ライブで印象を共有してアルバムが完成する

──ミュージックビデオに関しては、「聖なる夜の贈り物」のMVはスマートフォン専用の縦型バージョンも制作されました。

これはもともと監督のアイデアだったんですけど、通常版の横型とスマホ版の縦型では別テイクになっていて、アングルやフォーカスの当て方も変わるからまた違った味わいが生まれているんです。同じ楽曲でも縦か横かで印象が違うのは面白いですね。音楽を聴く媒体もそうですけど、リスナーが音楽を受け取る形もさまざまになってきているから、アーティストにとってもどういった形で発信するかは大事で。楽曲ありきで制作を進めるMVもあれば、作品を見てから自分が曲を作っていく映画の主題歌のようなパターンもあるので、まだまだいろんなことができそうですね。

──そして12月16日にはおよそ3年ぶりのアルバム「青の光景」をリリースされ、来年3月からはバンド編成のツアーも控えていますね。

今回のアルバムはすべて自分で編曲していて、すみずみまで自分の音が行き渡った作品になったので、これまでと印象も大きく変わった部分があると思います。振り幅を持たせ、いろいろなグラデーションで表現している分、ライブでもステージ演出や構成次第でまた違った世界が生まれるんじゃないかなと。アルバムはレコーディングしてリリースして終わりじゃなく、聴いてくれる方々の中でそれぞれイメージを広げてもらって、ライブで共有することで完成すると思うんです。そういう感覚を得られるのもひさびさなので楽しみにしています。