表会みたいなもので?
はい。グループ6人で、ボーカルの2人と、ラップをする2人と、ダンスする2人でパフォーマンスするっていう企画があって。そのグループにはあ~ちゃんも入ってたんですけど。
──かしゆかさんはボーカル?
私はダンスでした。あ~ちゃんはなんだっけな、ラップだったかな。最初は私もラップを練習してたんですけどすごく難しくって、「この人何言ってるかわかんない!」と思って(笑)。
──VERBALさんのラップは難易度高いですよね。
そうですね。まだ中学1年だったんで、英語の発音もわからないから全部カタカナで書いて、早口のところもがんばって練習して。それがm-floとの最初の出会いです。でも当時は曲を聴いてただけで、どんな人がやってるとか、3人組だとか、そういうことは全く知らなかったんですけど。
──それをきっかけにm-floを好きになっていったわけですか?
はい、「come again」をきっかけにアルバムも聴くようになって、loves時代もすごく好きでしたね。
──特に好きな曲は?
私、日之内エミさんがすごく好きなんです。Ryoheiさんとやってたm-floの曲で知って、そこからファンになりました。
──「Summer Time Love m-flo loves 日之内絵美 & Ryohei」(2006年リリース)ですね。その頃もうPerfumeはメジャーデビューしてた時期だと思いますが。
ですね。高1とか高2とか。家でいっつも聴いてました。
VERBALさんはやさしくて☆Takuさんは熱い
──現在かしゆかさんはm-floのお2人との交流もあるそうですね。きっかけはテレビ番組やフェスの現場ですか?
いえ、お仕事ではニアミスが多かったんですよ。ずっと接点なくて、どこかでお見かけしても遠くから「あ、VERBALさんだ」とか思ってただけだったんで。だからちゃんと挨拶したのは結構最近。去年くらいだと思います。
──VERBALさんの印象は?
紳士な方ですよね。やさしくて、周りの人みんなに気を配ってるし、すごい立場の人なのにいつも対等に接してくれるのがすごいなぁって印象です。
──☆Takuさんはいかがですか?
私、VERBALさんより先に☆Takuさんにお会いしたんですよね。そのときの☆Takuさんはすごくテンションが高くて「かしゆかちゃーん!」って呼ばれて(笑)。「はーい」って言ったら「なんか面白いことしようよー!」って言われました。「面白いことってなんだろう?」って思いながら「はい!」って答えたんですけど(笑)。
──いい話ですね(笑)。
でも☆Takuさんってすごく熱くって、何かを変えていこう、良くしていこうっていうのをいつも考えてる人だなぁって思うんです。積極的にいろんな業界の人とコミュニケーションをとってるし、Twitterとかでも熱く語ってるし。
──頼れる先輩といった感じですかね?
憧れの人ですよね。2001年に初めて知ったときからカッコよくて、今もずっとカッコいい。それってすごいことだと思います。
アルバムは必ず1枚通して聴きます
──m-floの音楽についてはどういう印象を持っていますか?
いつも先を行ってますよね。今流行ってるものを作るんじゃなくて、次の流行への入り口を作ってくれてるというか。今を取り入れつつ、次につなげていこうとしてるっていうのはいつも感じます。
──今回のアルバム「SQUARE ONE」は聴きましたか?
もちろん! めっちゃカッコいいですよね! もうやばい! 電車の中とかで聴いてると、音に乗ってカラダが動いちゃって、周りの人から見たら私、変な人になってると思いますもん(笑)。
──いやいや、自然な反応だと思います(笑)。
あと、今回は身近なことを歌ってる曲が多い感じがします。「All I Want Is You」とかもそうだし、なんかこう、ちょっとキュンキュンして切ないんだけど楽しくなる歌っていうのが多いイメージです。ミゲルくんの曲とかはすごい斬新ですよね。「ミゲルくんからダブステップに行くんだ!」みたいな(笑)。
──新しいものを取り入れつつ、m-floならではの表現をいつも見せてくれますよね。
そうですね。それにm-floって、全部のオリジナルアルバムに物語があるじゃないですか。そういうふうにストーリー性を持たせてナレーションを入れてるのも、m-floならではだなって思います。
──全部通して聴くと見えてくる物語みたいなものがあって。
ちゃんと聴くと「つながってるんだ」ってわかりますよね。だからシャッフルして聴いたりできない。
──かしゆかさんはアルバム1枚通して聴くことが多いんですか?
そうですね。自分もPerfumeをやってるから特に感じるのかもしれないけど、アルバムの曲順には意図があると思うんですよ。1曲目にこれを入れた理由があって、2曲目にこれがきて3曲目をこうもってきて、だからそのあとの4曲目が生きる、みたいなものが。そういう作り手の気持ちが絶対あるはずだから、アルバムは必ず1枚通して聴きますね。どのアルバムもそうです。自分のアルバムも頭からちゃんと聴きたいし。
──かしゆかさんくらいの世代だと、1曲単位でダウンロードして聴く人が多い印象もありますけど。
アルバムを通して聴くっていう人は確かに少ないかもしれないですね。音楽やる側としてはちょっと悲しいです。「流行ってるからちょっと聴いてみよう」っていうのはもちろんいいと思うんですけど、それをきっかけにして、やっぱり愛情を持って大事に聴いてほしいなって思いますね。
──じゃあCDへの思い入れは強い?
そうですね。私はあんまりネットで買ったりはしなくて、どうしても探せなかったりとか、どうしても今すぐ聴きたいとかじゃない限りは、なるべくお店に足を運んで買ってます。そのアーティストがどんな人っていう情報は知らなくても、ジャケットを見て、CDショップで試聴して、「このアルバム好きだな」って思って買うことが多いです。好きなアーティストだとなおさら盤を持っていたい。歌詞カードの中だって人それぞれじゃないですか。歌詞の行の分け方とか、スペースの空け方とか。アルバムのイメージに合わせた写真があったり、CD自体もデザインされてたり。そう考えるとやっぱり盤に愛情を感じますね。
CD収録曲
- □ [sayonara_2012]
- Perfect Place
- ALIVE
- □ [frozen_space_project]
- Never Needed You
- Oh Baby
- □ [square1_scene_1_
murder_he_wrote] - Don't Stop Me Now
- All I Want Is You
- Acid 02
- Call Me
- □ [ok_i_called]
- Sure Shot Ricky
- RUN
- □ [square1_scene_2_
don't_blink] - So Mama I'd Love To Catch Up, OK?
- She's So (Outta Control)
- Yesterday
- □ [to_be_continued...]
DVD収録内容(※CD+DVD盤のみ)
- She's So (Outta Control) [4'38"]
- All I Want Is You [5'13"]
- ALIVE [4'49"]
- Live at “m-flo presents BŌNENKAI 2011”(TCY Snippet Edit) [18'53"]
m-flo(えむふろう)
MCのVERBALとDJの☆Takuからなるプロデュースユニット。1998年、インディーズを経てrhythm zoneからメジャーデビュー。当時は紅一点のメインボーカル・LISAを含むトリオ編成だったが、2002年にソロ転向を理由にLISAが脱退。2003年以降は各曲ごとにゲストシンガーを招く“loves”プロジェクトをスタートさせ、Crystal Kay、坂本龍一、BoA、安室奈美恵など計41組のアーティストをフィーチャーして、後のコラボブームの先駆けとなった。2009年にはデビュー10周年を記念し、ベストアルバム「MF10 -10th ANNIVERSARY BEST-」やトリビュートアルバム「m-flo TRIBUTE ~maison de m-flo~」をリリースしたほか、国立代々木競技場第一体育館にてスペシャルライブを開催。その後しばらくソロ活動が中心となり、2012年3月に約5年ぶりのオリジナルアルバム「SQUARE ONE」をリリースした。
かしゆか(樫野有香)
1988年広島県出身。あ~ちゃん(西脇綾香)、のっち(大本彩乃)とともにPerfumeのメンバーとして活動する。2005年9月にシングル「リニアモーターガール」でメジャーデビュー。以後、幅広い活躍で多くのファンの支持を得る。2011年3月に発表した4thアルバム「JPN」はオリコンウィークリーチャート1位を獲得。2012年4月にニューシングル「Spring of Life」をリリースする。
2012年4月16日更新